真夏に2022年の盗塁王が強い存在感を見せている。高部瑛斗外野手はここまで17盗塁。
そしてその中で失敗は一つしかない。背番号「38」が足でチームをけん引している。
 「いつだって次の塁を狙う気持ち。投手の特徴や走るタイミングをずっとコーチの方々と話をしながら、研究しながらやっている。ただ、むやみに走るのではなくて一番、確率のいいところで走れるようにという意識でやっています」と高部は胸を張る。
 ゲームを有利に進める、ここぞの場面での積極的な走りが際立つ。象徴的なシーンがある。8月24日のライオンズ戦(ZOZOマリンスタジアム)。0-0と拮抗(きっこう)したまま迎えた試合は高部の足からマリーンズが一歩、前に出た。
 五回の攻撃だ。先頭打者として二塁打で出塁をすると、次打者がバント失敗した後の1死二塁から盗塁。三塁を陥れた。
打席の藤原恭大外野手が、わざとセーフティーバントをする構えを見せ、三塁手が少し前にチャージしていたところで三塁突入。相手をかく乱させた一連のプレーは入念に準備されていたからこそ成功に導かれたものだった。そして1死三塁からは一ゴロの間に本塁へ。これが野選となり先制のホームイン成功。チーム全体で共有されていた緻密な機動力野球で、もぎ取った1点がこの試合の決勝点となった。
 舞台を京セラドーム大阪に移しての8月26日のバファローズ戦でもキラリと光る走りがあった。1点のリードを許した直後の八回の攻撃。先頭の山口航輝外野手が出塁をすると代走で登場。盗塁を試みて二塁を陥れた。続いてセカンドゴロの間に三進。上田希由翔内野手の中前打で生還し同点に追いついた。その後、試合は延長戦で敗れはしたが、高部の足がもたらした攻撃のリズムが試合を一度は振り出しに戻してみせた。

 「いつも身体も心も走れる準備をしている。おもいっきり行くことはもちろん、気負わないこと。いろいろなことを考えたりしたらどうしても鈍るので、そこは恐れずに。走ると決めたら、おもいっきって。いろいろな準備をして挑んでアウトになったら仕方ない。一度、決めたら、それくらい割り切りはある」と高部。そして「できることをやっているだけ。盗塁をするとチャンスが広がるので大事だと思っている」と語気を強める。
 一時は本来の調子とは程遠く歯がゆい日々を送っていた打撃の方もサブローヘッドコーチから毎日のように声をかけてもらいアドバイスを受け、励まされ上向きになっている。「とにかく振れ。思いっきり振れと言われています」と高部。どうしても結果を意識して当てにいく傾向にあった打撃だったが、フルスイングを意識することで本来の特徴的な鋭い振りが戻ってきた。
「ダメだ、ダメだとなると振れなくなる。今はフルスイングを意識している。振れないと勝負にならない」と手応えを口にする。背番号「38」が全力疾走とフルスイングを心掛け、マリーンズを勝利へと導いていく。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)
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