米Appleは2月24日(現地時間)、今後4年間で米国に5000億ドル(約75兆円: 1ドル=150円)以上を投資する計画を発表した。この投資には、AI関連のサーバー製造施設の新設、半導体製造の強化、先進的な製造技術を学ぶアカデミーの設立などが含まれる。
同社は従来から米国内のサプライチェーンに関与していたが、今回の発表は米国製造業の強化を後押しする動きとして注目される。

今回の計画の目玉の一つが、パートナーと共にテキサス州ヒューストンに開設するサーバー製造施設である。広さ25万平方フィート(約2万3000平方メートル)となるこの施設は、2026年の稼働を目指しており、AppleのAI機能「Apple Intelligence」を支えるサーバーの生産拠点となる。

Apple Intelligenceは、文章作成の支援や情報整理などを行うパーソナルAIシステムである。2024年10月に英語(米国)でベータ提供が始まり、2025年4月に日本語を含む多言語展開が開始される。Appleは新たな製造施設に、これまで米国外で行っていたサーバー製造を移管し、ノースカロライナ州、アイオワ州、オレゴン州、アリゾナ州、ネバダ州のデータセンター設備を拡張することで、AIインフラ全体の強化を進める。

また、Appleが2017年に米国内の先進的な製造業の発展を支援するために設立した基金「U.S. Advanced Manufacturing Fund」を倍増させる。その一環として、アリゾナ州にある台湾のTSMCの「Fab 21」工場に対し、数十億ドル規模の追加投資を行う。Fab 21ではApple向けの先端シリコンチップが製造されており、同社はこの工場の最大顧客となっている。

さらに、ミシガン州デトロイトに「Apple Manufacturing Academy」を開設し、次世代の製造技術者の育成に乗り出す。このアカデミーでは、Appleのエンジニアやミシガン州立大学の専門家が指導し、中小企業向けにAIやスマート製造技術の導入支援を行う。また、プロジェクト管理や生産プロセス最適化といったスキルを無料で学べるプログラムも提供される。


Appleは現在、米国内で290万人以上の雇用を支援しており、今回の5000億ドル超の投資を通じて、さらに約2万人の新規雇用を生み出す計画である。
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