今回の名画は『ぶらんこ』。
貴族の生活をのぞき見! フラゴナール『ぶらんこ』
緑豊かな庭で、ブランコに乗って遊ぶ女性とブランコを押す男性の楽しそうな様子。きれいな絵です。
この作品は、ロココ絵画を代表する絵として知られます。ロココとは、18世紀フランス宮廷から始まった美術のスタイル。建物やインテリア、服装などで華やかな装飾のものが作られ、絵画では自由きままな表現で描かれました。
貴族の注文によって描かれたこの作品。よく見ると、画面左下にも男性の姿があります。彼はどうやら、風でめくれたドレスから見える女性の足をこっそり眺めているよう。じつは男性は絵の注文主である男爵で、女性は彼の恋人。この絵はなんと、ちょっとエッチな大人の恋愛の様子を描いているのです。
作者のジャン・オノレ・フラゴナールは、当時の大人の恋愛の様子を多く描き、貴族に大人気でした。現在では、絵の内容はともかく、筆致や構図などの完成度が高く、とても美しい絵として評価されています。
大人の恋愛を素敵な雰囲気で描いた
若いうちにコンクールで入賞するなど、才能に恵まれたフラゴナールの代表作。服装や庭園の様子など、ロココ美術の特徴が表れています。
鍵をかけた部屋で二人っきり!
扉に鍵をかけた瞬間を描いたこの作品は、明るいところと暗いところを描くことで、ドラマチックな雰囲気に。
【豆知識】
『ぶらんこ』の二人は、どうやら秘密の恋をしていたようです。というのも、画面左端のキューピッドの彫刻が、唇に指をあて「しー、内緒だよ」というようなポーズをとっているからです。
次回のテーマは「30年間で約300点描いた! モネが『睡蓮』で表現したかったこと」です。お楽しみに!
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青い日記帳 監修:川瀬佑介 【著者:青い日記帳】Tak(たけ)の愛称でブログ「青い日記帳」を主宰。1年に300以上の展覧会に足を運んでレビューを行うほか、美術の本質を見極めながら、広くて深くてしなやかな美術鑑賞法発信。