デザインや研磨などの技術、ムーブメントの精度、腕時計としての品質を高く評価されるグランドセイコー。購入するとなれば、まさに一生モノだ。
グランドセイコー専門店ならではのアドバンテージ
グランドセイコーも、今やオンラインから百貨店の時計フロアまで、さまざまな流通経路から入手できる。しかし、高級ブランドの時計を、実物を確認できないネット通販や、初めて訪れるショップで購入するのはなかなか勇気が必要だ。極端な話、偽物をつかまされる危険性もゼロとはいえない。
となると、選択肢の筆頭はやはりグランドセイコーブティックということになるのだが、その他の店舗との差はどこにあるのだろうか。「グランドセイコーフラッグシップブティック 銀座並木通り」の店長にお話を伺った。
店長「グランドセイコーには『THE NATURE OF TIME』というブランド哲学があります。店内は自然の採光を生かした『和』の雰囲気の内装で、グランドセイコーの価値観や特徴を目と肌で感じながら、お客さまに商品をご覧いただき、ご購入いただける点がまず違いますね。グランドセイコーブティック以外では、壁の色や調度品、什器などの制約があるため、グランドセイコーの世界を十分に感じていただくのが難しい場合もあります。
例えば、当店では円形のショーケースを設置することで、お客さまがショーケースを隔てたスタッフとの心理的な距離感を感じることなく、腕時計を選んでいただけます。
また、当店2階のご商談スペースでは、周りのお客さまに気兼ねせず、ゆったりと商品をご覧いただいたり、ご質問いただいたりもできます」
ちなみに、グランドセイコーブティックで購入することで得られる特典的なものはあるのだろうか?
店長「グランドセイコーだけを専門に扱っていますから、品ぞろえとスタッフの知識量は圧倒的です。お客さまのご要望をお聞きして親身になって、最善のご提案ができると思っています。
そのほか不定期ではありますが、2階のイベントスペースでグランドセイコーの組立実演や組立体験のワークショップなどを開催しています。当店で商品をお買い上げいただいたお客さまには、このようなイベントへの参加もご案内しています」
店内に常駐するスタッフは平日で7~8名。週末や祝日はさらに増やして対応しているという。なお、来店時の予約は特に必要ないとのこと。修理やオーバーホールなどのアフターサービスを受ける場合も同様だ。
店長「銀座に来たついでにでも、お気軽にお立ち寄りください。バンドのサイズ調整や交換はその場で対応できます。修理については一度お預かりして、腕時計修理専門の工房のグランドセイコーサービススタジオで検証させていただいています」
ちなみに、サービス受付窓口に来られるユーザーの依頼は、どのようなものが多いのだろうか。
店長「電池交換とオーバーホール、定期的なメンテナンスですね。グランドセイコーではムーブメントに関係なく、3~4年ごとのオーバーホールを推奨しています。最良の状態でご使用いただくことを考えると、やはりそのくらいのペースがおすすめです。もちろん、それ以上の年月が経ってから持ち込まれるお客さまも多いのですが、腕時計内部のオイルが切れてパーツが摩耗したりすると、かえって修理費が高くなってしまうこともあります」
最後に、店長おすすめのモデルを3本選んでいただいた。
1. エボリューション9 コレクション「SLGH005」(127万6,000円)
○●店長コメント
白系ダイヤルはオールマイティに使えますし、幅広いコーディネートに合わせやすいので、最初の1本として最適です。また、グランドセイコーの機械式腕時計の製造拠点「グランドセイコースタジオ 雫石」がある岩手県に群生する白樺をモチーフにした型打ちダイヤルの質感も好評です。ご紹介した「白樺」に限らず、エボリューション9 コレクションは、グランドセイコーのブランド哲学「THE NATURE OF TIME」を体現するコレクションといえます。
さらに、ブレスレットが少し太めなのも、このエボリューション9 コレクションの特徴。シンプルな3針の腕時計ながら、重厚感のあるモデルになっています。なので、季節によってバンドを変えると雰囲気の変化を楽しめます。例えば秋冬は茶系のレザーに変えてあげるのもいいでしょう。
2. エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A.「SLGB003」(151万8,000円)
○●店長コメント
2025年の「ウォッチズ・アンド・ワンダーズ ジュネーブ 2025」で発表された「キャリバー9RB2」という新しいスプリングドライブムーブメントを採用したモデルです。
ダイヤルは、スプリングドライブの製造地、信州地方の樹氷をイメージしたもの。光が当たる角度によって、模様がシャープに浮かび上がります。
また、ケース径が37mmと小ぶりなので、多くの人に違和感なく着けていただけます。従来の自動巻きスプリングドライブは機構的に、最小でも(ケース径が)39mmでしたが、もっと小さくしてほしいというリクエストは以前から多くいただいていたので、ぜひ多くの方々に実物をご覧いただきたいですね。
細かい部分では、バックルの微調整機構つきの中留めも新しく採用しました。バックルでブレスレット長の簡単な微調整ができるようになりました。グランドセイコーの美しさに、新たな利便性が加わったモデルです。現在はお客さまからのお問い合わせも、この「SLGB003」が一番多いですね。
3. エボリューション9 コレクション TENTAGRAPH「SLGC001」(198万円)
○●店長コメント
私は個人的にすごくクロノグラフが好きで、やはりクロノグラフを好まれるお客さまにはこの「SLGC001」ですね。ケース径は43.2mmと大きめですが、やっぱり大きめの腕時計が好きという方もいらっしゃいますので、そういった方にもおすすめしています。
グランドセイコーでは、機械式クロノグラフでハイビートモデルの第1号がこのTENTAGRAPH(テンタグラフ) SLGC001です。
特徴は、岩手山パターンというグランドセイコーの代表的なダイヤルと、星々が煌めく夜の岩手山を表現した透明感のあるブルーですね。デザイン的にとても見栄えが良いだけでなく、材質にもこだわっていて、ブライトチタンという通常のチタンよりも輝きのあるチタン合金を使うことで、外見からは想像できないほど軽快に使えるというのがメリットのひとつですね。
ベゼルはブラックセラミックス製です。大きな腕時計はどうしてもぶつけやすいのですが、ブラックセラミックスは丈夫で傷が付きにくく、デザイン的にも引き締まって見えるのがいいですね。ちなみに、私が個人的に一番気に入っているところは、ダイヤルに「TENTAGRAPH」とムーブメントの愛称が入っていること。そんな特別感もまたいいなぁと。
グランドセイコーフラッグシップブティック 銀座並木通り
東京都中央区銀座6-6-5
店長プロフィール
時計業界15年のベテラン。「グランドセイコーフラッグシップブティック 銀座並木通り」には店舗オープン時からチームスタッフのリーダーとして勤務。のちに「グランドセイコーブティック 表参道ヒルズ」がオープンする際の店長、それを経て現在は「グランドセイコーフラッグシップブティック 銀座並木通り」に店長として着任。グランドセイコーのことなら何でもござれの、頼れるエキスパートだ。