小学1年の時、父勇さん(46)と3歳上の兄大輔さんの影響で野球を始め、中学3年で全国大会に出場した。女子部員ながら選手としてのキャリアはチーム随一だったが、高校で待っていたのは“解散状態”の野球部を仲間と一緒に一からつくり上げることだった。
同学年で主将の近藤一汰は「僕たちは初心者。女子部員だったが、経験者の彼女がいたからチームのみんなは野球を続けられた」と感謝の言葉が尽きない。栗原光監督も「紗希がいたから野球部が立ち直れた。チームにとって存在は大きかった」と率直に認めた。
練習試合で二塁を守る愛用の黒色グラブは、中学生の時から手入れを欠かさない。この日もシートノックの補助の際、肌身離さなかった。「これで最後だと思うと、やっぱり公式戦に出場したかった」。胸につかえていた本音を漏らし、少しだけ悔しがってみせた。
(馬場秀幸)