「オレもここでやったよ」。都内のロッテ本社で行われた新入団会見。
サブロー監督は新人選手たちがメディアの注文に合わせてポーズをとりながら写真撮影している姿を遠目に見ながら、しみじみと口にした。
 「あれから30年以上かあ。この立場でここに来るのはなんか不思議だね」
 1994年12月13日。同じ場所で入団会見が行われた。サブロー監督はPL学園高からドラフト1位での入団。当時はボビー・バレンタイン監督が新たに就任をしていた。まだ高校3年生の18歳。自分なりに頑張り、機転を利かせて、場を盛り上げようと英語で冒頭あいさつを行った。
 「監督がボビー(バレンタイン監督)だったから、英語でスピーチした。でも、下手な英語だったから全然、ウケなかった」と当時を思い返し、苦笑する。
 94年のシーズンにイチロー氏が登録名を鈴木一朗から変更してシーズン210安打を記録するなど話題となっていたこともあり、球団からの提案で登録名は苗字の大村ではなく「サブロー」となり背番号も語呂合わせで「36」が選ばれた。サブロー監督はそういうユーモアをしっかりと受け止める包容力をもつ人間だ。
だからメディアに喜んでもらおうと英語でもスピーチした。あれから月日は流れた。現役時代、1782試合に出場し2016年に現役を引退。2軍監督を経て、1軍監督に就任をした。そして今や「オレの苗字、みんな知らんやろ」というほど登録名はファンの間に浸透した。だから、あえて監督になっても、そこはそのままでいく決断をした。
 会見での新人たちの姿には「初々しいなあ」と目を細めた。そしてメディアからコメントを求められると「今回のドラフトはボクの中では会心のドラフト」と満面の笑みを浮かべた。その後、「困難な道だとは思いますけど、皆さんには一日でも早く1軍の戦力になってもらいたいです。みんな、練習はきついけど頑張ろうなあ」と優しい視線とともにエールを送った。
 このルーキーたちと共に新生サブローマリーンズは船出をする。さらに新たに加わる新外国人選手たち。
そして現役ドラフトではパワーが持ち味で指揮官も高く評価をする井上広大外野手がタイガースから入団をした。秋季キャンプでは「キツイけど楽しい練習」を実践し、選手たちがそのハードメニューを乗り越えてくれたことで、一定の手ごたえをつかんだ。「大事なのはファンの人にも楽しんでもらう事。一緒に喜びたい。みんなで一体となって打ったり、ピンチをしのいだり、勝った時はベンチを飛び出して跳ね上がって喜ぶようなチームでありたい」とチーム像を語る。12月下旬。2025年が終わり新しい一年が始まる。サブロー監督率いる新生マリーンズがパ・リーグの中心で暴れまくる。
(千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)
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