2023年7月にファンの前で自らがゲイであることをカミングアウトしたAAAの與真司郎が、今年4月に自身の人生をつづったフォトエッセイ『人生そんなもん』(講談社)を出版した。與にインタビューし、LGBTQ+(性的マイノリティ)を取り巻く環境の変化や、LGBTQ+を描いたエンタメ作品の意義などについて話を聞いた。
2024年度前期のNHK連続テレビ小説『虎に翼』で同性愛について描かれたことも大きな注目を集めたが、近年はLGBTQ+をテーマにしたエンターテインメント作品が日本でも増えている。
與は「エンターテインメントにも取り入れられたり、日本も少しずつ変わりつつあると感じています。パートナーシップ制度も増えてきていますし、昔は『ゲイ=気持ち悪い』と思う人もいたと思いますが、そう思ってはダメだという認識が今は皆さんあると思います。LGBTQ+というワードも多くの人が知ってくれているだろうし、少しずつですが進歩していると感じます」
日本初となる男性同士の恋愛リアリティショーとして話題を呼んだNetflixの『ボーイフレンド』の誕生にも喜びを感じたと言い、「影響力はとても大きいと思います」と語る。
「男性同士の恋愛って普通なんだと。これを見て、僕たち、私たちと変わらないじゃんと思う人がたくさんいたと思います。実際、僕たちはただ性別が一緒というだけで、人を愛する喜び、別れる悲しみ、人に対する思いやりなど、何も変わらない。それが『ボーイフレンド』で多くの人たちに伝わったというのは、すごくよかったと思います」
しかし、まだ課題も感じているという。
「自分は関係ないと思っている人がまだ多いのかなと感じます。実は周りにいることがみんなわかっていない気がします。みんなカミングアウトできてないからいないように感じるだけで、本当は周りにいるんです。それをわかってもらうだけで当事者はだいぶ救われますし、カミングアウトしやすくなっていくと思います」
與も、自身の経験を発信していくことで、「1人でも多くの人が自分らしく生きられるようになれば」と願う。
フォトエッセイ『人生そんなもん』にもそんな思いが込められており、「LGBTQ+の人たちだけでなく、悩みを抱えている人たちや、今後の人生に光が見えない人たちに向けて書いている本でもあるので、少しでも希望や勇気を感じてもらえたら」と話していた。
■與真司郎
1988年11月26日生まれ、京都府出身。現在は日本と海外を拠点に活動中。男女混合のパフォーマンスグループ、AAAのメンバーとして、 2005年にデビュー。グループは2021年、AAA初となる6大ドームツアーを終えたタイミングで本格的な活動休止に入る。2023年7月、「與真司郎 announcement」にて、自身が同性愛者であることを約2000人のファンの前で公表。現在は自身の人生を題材にしたドキュメンタリーをハリウッドにて制作中。ソロアーティストとして、最新シングル「Kizuketa」を2024年10月30日に配信リリースし、同年11月に5都市9公演を回る「SHINJIRO ATAE LIVE BAND TOUR & BIRTHDAY TALK SHOW 2024」を完走した。
スタイリスト:SUGI(FINEST) ヘアメイク:佐藤真希 衣装:ジャケット/meagratia
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