俳優のオダギリジョーが主演・共同プロデューサーを務める映画『夏の砂の上』(7月4日公開)の特別映像3本が公開となった。

『夏の砂の上』は、読売文学賞の戯曲・シナリオ賞を受賞した松田正隆氏の戯曲を、玉田真也監督が映画化した作品。
物語は、息子を亡くした喪失感をきっかけに人生が止まってしまった主人公と、妹が置いていった17歳の姪との突然の共同生活からはじまる。

主人公・小浦治は本作で共同プロデューサーも務めるオダギリジョー、治の姪・優子を高石あかり、治の妻・小浦恵子を松たか子、優子の母で治の妹・阿佐子を満島ひかり、優子へ好意を寄せる男性・立山を高橋文哉、治が働いていた造船所の同僚・陣野を森山直太朗、同じく同僚・持田を光石研が演じている。
○伯父と姪、夫と妻、恋人同士、それぞれの関係性を捉えた映像

今回公開となった特別映像は、それぞれ「伯父と姪編」「夫婦編」「恋編」と題された3本。

治と優子の共同生活を切り取った「伯父と姪編」では、アルバイト先での人間関係がうまくいかず、思い悩む優子に 「気に入らない人と話しても楽しくないだろ」と、不器用ながらも必死に父親代わりを務めようと優子に向き合う治の姿が描かれ、治の不器用な優しさを受けとめ、優子も次第に心を開いていくさまが映し出されている。そこには、未だ息子を亡くした深い悲しみから 立ち直れずにいる治に寄り添う優子の姿も。痛みを抱えた2人の関係性が少しずつ変化していく様子を捉えた場面だ。

「夫婦編」は、治と別居中の妻・恵子の関係性を映したもの。恵子は、息子を亡くした悲しみからなんとか立ち上がり人生を歩き出したいが、同じ方向を向いて歩むことができない治に対し、苛立ちを募らせている。息子と3人で暮らした幸せな日々が記録されたアルバムを眺めつつ、治は自問するかのように「自分たちに本当に子どもがいたのだろうか」と恵子に問いかける場面が収められている。

「恋編」では、優子と優子に思いを寄せるアルバイト先の先輩・立山との恋模様が描かれる。東京からやってきた年下の大人びた優子に惹かれる立山は、休日の度に優子を誘い、街に出かけるようになる。立山に勧められた⻨わら帽子を被り、立山と並んで歩く優子。
愛されることに慣れていない優子の、まっすぐに想いをぶつけてくる立山に対してどこか所在なげな姿を捉えたシーンだ。

3本の特別映像は、伯父・治と姪・優子の擬似親子、夫・治と妻・恵子の夫婦、優子と先輩・立山の恋模様と、それぞれの関係性にフォーカスした仕上がりとなっている。

(C)2025 映画『夏の砂の上』製作委員会

【編集部MEMO】
映画の原作となった戯曲『夏の砂の上』は、長崎出身の劇作家・演出家である松田正隆氏によるもの。松田氏の戯曲『紙屋悦子の青春』も映画化されており、2003年公開の映画『美しい夏キリシマ』では、脚本を手がけている。代表を務める京都を拠点とした演劇カンパニー「マレビトの会」の作品は、国内はもとより、海外でも数多く上演されており、その名は世界に知れ渡っている。
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