2年ぶりに実現した公立伝統校対決。内野席は満員で、外野席も解放された。
ともすれば重圧に押しつぶされそうな状況だったが、習志野の右腕、中原瑛心は違った。下手投げからコースを丁寧に攻め6安打完封。これが公式戦初登板の3年生は「チームのために投げたかった。結果として完封できて、とても良かった」とうなずいた。
 千葉県大会を準優勝した今春はベンチ入りできなかった。悔しさを胸に制球力を磨き、最後の夏は背番号「19」でメンバーに入った。超満員のスタンドを見た時は「えっ、こんなに(観客が)入るの」と驚いたという。プロ野球の西武などで活躍した牧田和久氏を参考にした、地をはうようなフォームから凡打の山を築き、小林徹監督は「球威で抑える投手ではない。丁寧に投げていた」と評価した。
 伝統の一戦について、小林監督は「銚子商業さんは千葉県をリードしてきたチーム。(銚子商の)ユニホームを見ると重みを感じる」。習志野の選手、監督として夏の甲子園を優勝した石井好博さんが2年前の11月に死去した後、初の対決で、最後の夏に懸ける右腕が存分に躍動した。

(森大輔)
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