印西市の観光振興を町制時代を含めて60年以上にわたり担ってきたNPO法人「印西市観光協会」を巡り、同市が支給してきた年間1000万円程度の補助金が打ち切られ、職員の半数が離職することが6日までに、関係者への取材で分かった。同協会内で不適切な会計処理があったとの疑惑が昨年11月ごろに浮上したとみられ、市側の調査を終えるまで補助がいったん見送りとなった。
同市も6日夕、「不適切な会計処理が行われた疑いがあり、調査をしている」と公表した。市内の観光案内所と公式のSNSアカウントが3月末で閉鎖し、従来のホームページ(HP)は閲覧できなくなっており、本格化する市制施行30周年記念事業にも水を差しかねない機能不全に陥っている。
 市HPなどによると、同協会は1961年4月に設立され、翌年度に補助が始まった。例年の支給額は1千万円程度で、事業収入や会費を大きく上回り、2021~23年度には歳入の6割以上を占めてきた。情報提供者の一人は「大きいイベントがあると別途入ってくる。昨年度は総額で2千万円ほどだった」と話す。
 協会の命綱といえる補助金はなぜ突如として支給されなくなったのか。その理由が“金回り”の疑惑だ。
 所管する市経済振興課の担当者は「補助金に伴う収支で報告書と領収書の金額が一致していない」との情報提供があったと説明。協会側から「『問題ない』との報告はあった」が、「疑惑を解明しないと今まで通りの補助は難しい」と中断を決めた。「関係を絶つわけではない」と再開の可能性にも触れつつ、協会へ監査に入る意向を示し、全容解明への姿勢を打ち出す。
 補助金の見送りを受け、離職を余儀なくされたのが20年続いてきた観光案内所「観光情報館」のスタッフらだ。
同館は北総線千葉ニュータウン中央駅前の大型商業施設「イオンモール千葉ニュータウン」に入り、運営費の全額を補助金で賄い、協会主催の「フォトコンテスト」の展示会場にもなってきた。3月末の閉館に伴い10人近くいたスタッフはいずれも契約更新されず、協会事務局職員らを合わせると離職者は約15人で全体の半数に上るという。
 今回の閉館ではそのプロセスも焦点の一つとなっている。市担当者は「27年3月末で閉館の予定だった」と述べ、あくまで前倒しと強調。収益改善を目指し、補助率の引き下げなど施策を検討してきた上で閉館自体はやむを得ないとの判断に至っていたといい、「既定路線」との立場をとる。
 一方、スタッフ側の一人は「昨年12月に雇い入れがあった」と明かし、閉館の予兆はなかったと市側の説明に異論を唱える。正式に伝えられたのは今年2月で、閉館の時期や理由の案内をギリギリまで阻まれたとも訴え、「納得できる説明をしてもらえず、不当解雇だ」と怒り心頭だ。
 協会ではこのほか、これまで運用してきたHPにアクセスできず、公開準備中の新HPに切り替わるなど余波が広がり続けている。不適切な会計処理は長年の慣行だとして「協会が私物化されている」との声も上がる。
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