森秋彩が20歳の誕生日迎える 「楽しくのびのび登る姿を見せたい」

森秋彩が20歳の誕生日迎える 「楽しくのびのび登る姿を見せたい」

　2024年パリ五輪のスポーツクライミング女子日本代表（ボルダー＆リード種目）に内定している森秋彩がきょう17日、20歳の誕生日を迎えた。彼女が2位で終えた今月8、9日（現地時間）のW杯コペル大会終了後、20歳となる心境や来夏の五輪に向けた想いなどを文章にしてCLIMBERSに寄せてくれた。

　森は8月に行われたIFSCクライミング世界選手権（スイス・ベルン）のリード種目で日本人初優勝、日本女子としては種目を問わず初の金メダルに輝く快挙を果たすと、パリ五輪の出場権がかかったボルダー＆リード種目では3位に入り、念願の五輪代表に内定した。以下、森のコメント。

【世界選手権とパリ五輪内定について】
「単種目のボルダー、リード、そしてボルダー＆リードとかなりの長期戦で、体力はもちろん、メンタルの維持がかなりハードな大会だったと思います。最近では苦手分野であるボルダーでも決勝に残れることがしばしばありましたが、世界のレベルには到底届かず、今後さらに強化していく必要性を実感しました。

　リードでは念願の優勝、しかも完登での優勝は心から喜ぶことができました。私は成績よりも『自分と課題との勝負』という位置付けを大切にしているのでとてもうれしかったです。パリ五輪チケットのかかったボルダー＆リードの決勝では、ボルダーで他の選手にポイントの差をつけられ、リードでの挽回が必須ということを理解した上で臨んだのでかなり不安でした。決勝当日に突然の発熱と腹痛に見舞われベストコンディションではありませんでしたが、だからこそ『今のこの体でできるだけのことをやろう』とまっすぐな気持ちで臨めたのが結果的によかったのではないかなと思います。

　リードはゴール取りでフォールし、直後はパリ五輪チケットを手に入れたことより完登できなかった悔しさのほうが大きかったですが、帰国してたくさんの方々にお祝いの言葉をいただき、だんだん実感と喜びが湧いてきました。東京五輪の出場権は惜しくも得ることができず、とても悔しい思いをしました。そしてテレビで応援し、輝かしいパフォーマンスと豪華な舞台に憧れを抱いていたので、その舞台に来年立てると思うと今からワクワクします。クライミング人生で一番と言っていいほどパリ五輪は大きな舞台ですが、今まで通り気負わず、楽しくのびのび登る姿を沢山の方に見ていただきたいと思っています」

【20歳を迎えるにあたって】
「正直まだ実感が湧かないです。普段もいまだに中学生に間違われますし、自分でもまだ20代に突入するということが信じられないです（笑）。だとしても実際は今年で20歳。大人になるということを自覚して、アスリートとしての強さだけでなく人間力の部分もこれまで以上に磨いていきたいと思っています。礼儀やマナー、たくさんの方との会話など、今後五輪出場を目指すジュニアアスリートの模範になれるような行動を心がけたいです。お酒は飲みません（笑）」

【来夏のパリ五輪へ向けて】
「長いようで短いこの1年間で、できるだけの強化をしてベストな状態で臨みたいです。東京五輪はコロナ禍により無観客でしたが、パリ五輪は有観客ということで皆さんの応援の声を力により一層良いパフォーマンスができるかと思います。ただ、私は成績よりもクライミングを『楽しむ』ことをモットーにしています。普段の練習や外岩で登るときのように目の前の課題に真っ直ぐに向き合い、全力で立ち向かう姿を見守っていただけるとうれしいです。また私は大学生なので、すべてをパリ五輪に捧げるのではなく、学業にも同じくらい全力で取り組みたいと考えています。来年もクライミングと学業の両立でかなりハードな1年になるかと思いますが、1日1日を大切に、精一杯努力していきたいと思います」

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