バイクの祭典「第52回東京モーターサイクルショー」でバイク王は、ヤマハ発動機の名車として名高い「R1-Z」を衆人環視の中で分解してみせた。貴重なバイクなのだから、そーっと展示しておけばよさそうなものなのだが、いったいなぜ、バイク王は分解することにしたのだろうか。
バイク王の整備力が白日の下に?
最近はバイクもクルマも旧車が人気。旧車に長く乗り続けるなら、購入する店舗の選択が重要だ。
古いバイクだと、調子のよさそうな個体でも、何かのきっかけで、エンジンをいったん降ろさなければならないようなメンテナンスが必要になることも珍しくない。そんな大掛かりなメンテナンスをオーナーが自ら行うには、かなりの知識と経験が必要になる。実際には、購入店などに修理を依頼するケースが多くなるはずだ。
ここで問題になるのがショップの整備力。店頭に並ぶバイクと違って、ショップがどんな整備を行っているかを目にする機会はあまりない。
バイク王が実施した「スペシャル整備実演パフォーマンス」は、「ブラックボックス化」しやすいショップの整備にスポットを当てた。使用したのは、1990年に初代モデルが登場したヤマハ「R1-Z」(アールワンズィー)。パフォーマンスを担当したのはバイク王 つくば絶版車館の鈴木裕司さんだ。
ここからは、写真とともにダイジェストでパフォーマンスの様子をお届けする。
こうしたライブパフォーマンスは時間の制約もあるが、そもそも、整備力がなければ企画すること自体も難しい。
ところで、「R1-Z」ってどんなバイク?
せっかくなので、今回、バイク王によって「むき出し」の状態にされてしまったヤマハの名車「R1-Z」についても振り返っておきたい。
過激を極めたレーサーレプリカへのアンチテーゼとして、バイクらしさへの原点回帰となるネイキッドブームに沸いた1990年代。「R1-Z」はネイキッドスタイルとレーサーレプリカの血を引く高い走行性能を併せ持つモデルとして登場した。
最高出力45ps/9,500rpm、最大トルク3.7kg-m/8,500rpmを発揮する249cc水冷2サイクルクランク室リードバルブ並列2気筒エンジンは、初代「TZR250」のエンジンをベースにリファインしたものだ。
具体的には、吸排気系の徹底的な見直し、デジタル制御のCDI点火方式や低中速域でのレスポンス向上を狙ったミッションレシオ設定の採用などによって、パーシャル性能を高めている。これにより「R1-Z」のエンジンは、扱いやすい街乗り重視の味付けながらレーサーレプリカに比肩する性能を誇り、パワフルな2ストロークエンジンの特性を存分に引き出せる仕様となっていた。
外観デザインのポイントにもなる右出し2本のクロスチャンバーは、バンク角と適正なチャンバー容量を確保したエキゾーストパイプにカーボンサイレンサーを組み合わせる。静粛性に優れた心地よい2ストロークサウンドは、ヤマハ独自の排気音解析機を駆使して作り出したという。
徐々に2ストマシンが姿を消していく中でも、1991年、1992年とマイナーチェンジを繰り返しながら生産を継続した「R1-Z」。しかし、1999年の排ガス規制の強化によって販売が終了するとともに、長きにわたったヤマハ2ストマシンの歴史も幕を閉じた。
安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。











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