「ヨッシャー、行くぞ!」「今日は勝つよ」。試合前から山本大斗外野手の元気な声がスタジアムに響き渡る。
プロ5年目、22歳の若武者がマリーンズを引っ張ろうと頑張っている。
 「元々はそんなタイプではないんですけど。でも、やっぱり若い選手が元気を出してやっていく必要があるよなと。そっちの方がいいなあと。空元気でもいいと思っている。もっともっと表現していいなあと。ヒット打った時とか、いいプレーがあった時とか。その方がベンチも盛り上がる。チームも乗っていくよなあと」と山本。
 どちらかというと感情を表に出す方ではない。おとなしいタイプだと自己分析をする。それでも多少、無理をして性格と違っても、グラウンドで喜怒哀楽をあえて出していくと決めた。
ヒットを打てば、塁上でほえる。ベンチでも大きな声を張り上げる。それは若い選手たちで導き出した一つの答えだった。
 25歳、4年目の池田来翔内野手は「オレたち若手が元気に明るくやっていくのが大事と(山本)大斗と話をした。どんどん盛り上げていこうと」と言う。池田もまた体全体を使って喜びを表現している。
 印象的だったのは5月27日のバファローズ戦(ZOZOマリンスタジアム)。一塁を守っていた池田はベンチ近くに上がったフライに向かって果敢に突進しキャッチした。ベンチは目の前。それを恐れないプレーだった。そしてアウトになるとほえた。全身で喜びを表現するとベンチはイッキに盛り上がった。
一つのアウトでチーム全体を鼓舞した。乗っていったチームは勝利した。
 「数字とかには表れないのですけど、気持ちとか気合をどんどん出すことは大事だなと改めて思うようになりました。まずはできることを率先してやっていきたい」と山本は語気を強める。
 今年、マリーンズはここまで苦しい戦いを余儀なくされている。しかし、若い選手たちは何とか打開しようと日々、工夫を重ね、全身全霊、プレーをしている。吉井理人監督も「若い子が日々、成長をしてくれているし、率先して明るく振る舞ってくれている。山本は打席の中でも戦術的に取り組むようになってくれているのも感じる。打席の中でも成長を感じる」と称賛する。
 その言葉の通り、山本は今年のオープン戦からメモ魔になった。打席のたびにその打席での取り組み方をメモ帳に書く。毎打席、書く。
その他にも気が付いたことがあれば書いている。暇な時間を見つければ、とにかく書き込んでいる。
 「こうやって1軍でずっとプレーをさせていただいているのは初めてのこと。初対戦のピッチャーも多いですし、いろいろと気付きも多い。この打席ではこういう風にアプローチしたけど、向こうにこう攻められて、やられてしまったとか、自分は、どういう風な目付けをしたか、何を狙ったかとか。その時の気持ちを素直に思うままに書き込んでいる。そして毎日、見直している」と山本。小さな努力の積み重ねが少しずつ結果にも結び付いてきている。
 シーズンは交流戦に入る。反転攻勢を狙うマリーンズは若い力を原動力としながら前に突き進む。喜びもあれば悔しいこともある。その両方を糧として前へと進んでいく。
若い力を軸に日々、成長をしながら戦っていく。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)
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