勝利の瞬間、マウンド付近で松戸六実ナインによる歓喜の輪が広がった。喜色満面の選手もいれば、目頭を押さえる選手もいた。
Aシード拓大紅陵を1点差で撃破。それも、ZOZOマリンという大舞台で。八回途中まで2失点に抑えた佐古和哉は「みんなが『勝つ! 勝つ!』と声をかけてくれた。負ける考えは一切なかった」と仲間に感謝した。
 背番号「1」の3年右腕は最大のヒーローだ。130球を投げ抜き、七回まではわずか1失点。「重圧はあった」と11四死球を与えたが、緩い変化球を巧みに織り交ぜて要所を抑えた。一回に2四球と安打で無死満塁のピンチを迎えても無失点で切り抜けた。捕手の田中大夢主将は「あそこで流れを引き寄せた」と振り返った。
 佐古にとってZOZOマリンのマウンドは憧れの場所。「いつかここで投げたい」。小学生の時に千葉ロッテ戦を観戦した際に強く思った。
父親から「高めの直球は打たれる」と助言をもらい、変化球でカウントを稼ぎ、拓大紅陵打線を抑えてみせた。
 八回無死一塁から登板した3年左腕の狩野晃太郎は押し出し四球を一つ与えるも、それ以外は本塁を踏ませなかった。ナインの総力戦で学校最高成績に並ぶ4回戦進出を果たした。
(森大輔)
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