飲食店を開業する夢を持つ人は多いですが、実際に独立するためには開業資金の準備や経営の知識が必要不可欠になります。「料理の腕には自信があるけど、お金の話は苦手…」という人もいるかもしれません。
そこで今回は、飲食店開業を目指す20~30代の男性向けに、必要な資金の目安、資金調達の方法、そして失敗しないためのポイントを詳しく解説していきます。
飲食店開業に必要な資金はどれくらい?

飲食店の開業には、やりたい業態や規模、お店の立地条件によって異なりますが、大体500万~2,000万円ほどの資金が必要になることが一般的です。

必要資金の目安
・小規模カフェ・バー(10坪前後) → 500万~800万円
・居酒屋・レストラン(20~30坪) → 1,000万~1,500万円
・フランチャイズ加盟 → 1,500万~2,000万円
・ラーメン店・焼肉店 → 初期の設備投資が高額になりやすく、1,000万円以上必要なケースも。あくまでも目安になりますが、設備や内装が既にある居抜き物件を活用することで初期費用を抑えることも可能です。
資金の内訳
お店を開く場所を決めたあとは物件の契約等に関わる資金が必要になります。
もちろんお店の立地や規模によっても金額の幅はありますが、概ね下記の金額が必要になってくるでしょう。

物件取得費(保証金・敷金・礼金) → 200万~500万円
内装・設備費(厨房機器・インテリア) → 300万~1,000万円
運転資金(家賃・仕入れ・人件費) → 100万~300万円

できるだけ初期費用を抑えて開業したいという場合は、間借り営業やポップアップストアからスタートするのも一つの方法です。また、厨房機器を新品にこだわるのではなく状態がよければ中古を活用するなどの工夫で費用を抑えることもできます。
開業資金をどうやって調達する?

飲食店を開業するには、まとまった資金が必要ですが、その調達方法は大きく分けて 「自己資金」 と 「融資・その他の資金調達」 の2つに分類されます。

自己資金をどれだけ確保できるかによって、借入金の必要額や開業後の経営リスクが変わるため、開業計画を立てるうえで重要なポイントになります。

また、自己資金が多いほど融資審査では有利になり、開業後の経営の安定にもつながります。まずはどのくらいの自己資金が必要なのか、どう準備すればよいのかを確認しましょう。


自己資金の準備

自己資金を準備する目安は全体の30~50%程と言われています。貯蓄や退職金などから捻出する人が大半です。自己資金が全くない場合でも借入れることで資金の準備は可能ですがリスクがあり、相当な覚悟と計画が必要となります。概ね300万円以上の自己資金を確保しておくことで融資の審査は通りやすくなります。

融資を活用する方法

融資を受けて開業する場合は、日本政策金融公庫の「新規開業資金」があります。(2024年4月より「新創業融資制度」に代わり「新規開業資金」が提供されています)​この制度では、無担保、無保証人での融資が可能となり、自己資金要件も撤廃されています。​ただし、自己資金が多いほど審査では有利になる傾向があります。

地方銀行・信用金庫の創業支援 → 低金利の融資を活用できる場合があります。ただし、自己資金が少ないと審査が厳しくなります。

クラウドファンディング → 開業に賛同した人たちから幅広く資金を集めることができます。昨今ではクラウドファンディング専用のプラットフォームもあり、「地元の人に支えられるお店作り」など、よりコンセプトが明確になると資金を集めやすくなります。ただし目標金額を集められるとは限らないため、手段の1つとして捉えると良いでしょう。

失敗しないためのポイント

飲食店の開業は、準備さえすれば必ず成功するわけではありません。特に開業から軌道に乗るまでの間は、予想外のトラブルや思ったように売上が伸びないことも珍しくありません。

しかし、 事前にしっかりと計画を立て、開業前のテスト営業やコスト管理、収支シミュレーションを行うことでリスクを減らし、成功の確率を高めることができます。

ここでは、飲食店を安定して経営していくために重要なポイントを紹介します。

いきなり独立せず「テスト営業」をする

いきなりお店を始めるのではなく、まずは間借り営業やポップアップストアから始めてみるのも一つの方法です。開業して初めからうまくいくとは限らないため、まずは副業としての飲食からスタートし軌道に乗ってきた後、本業にする流れがオススメです。

「損益分岐点」を把握する

お店にお客さんがたくさん来てくれたからと言って利益が出なければお店の継続は難しくなってきます。

商品の価格設定、原価の計算、利益の予測、売り上げ予測などの緻密な計算や計画を立て、1日の売り上げ目標、初期費用の回収など早期に黒字化できるようシミュレーションをしましょう。

固定費を抑える工夫

お店を開業したら毎日かかるのが賃料などの固定費。駅近の立地を選べば、より多くの集客が見込めますが、賃料は高くなります。「駅近で家賃30万円」より「少し離れて家賃15万円」を選べば固定費は抑えられます。また、駅近の場合は周りに競合が多くなりやすいですが、駅から遠くても周囲に競合が少ない穴場エリアを検討するのも手です。


賃料の他には人件費も割合が大きい支出です。ワンオペや少ない従業員でもお店を運営できるように、最新の精算システムや注文アプリを利用したりすることで人件費を抑える工夫をしましょう。

その他にも電力会社の見直しや省エネ型の設備を導入するなどで固定費を削減することでお店の経営が続けやすくなります。
まとめ:「成功するためには、お金の準備をしっかり!

お店を始めたい! という夢の為にはお金の準備から、お店選び、運営の資金繰りの計画までしっかりと行う必要があります。飲食店は3年以内に6割が廃業するというデータもありますが、計画的な資金準備で、経営をうまく行っていけば成功確率を上げることができ、長く続く人気店にもなるチャンスがあります。

まずは「いきなり独立」よりも「副業・間借り営業からの独立」の流れもオススメです。経営の知識をしっかり身につけて、開業の夢を実現しましょう!

この記事を執筆したファイナンシャルプランナー紹介


小峰一真(こみねかずま)
所属:マイホームFP株式会社

MILIZE みらいず AIとITと金融工学の力を駆使し、お金の計画・管理・運用まで完結できる次世代の金融ウェブサービスを手掛けている。個人の方向けには、専属FPにオンライン相談・メール相談ができるサービス『TAMARU』や、お金の情報について動画で分かりやすく解説する『MILIZEチャンネル(YouTube)』など、"金融商品を売らない"完全中立的な金融サービスを提供している。 この監修者の記事一覧はこちら
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