榊は生徒たちに「制度」の大切さについて語る。社会には制度があり、社会で生きていくためには自分を制度に合わせていかなければいけない。学校はそのための練習の場である、と。そして、制度に自分を合わせられない人間、社会の枠組みからこぼれ落ちてしまう人間は、周囲の大切な人たちを悲しませることになる。落伍者である。榊は名前を出さずとも、生徒たちは誰もが陽平の話だとわかる。STEPルームで落ち込む陽平の前に、生徒たちが「味方」という看板を持って迫ってくるシーンは目頭が熱くなる。
榊による呪縛を解くためのヒントを与えたのは、STEPルームに話にやってきた依田浩二(玉置玲央)だった。依田は榊の欺瞞を指摘し、自分は自由だと生徒たちの前で叫ぶ。だが、それが彼の本心というわけではない。突っ伏して「俺だって、何かできたはずなんだ」と嗚咽する。だけど、彼の語った言葉は、生徒たちの行動のトリガーになる。
卒業式の季節がやってきた。STEPルームの生徒たちの前で、陽平はそれぞれのクラスに戻って卒業式を迎えてもいいんじゃないかと提案する。どうしても辛ければ逃げればいい。学校だって来なくていい。陽平はずっとそう言ってきたし、子どもたちは陽平の言葉で救われてきた。でも、と陽平は言う。