『M-1』で着実に前進「緩やかに忙しくなっている」

『M-1グランプリ2024』で決勝初進出ながら4位と大健闘し、大きな注目を集めたお笑いコンビ・エバース(佐々木隆史、町田和樹)の90分冠特番『エバース漫才記』が、2月21日(22:25~23:55)にCS放送「映画・チャンネルNECO」で放送される。東京しゃべくり漫才の次期エースとも謳われる2人にインタビューし、昨年の『M-1』の反響や今後の抱負、コンビとしての強み、収録の感想などを聞いた。

――昨年の『M-1グランプリ』で4位となり、強烈なインパクトを残しましたが、お二人にとってどんな大会になりましたか?

町田:優勝はできなかったですけど、いい形で世に出られたかなと思います。


佐々木:名刺配りという感じですかね。

――2022年は準々決勝初進出、2023年は準決勝初進出、2024年は決勝初進出と着実に前進されていますが、勝ち上がるために変えてきたことなどあったのでしょうか。

佐々木:経験値が上がって技術面も上がっているのかなと。僕ら的にはあんまり変えているイメージはなく、毎年同じように作って、同じようにやっている感覚。同じ場所にずっとパンチを撃ち込んで、壁を壊して進んでいくというイメージです。

町田:吉本はいろんな劇場があり、いろんな客層でできるというのもありがたいなと。前は東京のライブのみでしたが、それが広がっていって、経験を重ねられたというのがあると思います。

――昨年の『M-1』で知名度が上がったと思いますが、変化を感じていますか?

佐々木:昨年の決勝以降は、普段のライブでも歓迎してもらえているというか、ファイナリストだという空気はありますね。2023年に敗者復活に出てからライブは増えましたが、普通の寄席だと知らない人も全然いるという感じで、今年に入ってからエバースという名前が出ると歓声が上がるようになりました。

町田:ルミネとかで「キャー!」ではないですけど「おー!」というのがあって。ルミネで見られたという顔をしている方もいて、うれしかったです。

――決勝進出の反響で一番うれしかったことは?

町田:街で声をかけられることがかなり増えました。
みんな『M-1』を見ているんだなと。今までだったら絶対になかった同世代の男性から声をかけられることが多くて、女子高生も知ってくれていて、「写真撮ってください」とか言われてうれしいです。

佐々木:業界の人たちが『M-1』ファイナリストとして気を遣って接してくれるようになったのがうれしいです。ちゃんと仕事相手として対応してくれるようになってよかったです。

――仕事のオファーが増えていると思いますが、生活の変化はいかがですか?

町田:いい具合にやらせてもらっているなと。忙しくはなりましたけど、全然寝られていますし。

佐々木:今までの芸人人生でいうと、去年仕事がけっこう増えたんです。だから慣れた感じはします。『M-1』で毎年1個ずつ上がって、緩やかに忙しくなっているので、急激に忙しくなったという感覚はないです。
○冠番組で新作漫才を3本披露「エバースの真骨頂が見られる」

――冠番組『エバース漫才記』の放送が決定したときの心境をお聞かせください。

佐々木:俺が漫才3本作らなきゃいけないんだって思いました。売れている人だったらロケに行くだけで面白いですけど、俺らがただロケに行くだけじゃ誰も興味ないかというのもあるので、やるしかないなと。


町田:めっちゃうれしかったです。しかも2人だけでやらせてもらえるというのはありがたいですね。

――オールラウンド漫才師を目指して、「メイドカフェ」「茶道」「忍者」という未知の世界を体験し、3本の新作漫才を披露するという内容ですが、挑戦してみていかがでしたか?

佐々木:1時間ロケして1時間ぐらいでネタを作るというのを3回。それを1日でやったのでかなりハードでしたが、1時間で作ろうと思えばネタが作れるんだと思いました。芸人はだいぶすごいことしているなと思うと思います。漫才師のすごいところが見られる、エバースの真骨頂が見られるのでぜひ見てください。

町田:ネタ作りの雰囲気を公開したことがないので、その辺を見てほしいですね。こうやってできていくんだというところを見てほしいです。

「まだ続けてもいいのかな」と思えた転機を明かす

――これまでの活動を振り返って転機だったと感じている出来事を教えてください。

佐々木:初めて『M-1』の3回戦に行ったのが4年目で、世間的には3回戦なんて何でもないんですけど、当時の自分たちにとっては初めて3回戦行けたって。1回戦、2回戦で落ちるのは、芸人辞めた方がいいぐらい落ち込むことなので、3回戦に行けたのは、まだ続けてもいいのかなと思える転機でした。

町田:そのあとだと、準々決勝に初めて行ったときに、ミキさん、俺ら、オズワルドさんという並びで、僕らだけ落ちてしまいましたが、僕らもちゃんとウケて、伊藤(俊介)さんから「全然通用しただろ」みたいなことを言われて自信になりました。
そういうことの積み重ねでちょっとずつ自信がついて、決勝につながったのかなと。

――コンビの強みをご自身ではどのように捉えていますか?

町田:普段に近い状態でネタがやれているというのが強いのかなと。楽屋でしゃべっている感じのままできていて、ネタとのギャップを埋める必要がないので。

佐々木:僕らは何年か前からラジオをやっていて、そこから人気が出てきたというのもあるんですけど、2人の会話がそのまま漫才にも生きて、2人の会話が強みなのかなと思います。

――「組んでよかった」と感じている相方の魅力についてもお聞かせください。

町田:『M-1』の決勝に行けるネタを1人で作れるというのは頼もしいです。僕はネタを一切作れないですし、トークの組み立ても全然できないですけど、そういったことを全部やってくれているので。

佐々木:引っ越しを手伝ってくれる。相方で引っ越し手伝ってくれる人ってあんまりいないですから。あと、周りの芸人から「面白い」って褒められますけど、できすぎるヤツじゃなくてよかったなと。ネタ合わせで我を出してこないので、いいなと思っています。

――お二人は4年半ぐらい同居されていて、昨年同居を解消されたそうですが、新生活はいかがですか?

佐々木:昔よりいい距離感になった気がします。
昔は近すぎて、きもい距離感だった時期もあったと思うので。町田のちょっとした言動にムカついていたのが、ムカつかなくなったり。

町田:ありがたいです(笑)。仕事も増えて毎日会うので、今まだ同居していたらピリつきそうなので、いいタイミングで解消していい感じになったかなと思います。

○『M-1』優勝に向けて“平常心”を大切に

――今年の『M-1』への意気込みもお聞かせください。

町田:今まで少しずつ上がっているので、また上がっていけたら。

佐々木:目標は優勝です。

――毎年やることは変えていないとおっしゃっていましたが、昨年の4位から順位を上げて優勝するために、あと一歩何が必要になってくると思いますか?

佐々木:平常心。緊張しないでいつも通りやれるかどうか、ですかね。

町田:普段の舞台からちゃんと緊張感を持ってやるとか、一個一個積み重ねて年末にぶつけるという感じかなと。少しでも手を抜いたら年末の結果に出てしまう気がするので。

――将来的には漫才師としてどうなっていきたいと思い描いていますか?

佐々木:年1ぐらいで単独ライブをやって、単独がめっちゃ売れる芸人になりたいです。
単独やったら即完という感じで。ニューヨークさんとか配信もめっちゃ売れていてかっこいいなと思います。

町田:劇場に立ち続けていくのかなという感覚はあります。いずれはNGK(なんばグランド花月)とかルミネのトリを務められるような漫才師になっていけたらと思います。

■エバース
佐々木隆史(1992年11月6日生まれ、宮城県出身)と町田和樹(1992年4月24日生まれ、神奈川県出身)によるお笑いコンビ。2016年結成。2024年に『NHK新人お笑い大賞』で優勝し、『ABCお笑いグランプリ』、『ツギクル芸人グランプリ』、そして『M-1グランプリ』でも決勝に進出。東京しゃべくり漫才の次期エースと謳われている。
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