「ホームランになって一番、自分がビックリした。ちょっと先だったのでどうかなあと思ったけど、外野手の追い方を見て、入ったと確信した。うれしいというか、ホッとしたというか。今日の打席にすべてを賭ける気持ちで昨日の夜からずっと気持ちを作っていた。結果につながって良かった」とヒーローとなり、久々のお立ち台に招かれた山口はうれしそうに話をした。
二回無死一、三塁の好機で迎えた第1打席。「2軍でもチャンスの時によく打席が回ってきた。だから逆にチャンスで回ってきたことでいつも通りに冷静に打席に入れたのかもしれない」と冷静だった。ネクストバッターズサークルでは、前の打者がどのような攻められ方をしているのかをジッと見つめた。そして定めた狙い球はチェンジアップだった。
「前の打者の池田(来翔)さんもチェンジアップで攻められていたので、チェンジアップは頭に入っていた。だから狙って思いっきり打った」と1ボールからの2球目をフルスイングした。山口らしい豪快なスイング。そしてこの男、独特の大きな弧を描くアーチだった。
「ボクを応援してくれる人、いるんやろうか?」。試合前、不安な想いが胸の内を駆け巡った瞬間もあった。しかし、それはもちろん杞憂(きゆう)だった。打席で名前がコールされると大声援に包まれた。「ボクを応援してくれる人がこんなにいるんだとうれしくなった。感謝しかない」と山口。ずっと待ってくれていたファンへの想いを届ける一発となった。
そしてこの日は昨年9月に生まれた娘がZOZOマリンスタジアムで初めてスタンド観戦をしていた。
「やるしかない。やるかやられるかの気持ちだった。これからも一日一日、この気持ちを忘れずにやっていく。今年は若い選手たちが活躍しているのでボクも負けじと存在感を出していきたい」。翌6日の同カードでも山口は本塁打を放った。悔しかった想いをバットに乗せ、日々全力で存在感を見せる。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)