「母親代わり」のオランウータンのぬいぐるみを連れてサル山の群れになじもうと奮闘する姿が話題になっている市川市動植物園(市川市)の子ザル「パンチ」を巡り、群れのサルに引きずり回される場面を捉えた動画がSNSで拡散し、心配する声が上がっている。中には「いじめられているのでは?」といぶかる声も。
同園は20日、Xの公式アカウントで飼育担当者が〝異例〟の声明を発表。「パンチは何度も怒られたりすることでサルとして生きるためのコミュニケーション方法を学んでいる」「本気で攻撃しようとするサルはいない」と説明し、いじめではなく群れの中でのコミュニケーションの一環であるとして理解を求めた。
 拡散されている動画は19日午前中に撮影されたとみられ、パンチが群れの他の子ザルに近づいた直後、成獣がパンチを捕まえて引きずる様子が映っている。パンチはその後、母親代わりのオランウータンのぬいぐるみの元へ逃げ込み、しがみついたままその場から動けない状態が続いた。
 園は声明で、パンチが別の子ザルに近づいてコミュニケーションを取ろうとしたところ、子ザルが逃げ、パンチが諦めた際に、大人のサルに怒られて引きずられたように見えると説明した。引きずったのはパンチが近づいた子ザルの母親の可能性が高く「子ザルが嫌がることをされたと思い『嫌なことをするな』と怒ったのではないか」と推測した。また同日正午と午後3時のエサ撒きの際の様子は「いつもと変わりはなかった」とし、普段通りに他のサルとのコミュニケーションを取っていたという。
 パンチは昨年7月に生まれ、生後まもなく母親から育児放棄されたことから人工保育で育った。園は不安を和らげるため、タオルやぬいぐるみを用意し、オランウータンのぬいぐるみに寄り添う姿が話題となった。SNSではハッシュタグ「#がんばれパンチ」も広がっている。
 園は「パンチは怒られながらも立ち直りの早さなどメンタルの強さも持ち合わせている」とし「ただかわいそうと思うのではなく、頑張りを応援してほしい」と呼び掛けている。
(山崎恵)
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