■オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会
『仮面ライダーセイバー』の大秦寺哲雄/仮面ライダースラッシュ役で注目を集める岡宏明さんに、オジンオズボーン・篠宮暁がインタビュー。
約1年前に行われた制作発表のときから、岡さんの仮面ライダーオタクぶりに気づいていたという篠宮さんですが、配信番組で共演することはあっても、あまり深い話をする機会はなかったそう。
篠宮 「セイバー」も終盤ですが、1年間を振り返って、俳優・岡宏明と特撮オタク・岡宏明、それぞれの目線での感想を伺いたいです。
岡 俳優としては、学ばせていただくことが多い1年でしたね。
篠宮 例えば、どんなことですか?
岡 朝焼けのカットを撮りに行く日がありまして、前日も夜遅くまでロケだったんですよ。スタッフさんたちは前日、遅くまで片付けをして、当日は僕らよりも早く入って準備してくださっていたり、中でも監督さんは寝る間も惜しんで演出を考えてくださったりとかしているじゃないですか。支えてくださる方々がいるからこそ、今仕事ができてるんだなってことにすごく感謝したし、それを学ばせていただいた現場。仮面ライダーに感謝してます。
篠宮 なるほど。
岡 特撮オタクとして思い入れがあるのは、アフレコですね。効果音も付ける前の本当に録り立ての映像に、自分たちで声を入れてバトルシーンを作り上げていくっていうのが、すごく新鮮で楽しかったです。一番最初に映像を見られるうれしさもありますし。
篠宮 アフレコをしたのは、変身してからですか?
岡 そうですね。
篠宮 スラッシュのハイテンションな芝居がかなり話題になってましたけど、あれはどんな感じでやってたんですか。
岡 あれは特別楽しいですね(笑)。
篠宮 はははは! 楽しそうですよね。
岡 自分の限界を探りながらアフレコをしている状況で、いけるところまでやろうと思って、ああいう感じになったんですが、皆さん喜んでくださって。
篠宮 性格がぱっと変わるのがわかるし、変身してる状態であれだけ声の差をつけてもらうと、「なるほど、こっちだとこうなるんだ」というのがわかりやすかったです。
岡 坂本浩一監督の回(9章「重なり合う、剣士の音色。」)だったので、割と自由にやらせていただいた感覚がありますね。
篠宮 鍛冶屋のときと、ソードオブロゴスに戻ってきたとき、どっちの大泰寺さんが好きですか?
岡 難しいですね~。どっちも演じていて楽しいんですけど。戦ってないときは、何かしら沈んでるタイミングのお芝居が多くて。
9話までは、変身できない自分に憤りを感じているのもあったと思うし、途中で賢人に剣を封印されて、また変身できなくなっちゃった時期も、みんなが戦っているのに自分は変身できないみたいな。それも一つ難しいお芝居だったし、それが面白味でもあったんですけど。剣士のときは、みんなと一緒にいられる時間が楽しかったですね。
篠宮 一年を通して、他にも難しいところありました?
岡 一番最初ですかね。映像のお芝居の経験があまりなくて。かつ、僕は結構社交的な方なんですけど、大秦寺さんってものすごい人見知りの設定から始まったので。
篠宮 うんうん。寡黙というかね。
岡 緊張するし、自分と性格かけ離れていて結構難しかったんですけど、皆さんに支えていただきました。
篠宮 自分の性格と近かったら、もう少し楽に演じられたところ、自分と違う部分が多すぎて難しかったと。
岡 そうですね。人見知りをどう演じようかというのは、ちょっと難しかった部分ですね。それを考えるのも面白くはありましたけど。
篠宮 そもそも、俳優になろうと思ったきっかけは何だったんですか。
岡 高校生のころ、たまたま東京に遊びにきていたときにスカウトしていただいたのがきっかけですね。
篠宮 芸能界でやっていくという気持ちが固まるまでは早かったんですか?
岡 せっかく声かけていただいたし、ちょっとやってみようかなって、初めは割と軽い気持ちでした。
篠宮 そこから、エンジンがかかるきっかけあったんですか。
岡 徐々にですね。多くのスタッフさんとか俳優さんたちと現場で関わっていく中で、お芝居ってすごく素敵だなぁと思いまして。
以心伝心じゃないですけど、みんなの息がぴったり合って、セリフのパスがうまくいったり、現場が一体になったりしたときに、監督さんからかかるカットの声って違うじゃないですか。うれしそうな声が聞こえると、やっぱりうれしいな、楽しいなって思います。そういうところを魅力に感じています。
篠宮 モデルのお仕事もされていますけど、俳優業との違いはどんなところにありますか?
岡 どちらも表現するということに違いはないのかなと思っています。ただ、俳優にとっての台本が、モデルにとっては服そのものだったりするのかもしれません。
役者は台本があって監督さんやプロデューサーさんと相談して役を作っていくんですけど、モデルは服が与えられるのみ。モデルの仕事は僕を選んでくれたデザイナーさんがいらっしゃってのことなので、どういう意図でデザインされた服なのかとか、どう歩いたらこの服が1番きれいに映るのか、というのを意識しています。
もちろん「こういう風に歩いて」という指示はあるんですが、それをこの服からどうやって汲み取ろうかと、自分の出来る表現を探しています。
篠宮 俳優を始めたときには、やっぱりいつかは仮面ライダーに、という思いもありました?
岡 俳優にならずとも出たいと思っていたのは間違いないですね。
篠宮 それは例えば?
岡 具体的にあったわけじゃないですけど、男の子だったらやっぱり仮面ライダーなりたい、って思うじゃないですか。
篠宮 特撮好きになった原点の作品は何ですか?
岡 難しいんですよ。明確に覚えているのが『仮面ライダーカブト』。それ以前もビデオを借りて観てた記憶があるんですけど、ストーリーとかを明確に覚えてないんです。だから、原点というなら「カブト」かな。
篠宮 それからもう、ずっと好きみたいな感じですか?
岡 ちょっと期間が空いて『仮面ライダーオーズ/OOO』ですね。
篠宮 間に何があったんですか?
岡 まぁ、小学校の高学年になるにつれて。
篠宮 わかります、みんな離れます。僕は離れたふりしてましたけど。
岡 僕は中学くらいのとき、「オーズ」で普通に戻ってきたんですよ。
篠宮 それね、一番幸せなんですよ。周りの友達の間とかで流行ってくれると、観る理由ができるんで。
岡 タトバとかガタキリバとかラトラーターとか、歌を歌ってる人たちがいて。「ん? この歌は?」って思って聞いたら、「お前、まさか『オーズ』観てない?」みたいな感じになって。それで観てみたら面白くて、そこからまた観るようになりましたね。
篠宮 ちなみに、俳優じゃなくても仮面ライダーに出たかったというお話でしたけど、今回、俳優として出演して、しかも1年間しっかり関わった映像作品なわけですよね。そんな「セイバー」は、これからも俳優を続けていく中で、岡さんにとってどういった作品になりそうですか?
岡 間違いなく、一生忘れられない作品になるでしょうね。みんなに感謝しながらお仕事を続けなきゃいけないと思わせてくれた作品です。
篠宮 仮面ライダーに出たいという望みを早々に叶えられて、次のモチベーションはどんなことですか?
岡 どんな仕事でも役でも、与えられた仕事を100%やり切るっていうのがまず、絶対にやらなければならないことだと思っています。
あと、最近すごくいい話を聞きまして。
それができる役者ってやっぱり重宝されるだろうなって思うし、すごくかっこいいなって思うんですよね。だから、そういう役者にいち早くなって役の幅を広げていきたいです。
篠宮 「セイバー」は最終回を迎えて一区切りとなると思いますが、今後、仮面ライダーとの付き合い方はどうなりそうですか?
岡 いちファンに戻るんじゃないですかね。イベントとかにお声掛けいただけたらいつでも行きますが、しばらくは普通に作品を見て、欲しければグッズを買い、みたいな(笑)。
篠宮 でも、その前に『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』が22日から公開になりますね。
岡 映画は、セイバーの世界にゼンカイジャーが来ちゃったという設定なんです。ゼンカイジャーのポジティブさとかコメディオーラに飲み込まれて、セイバーがゼンカイジャー色になっちゃいまして。本編では見られない、コミカルな感じになっていると思います。
篠宮 白倉(伸一郎)プロデューサーのやりたい放題というか。
岡 白倉さんがやりたかった事はこういうことなのかなぁと思いましたね。仮面ライダーとスーパー戦隊が総勢100人以上で戦うというのは、やっぱりすごいじゃないですか。アフレコで映像を見たんですが、土煙もやばいし、ヒーローたちが突撃していく様子が戦国時代の大合戦のような、すごい迫力でした。
篠宮 へ~! それは、公開が楽しみです。ありがとうございました!
【取材後記】
ちょうど一年前、『仮面ライダーセイバー』の制作発表の場で、自分の役どころを説明するのと同じ熱で【CSMの予約終了が早すぎる】という、一般の人にはなんのこっちゃわからない情報を平然と放り込み、特撮ファンの熱視線を一挙に浴びた仮面ライダースラッシュ/大秦寺哲雄役の岡宏明さん。
いえ、その本物の特撮愛はもはや岡宏明ではなく、「ヲタ宏明」と言っても過言ではありません。
かねてから、そんな岡さんとお話がしたいなと思っていましたが、今回その願いが叶いました。
僕よりも16歳も年下の岡さんですが、特撮という共通言語は世代の壁をも簡単に取っ払ってくれて、ものすごく自然にお話させていただきました。
インタビュー終了後、高揚していた自分に岡さんが何やら大きい袋を手渡してくれて、さらに高揚することに。

中を覗いて見るとなんと、クロスセイバーのオモチャが。
しかもただのクロスセイバーではございません。
箱には、バスターの生島さん、ブレイズの山口さん、さらにスーツアクターの森さん、小森さん、そしてなんと岡元次郎さんのサインが書いてあるではありませんか!
ご、豪華すぎる!!
岡さんがわざわざ集めてくださったそうです。
サインもうれしいし、岡さんのその気持ちがさらにうれしい。

人に何かをプレゼントするときは相手のことを最大限考えて、値打ち以上のものをどれだけ乗せられるかがいかに大事かということを思い知らされました。
本当にありがとうございました!
むちゃくちゃうれしい!
さすが大秦寺さん。
唯一無二のクロスセイバーを鍛冶してくれました。
「セイバー」はもう少しで終わってしまいますが、俳優・岡宏明さんをこれからも応援しつつ、ライダーファンとしてこの先どのように関わっていかれるかも注目したいと思います。
(撮影:小山志麻、取材、取材後記:篠宮暁、文:大谷和美)
【オジンオズボーン・篠宮暁の“特撮”向上委員会】
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