(宮嶋優)
「会社の裏からガーンと大きな音がした」と話すのは同社の従業員の黒田一夫さん(74)。21日午前8時過ぎ、作業場で仕事前の準備をしていたときに大きな音が聞こえ、その場所の方に行ってみると、女性が運転する軽乗用車が車1台しか通れない狭い踏切内の縁石に乗り上げ、脱輪して動けなくなっていた。
黒田さんはすぐに他の社員に助けを求めるとともに、気が動転していた女性を落ち着かせ、踏切の非常ボタンを押すように指示。電車は手前で緊急停止をした。間もなく、従業員の花村竜太さん(38)によるクレーンを搭載したユニック車の操縦など6人の迅速な対応で、軽乗用車の救出に成功した。
黒田さんは「みんな『早く助け出さないと』という思いだった。けが人がいなくて良かった」。花村さんは「(次に同じようなことに遭遇しても)今回と同じように動くと思う」と話した。
感謝状を即日贈った同署の戸村靖司署長は「一歩間違えれば大惨事になっていた可能性もあった中、救助に当たったことに感謝したい」と行動をたたえた。