フランチャイズによる開業を検討している時、どの業種で始めたらいいのか迷う人は多いでしょう。特に、独立・開業が初めての人は、どのような業種だと事業を始めやすいのでしょうか。


そこでこの記事では、「初期費用を抑えられる」「特技・得意なことを活かせる」「将来性がある」という観点から10業種を厳選してご紹介します。初心者が業種を選ぶ際のポイントもあわせて解説しましたので、ぜひ参考にしてください。

■初心者が業種を選ぶ時に気を付けたいポイント

フランチャイズは開業にあたって必要な支援を本部から受けられるため、初めて独立する人でもハードルの低いスタイルです。しかし、フランチャイズオーナー・経営者として実際に店舗を運営していくのは自分自身ですので、参入する業種はよく検討して選ぶ必要があります。

おすすめの業種を具体的にご紹介する前に、まずは、初心者が業種を選ぶ際に気を付けたいポイントをお伝えします。
<初期費用は準備可能な範囲に収まるか>

フランチャイズとひと口に言っても、かかる初期費用は業種や加盟する会社によって大きく異なります。数十万円という低コストで開業できるものもあれば、1000万円を超えてしまう業種もあります。

そのため、気になった業種や会社の初期費用は必ず調べ、自分が無理なく準備できる範囲内のフランチャイズを選びましょう。また、自己資金だけでは足りず借入をすることになっても、身の丈を超えた金額のローンを組まないよう気を付ける必要があります。

万が一ビジネスがうまくいかなかった場合、借入金が負債として残ってしまうことがあるからです。初心者なら、できるだけ初期費用が安い業種から選ぶと安心でしょう。
<稼ぎやすい業種か>

フランチャイズ以外のビジネスにも言えることですが、安定収入を得るには、稼ぎやすい業種かどうかが重要です。
稼ぎやすさはトレンドの影響を受けるほか、地域性や店舗の立地などにも左右されます。

たとえば、タピオカのように爆発的な流行にうまく乗ることができれば大きな収益が得られますが、流行が終息して需要が少なくなり、店舗も飽和状態になった頃に参入しても稼ぐことは困難でしょう。稼ぎやすさや需要をよく見極め、参入する業種を決めましょう。
<自分が得意な業種、やりたい業種か>

ビジネスである以上、需要や稼ぎやすさは欠かせないポイントですが、「自分が得意とする業種か、やりたい業種か」というのも忘れてはいけない点です。いくら需要があって稼ぎやすくても、それだけをモチベーションに仕事を続けられる人は少ないでしょう。

需要や稼ぎやすさだけでなく、得意なことを活かして仕事がしたい、新たなジャンルに挑戦してみたいという情熱とのバランスも大切です。それに、興味のある仕事ほど、知識を得ることや試行錯誤することは苦になりません。主体的に学び創意工夫できれば、ビジネスが成功する確率も各段に上がるでしょう。
■初期費用を抑えられるフランチャイズ3業種

「できるだけ費用をかけずに開業したい」という人は多いでしょう。ここからは、初期費用を抑えられるフランチャイズの業種を3つご紹介します。
1.ハウスクリーニング

ハウスクリーニングは、高齢者や共働きが増えたことにより需要が高まっている業種です。特別な資格が必要ということもなく、開業前の研修によって未経験者でも安心して業務が始められます。


ハウスクリーニングは依頼者の自宅を訪問して作業を行うため、店舗を構える必要がなく、初期費用のほかランニングコストも抑えられます。初期費用は本部によって異なりますが、加盟金や用具代、研修費などをあわせて50万~350万円程度というところが多いようです。
2.リペア業

リペアとは、傷を補修したり、壊れたものを修復したりすることです。エコに対する意識が高まる昨今、リペア業も需要が多くなっており、中でも、革製品や携帯電話、車などのリペアに人気が集まっています。

リペア業は商品を販売することなく修理が主な業務となるため、余計な在庫を抱える必要がないところが主なメリットです。

店舗を構える場合もありますが、自宅で開業すれば店舗にかかる家賃や諸経費が発生せず、費用を抑えることができます。主な初期費用は、加盟金や車両費、材料・機材費、研修費などです。本部によっては資金支援制度により頭金0円で開業できるところもありますが、一般的には150万~420万円程度の初期費用がかかります。
3.宅配ドライバー

インターネットでの買い物が当たり前の世の中になり、宅配ドライバーへの需要も高まっています。ドライバーのフランチャイズは、店舗を構えるための土地や建物を用意する必要がなく、一人でも開業・運営が可能な仕事です。最近では、女性ドライバーや副業でドライバーをする人も増えています。

一般的に、ドライバー業は運行管理者の資格や運送業許可の取得が必要ですが、フランチャイズで行う場合は自身の運転免許証と車両があれば業務が始められます。
初期費用は、加盟金や研修費、配送業初期道具費などとして10万~140万円程度かかります。

初期費用を抑えたい方だけでなく、「自分には特別なスキルや資格がない」と感じている方にもおすすめの仕事です。
■特技・得意なことを活かせるフランチャイズ3業種

元々持っている特技や得意なことを活かして開業したい! という人もいるでしょう。ここからは、そうした方におすすめのフランチャイズの業種を3つご紹介します。

1.家事代行業

家事代行とは、依頼者に代わって家事を請け負う仕事です。近年では共働き世帯や高齢者世帯、単身世帯が増加し、「家事に手が回らない」という悩みも増えていることから、家事代行業へのニーズは年々高まっています。

依頼内容は幅広く、掃除や洗濯、料理の作り置きのほか、子どもの世話や外出の同行を行う場合もあります。家事の経験が豊富な方や家事全般が得意な方には、特におすすめの仕事です。

フランチャイズで家事代行業を開業する場合、初期費用は150万~250万円が目安となりますが、安いところでは50万円程度、またはほとんどかからないケースもあるようです。
2.結婚相談所

結婚相談所は、会員の結婚相手探しを手伝い、成婚に導くことが業務です。結婚相談所は、コミュニケーション能力が高く、人と接する仕事の経験がある人や話を聞き出すのが得意な人に向いているでしょう。また、力仕事を必要としないため、女性にもおすすめです。


フランチャイズで開業する場合、初期費用は50万~150万円程度が目安になります。

フランチャイズの中には、Webを使って無店舗で開業・運営できるところもありますので、自己資金を抑えたい方や自宅で仕事がしたい方も検討してみましょう。
3.訪問介護

訪問介護は、訪問介護員(ヘルパー)が要介護高齢者の自宅を訪問し、食事や入浴、トイレなどの身体介護や、掃除や洗濯、調理、買い物などの生活援助を行う仕事です。すでに超高齢社会を迎えている日本では、今後ますますの需要が見込めますし、これまでに介護職の経験がある方や福祉系の資格を持っている方には特におすすめです。

フランチャイズで開業する場合の初期費用は、200万円程度となります。
■将来性があるフランチャイズ4業種

これから開業するなら、市場が拡大していく業種を狙いたいものです。最後に、将来性があるフランチャイズ4業種をご紹介します。
1.買取業

買取業とは、ブランド品や貴金属、金券などを顧客から買い取り、購入価格より高い価格で販売することで差額を利益とするビジネスです。

近年、消費者の節約やリユース意識、断捨離人気などが高まり、買取業界は盛り上がりを見せています。また、買取業界は「不況の時にも成長できる業界」と評価され、安定した収益も見込めるビジネスです。フランチャイズなら、買い取った商品を販売する流通ルートが確立されており、本部の研修で査定の知識を身に付けられるため、初心者でも安心して開業できます。

フランチャイズで開業する場合の初期費用は、500万~1000万円が目安ですが、本部によっては100万円以下の初期費用で始められるところもあります。

2.便利屋ビジネス

便利屋とは、依頼者の困りごとを解決する仕事で、草むしりや害虫駆除、不用品処分、リフォーム、家具の移動や組み立て、パソコン接続や修理、買い物代行など多岐にわたる業務を行います。特に最近では、老夫婦や高齢者の一人暮らしが増えていることから、買い物や重労働、パソコン接続などへのサポートが欠かせず、ニーズはまだまだ伸びていくと考えられます。

また便利屋は、日常生活における悩みごとを解決し、細かい作業も多いため、面倒見の良い人や手先の器用な人に向いているビジネスと言えるでしょう。

便利屋をフランチャイズで開業する場合、初期費用は100万~250万円程度が目安となります。
3.オンライン塾・個別指導塾

オンライン塾は、コロナ禍による外出や対面指導の自粛により、一気に需要が伸びました。タブレット学習の浸透から、今後も一定の規模で拡大が続くと予想されています。

また昨今では、少子高齢化により子どもの数が減る一方、子ども一人当たりの教育費は増大し、「子どもを個別に、丁寧に見て欲しい」と希望する親も増えました。それに伴い、個別指導塾にも人気が集まっています。

フランチャイズで学習塾を開業する場合の初期費用は、500万~800万円が目安となりますが、自宅での開業や、オンライン塾にすることで費用を抑えることができます。
4.高齢者向けデリバリー(配食)業

高齢者向けデリバリー業は、高齢者が増加し、食事のデリバリーが浸透したことで、市場規模が拡大を続けています。未経験でも可能なのか気になるかもしれませんが、高齢者向けの配食業は、完成したお弁当を仕入れて運ぶ、または店舗で簡単な盛り付けだけして運ぶスタイルが主流なため、調理経験がない人や専門資格を持たない人でも参入できます。

フランチャイズで開業する場合の初期費用は、250万~500万円程度です。
デリバリーであるため、人通りの多い場所や一等地に店舗を構える必要がなく、物件取得費が安い地域を選んで開業できるのもメリットです。
■幅広くフランチャイズの業種を調べてみよう

フランチャイズには、実に多種多様な業種が存在します。中には、街でよく見かける店舗が、「実はフランチャイズ展開している企業だった」ということもあるものです。フランチャイズによる開業を考えているなら、自分が知っている業種や興味のある業種に限らず、これまで知らなかった業種や本部も調べてみましょう。

実際に開業する際は、特に初期費用を正確に把握しておくことが大切です。加盟金や研修費のほか、本部によってさまざまな費用がかかりますので、「こんなに初期費用が膨らむとは思わなかった」と後悔しないよう念入りに確認しましょう。

武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら
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