急伸する世界の航空需要獲得を目的とする成田空港の機能強化について、成田国際空港会社(NAA)は25日、3本目となるC滑走路新設とB滑走路延伸の本格工事を開始した。年間発着能力が現在の34万回から50万回に増える見通しで、2029年3月の運用開始を目指す。
着工式典でNAAの田村明比古社長は「我が国および首都圏の国際競争力の強化や外国人旅行者の受け入れ拡大とともに空港周辺地域の発展のため、さらなる機能強化を図ることは喫緊の課題だ」と強調した。
 新設するC滑走路は3500メートルとなる予定で、B滑走路は2500メートルから3500メートルに伸ばす。A滑走路は最長の4000メートルあり、滑走路3本はいずれも国際線長距離路線に就航する大型機の離着陸に対応できる長さとなる。空港面積は1099ヘクタール拡張し、現在の約2倍となるため「第2の開港」とも呼ばれる。
 NAAによると、成田空港の機能強化が必要とされる背景に、アジア太平洋路線を中心とした航空需要の伸びがある。国際空港評議会など複数国際機関の予測では、20年後に旅客数が約2倍に達する見込み。一方、年間発着能力50万回の羽田空港は既に発着枠の余剰がなく、首都圏空港の将来的な需要を成田空港で受け入れる状況にある。
 成田空港は1978年にA滑走路のみで開港し、02年にB滑走路が運用開始。今回の機能強化はNAAと国、県、周辺9市町でつくる4者協議会の合意を経て、20年に国が計画を許可した。22年10月にB滑走路延伸の準備工事が始まり、23年12月からC滑走路新設の準備が進められた。
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