勝浦市の興津海水浴場で14日、先祖を供養する夏の風物詩「灯籠流し」が営まれた。夕闇の中、3艘の小型船で運んだ約400基の灯籠が湾内に流されると、参加した地域住民や海水浴客らは、ほのかな光とともに流れる灯籠を静かに見つめ、手を合わせた。

 興津地区によると、灯籠流しは先祖供養や海の安全などを祈願し、70年ほど前から行っているという。一時途絶えたが、1990年代初頭に復活。約15年前からは地域おこしの一環として、真っ白な砂浜を活用し、宝探しなどの無料イベントも行うようになった。
 午後6時半ごろ、同地区の日蓮宗本山、広栄山妙覚寺の住職らの読経があり、集まった人々は波打ち際から灯籠を順々に小舟に受け渡した。程なくして灯籠が海面に浮かべられると、湾内を幻想的に染めた。
 この日は快晴に恵まれ、たくさんの海水浴客らが集まった。宝探しでは約20メートル四方の砂浜に、市内のリゾートホテル宿泊券など750個もの景品が書かれた茶封筒を用意。千人以上が参加し、大人も子どもも大いに盛り上がった。
 最後は75発の華麗な花火が打ち上げられ、市興津観光協会の忍足松夫さん(74)は「多くの人が参加してくれ、先祖の供養になったはず」と感謝。同海水浴場は3年連続で海辺の国際環境認証制度ブルーフラッグに認可されており、区長の中村勲さん(81)は「一人でも多くの人がこのビーチを知って、来てもらえたら」と振り返った。
(馬場秀幸)
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