崎山蒼志の大いなる魅力:多くの映画監督を惹きつける理由(ワケ)|『かそけきサンカヨウ』も公開

2021年10月15日(金)より公開となった映画『かそけきサンカヨウ』。

父親の再婚に戸惑う女子高生・陽の葛藤と成長を描いた本作で、書き下ろし主題歌「幽けき」を担当したのが、いまや数多くの作品での楽曲起用が絶えない弱冠19歳のシンガーソングライター・崎山蒼志(さきやま そうし)だ。



孤独感や心細さ、誰しもが持つ心の影に寄り添った作品を象徴するような楽曲を、今泉監督は絶賛。
主演の志田彩良も「最後に崎山さんの歌声と奏でる音が優しく包み込んでくれる事によってようやく完成する。」と作品を支える楽曲の素晴らしさを語っている。

これに限らず、数多くの映画監督や俳優陣を惹きつけている神童・崎山蒼志を、今回は映画ファンの視点から紹介したい。

人気のきっかけとなったエピソードに始まり、彼が楽曲を担当した映像作品などを振り返ることで、その魅力の核心に迫っていきたい!

人気のきっかけ




彼が注目されるきっかけとなったのが、AbemaTVで配信された番組・バラエティ開拓バラエティ「日村がゆく!」の新人発掘企画だった。

垢ぬけない風貌と愛らしい人柄、一方で、唯一無二の歌唱力と演奏テクニックを披露したギャップにSNSでは瞬く間に大きな反響があり、川谷絵音(ゲスの極み乙女。)や岸田繁(くるり)など、名だたる著名人が絶賛のコメントを発表。

その後、多くのフェスやライブ出演を経て、2020年末に楽曲の先行配信を行い、続いて、2021年の1月にはアルバム『find fuse in youth』で念願のメジャーデビューを果たした。

「日村がゆく!」の時点で、オリジナル楽曲が300曲もあったという稀な経歴から、現在では、様々な作品で彼の楽曲が使用されているほか、多くの書き下ろし楽曲も発表し続けている。

--{世界観を彩る魅力}--

世界観を彩る魅力


彼の楽曲を起用する作り手には、今後の活躍を期待される実力派若手監督陣が多い。

例えば、『あみこ』や『魚座どうし』が高く評価された山中瑶子監督は、単発ドラマ「おやすみ、また向こう岸で」において、彼の楽曲「潜水 (with 君島大空)」を使用している。



同時に複数人と恋愛関係を築く"ポリアモリー"に着想を受け、3人の男女における恋愛関係を描いた本作では、彼の楽曲が物語の幕引きを彩っていく。

『ドライブ・マイ・カー』の三浦透子、『偶然と想像』の古川琴音など、世界を代表する濱口竜介監督作にも起用され、今後の日本映画を支えていくと思われる二大女優が共演していることも本作の見どころだ。
山中監督の最高傑作ともいえる本作で、彼の切実な歌声が組み合わされたことにより、狂おしい愛の物語に更なる説得力が生まれているのだ。

他にも、松本壮史監督(『サマーフィルムにのって』)、櫻井海音・石川瑠華がW主演を務めたソーシャルドラマ『水曜日22時だけの彼』では「そのままどこか」、安川有果監督(『21世紀の女の子』や『蒲田前奏曲』)の単発ドラマ『グッバイ筋肉!』では「夏至」が主題歌として起用されている。



これらの楽曲は、映像作品に合わせて作られたわけではないものの、曲が持つ独特の魅力と作品の世界観が奇跡的な融合を果たしているため、映像と音楽、それぞれが良さを引き立たせ、相乗効果を生んでいると言えるのだ。

--{物語を象徴する楽曲}--

物語を象徴する楽曲


そして、シンガーソングライターとしての彼の魅力を最大限に発揮しているのが、作品に着想を受け、手掛けてきた数多くの書き下ろし楽曲と言える。

その中でも、とりわけ注目を集めたのが、英勉監督ほかがメガホンをとった「賭ケグルイ双(ツイン)」だ。



学園内ギャンブルが横行する"私立百花王学園"を舞台に、主人公・早乙女芽亜里が気高く生き抜いていく人気ドラマのスピンオフ作品で、崎山は主題歌「逆光」を担当

混沌とした世界を生き抜く主人公の活躍を独特な言葉選びで表現し、クールで尖ったギターのサウンドが、そんな作品世界を見事に再現している。

また、池田エライザの初監督作品『夏、至るころ』では、TV番組での彼女との共演経験もふまえて、「ただいまと言えば」を書き下ろし。



『明け方の若者たち』の公開も控えている松本花奈監督とは、過去にMV撮影を担当してもらった縁もあり、ドラマ『平成物語~なんでもないけれど、かけがえのない瞬間~』で「泡みたく輝いて」を書き下ろしている。

特に後者では、亡き恋人との思い出を遡っていく切ないドラマの内容を引き立たせる形で屈指の名曲が誕生している。
"なんでもないけれど、かけがえのない瞬間"というサブタイトルを落とし込んだようなアコースティックギターの音色が観る者の心を溶かし、戻らない時間の美しさを際立たせたのだ。

--{広がる才能}--


広がる才能


ここまでは崎山が楽曲を手掛けた映画やドラマを紹介してきたが、彼の才能はそれだけにとどまらない。

出光興産全国高校サッカー選手権大会応援CM就活エージェントなど、ショートフィルム形式のCMや一風変わった企画にも果敢に取り組んでいるのが、その活動の興味深いポイントといえる。

「サントリー天然水 GREEN TEA」のプロモーション企画 「徒然なるトリビュート」では、tofubeats、Saucy Dog、ネクライトーキーといった個性派アーティストに並び、徒然草の1節を題材にした1曲を書き下ろし。



独特な言葉選びのセンスを用いて、伝統的な古典文学の再解釈にも挑戦している。

また、シンガーソングライターとしての印象が強い彼だが、過去には役者として作品の出演経験もあるのも、ファンなど知る人ぞ知る経歴といえるだろう。

のちに「Samidare」を含む、彼のMV三部作を撮影することになる映画監督・写真家の枝優花(『少女邂逅』や『放課後ソーダ日和 特別版』)が手がけたドラマ「スイーツ食って何が悪い!」では、スイーツ好きであることを周囲に隠している主人公・角田を演じている。

劇中では、彼にしか出せない独特の存在感が印象に残る。
枝監督の過去作と同様、同性間の心地よい信頼関係に、自然と口角が緩む名作ドラマとなっている。

このように多くの映像作家とのコラボレーションを経て、様々な分野で、その若き才能をいかんなく発揮してきた崎山蒼志。

先日も、水野良樹(いきものがかり)との共作で、ドラマ「顔だけ先生」の主題歌でもある楽曲「風来」を発表するなど、その勢いは衰えを知らない。

鮮烈なデビューを飾り、裸足のまま、やって来た彼は、これから先、どのような言葉を紡ぎ、どのようなメロディを生み出しながら、駆け抜けてゆくのか。

映画ファンの一人として、今後も彼が色づけていくであろう物語の数々を心待ちにしていたい。

(文:大矢哲紀)

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