Aマッソにとって「THE W」とは何だったのか

Aマッソにとって「THE W」とは何だったのか
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12月13日に放送された女芸人No.1決定戦 THE W 2021。「“この世で一番オモシロイ女性”を決める祭典」と銘打たれ、ファイナリスト10組がネタを披露した。混戦の中、ネタ披露のトリを務めたのが新進気鋭のお笑いコンビ・Aマッソ。昨年から2年連続のファイナリストであり、過去にM-1でも二度準決勝に進出している実力派だ。

昨年の決勝で注目を集めたAマッソ

Aマッソは幼なじみ同士で結成された大阪出身のお笑いコンビ。女性芸人にありがちな突飛なファッションやヘアスタイルなども用いないメンズライクで地味な出で立ちながら、いざネタが始まると他に例をみない設定が多く、その実力に驚かされる。2015年にはすでにお笑いサバイバル番組「爆笑ファクトリーハウス笑けずり」(NHKBSプレミアム)にて勝ち上がっており、優勝こそ逃したが中川家や笑い飯など有名芸人を唸らせていた。しかし、その後はなかなかメディアでの露出に恵まれず地下ライブや事務所内の大会での活動が続いた。

そんな中、昨年のTHE Wで披露した斬新な映像漫才(プロジェクションマッピングを用いた漫才)は話題を呼び、2021年は雑誌やテレビ、YouTubeなど多くの番組でその姿を見ることができた。ラジオ番組「AマッソのMBSヤングタウン」のレギュラーを獲得したのも記憶に新しい。

大会自体のレベルが上がっている「THE W」

これまで「THE W」といえば、有名賞レース「M-1グランプリ」や「キングオブコント」に比べ盛り上がりに欠ける印象にあった。お笑いを性別で分けることの違和感に加え、THE W出場者は知名度に欠けることが多かったのも理由の一つだ。これはお笑い界において男性コンビが主流であった上、テレビなどで活躍するのも男性芸人がほとんどであったため、仕方ない部分でもあるだろう。

しかし近年メディアでも女性タレントの活躍が増えていき、女性芸人がメインの番組も目にするようになってきた。そのため「THE W」歴代優勝者の阿佐ヶ谷姉妹やゆりやんレトリィバァ、3時のヒロインなども一般視聴者から認知が高まり、大会が年々盛り上がっている印象にある。

実はAマッソは2018年と2019年、「THE W」にエントリーしていない。ネタ作成者の加納愛子も、雑誌の対談で「ずっと反抗的に出てなかった」と語っている。「THE W」に限らず、お笑いに本気で向き合ってきたからこそ折り合いがつかない場面はこれまでAマッソにとって多くあったはずだ。実際に、メディアの取材で(周囲のアドバイスに対して)「私らの中でとらえ方が『やかましいこと言ってきてる』から『ほんまにうちらのことを思って言ってくれてる』って変わった」と語っていた。身近な人の考え方を吸収し、チーム・Aマッソとしての絆を深めてきた結果が今に繋がっているようである。

そして2020年で初の「THE W」決勝進出。本大会をコントや漫才・歌ネタなど何でもアリの異種格闘技と捉え、前述した映像漫才を披露した。これはM-1でもキングオブコントでも披露できないネタであり、「面白さ」と「驚き」で視聴者にインパクトを与えるには充分だった。「他の女性芸人とは何か違う」という印象付けができたことが、今年1年の多岐にわたるメディア露出に繋がった。

ハイレベルな大会となった今年の優勝者は!?

そして2021年も順当に決勝へと進出。今年のTHE Wは昨年準優勝の紅しょうが、今メディアで大活躍中のヒコロヒー、ベテランながら昨年新型コロナ感染で出場を辞退することになったスパイクなど、ハイレベルな戦いとなった。Aマッソの披露したネタは「電話対応」。単独ライブでも支持を受けていた一本だ。普段のAマッソに比べて、展開が分かりやすく伝わりやすいネタであった。

結果、Aブロックの勝者は独特の世界観のコントで挑んだオダウエダ。Bブロックは天才ピアニストと接戦の上、Aマッソが勝ち星を上げた。また、敗者となった天才ピアニストも今年新設された国民投票枠(視聴者投票にて最終決戦に進出できる「第三の枠」)に選ばれ、三つ巴の戦いとなった。

そして最終決戦。Aマッソのネタ順は1番目で不利と思われたが、なんと披露したのは昨年と同じ映像漫才。映像の派手さは勿論あるが、しゃべくりの内容のみでも充分面白いネタであり、かなり本気で仕上げてきたのが伝わった。何よりも2人が昨年の悔いを晴らすように思い切り楽しそうに漫才をしていたのが印象的だった。

多様な「笑い」が混在した本大会。見事、激戦を制したのはオダウエダ。優勝こそ逃したが、ネット上にはAマッソの惜敗を嘆くファンの声で溢れている。Aマッソのネタが面白いという事実が世間に広く渡るきっかけになったのではないだろうか。

一度は心離れた大会に、取り組む姿勢を変えて真っ向勝負で挑んだ努力。THE W準優勝という結果は、彼女らの変化と成長を象徴していた。そして勢いづいた2人の「笑い」はこれからも発展していくのだろう。

AマッソにとってTHE Wとは何だったのか。2022年は、彼女らを応援しながらその答え合わせをするような一年になりそうだ。今回Aマッソを含む他の出場者がレベルの高い争いを見せたことで、今後もTHE Wの開催価値が高まっていくだろう。女性であることをハンデにも強みにもせず真っすぐな「笑い」を見せてくれた彼女らの、さらなる飛躍に期待したい。



(文:みくりや佐代子)
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