映画『フロントライン』(6月13日公開)で初共演を果たした俳優の小栗旬と松坂桃李の、互いの印象を明かしたコメントが到着した。
『フロントライン』は、新型コロナウイルスを事実に基づく物語としてオリジナル脚本で映画化した日本で初めての作品。
2020年、災害派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team、略称「DMAT」)指揮官であり救急医の結城(小栗旬)は神奈川県庁からの突然の電話で、横浜港に停泊中の豪華客船から新型コロナウイルスの陽性患者が出たことを説明され、本来、災害医療対応の組織であるはずのDMATへの出動要請を受ける。翌日、県庁の対策本部で指揮を執ることとなった結城と、厚生労働省の役人・立松(松坂桃李)が顔を合わせる。
本作で初共演を果たした小栗と松坂だが、お互いの印象について小栗は「このままのお人ですけどね。優しい人です。とっても」と、松坂は「本音で話したくなるような、そういう気にさせる不思議な方だなと思って。武装というか、鎧を解いてしまう不思議な方でした(笑)」と明かしている。
結城と立松が初めて対峙するシーンの撮影について、小栗は「融通がきかなくて、超嫌なヤツそうだなと思いました。鉄仮面のような感じで桃李くんが演じてくれたので、立松のことはすごく苦手という意識からスタートできた」と、松坂が演じた立松について笑いながら語り、松坂は「官僚って批判はされるが賞賛されない存在。今回の出来事に対して、官僚としての向き合い方をちゃんと表現したかった。立松的にも別ジャンルの人(結城)と出会う瞬間は、この作品においては重要なファーストインパクトだったので大事に演じた」と、臨場感あふれる初対面シーンの裏側を述懐した。
○沢尻エリカ、ラファエルら各界著名人のコメントも到着
さらに、各界の著名人からもコメントが続々と到着している。それらの多くは、未曾有の危機に立ち向かった名もなきヒーローたちを讃えるとともに、風化させてはならない教訓として記憶に留めようといったメッセージを含んだものとなっている。
■かまやち さとし氏(日本医師会副会長)
当時、私も感染症危機管理対策の担当役員として豪華客船にいち早く乗船し、その後の対策の検討にも参画させて頂きましたが、医師を始め医療従事者達は乗客らの命と健康を守るため、未知のウイルスと懸命に闘っておられました。本映画にはその状況がリアルに描かれており、感動を覚えました。いつ起きるか分からない新興感染症に備えるという意味でも本映画は医療関係者ばかりでなく、多くの方々にぜひ見て欲しい作品と言えます。
■沢尻 エリカ(俳優)
日本、そして世界中が翻弄された、得体の知れない未知のウイルス。 ダイヤモンド・プリンセス号での集団感染に関するニュースは、連日のようにテレビで取り上げられていたため、当時のことは今でもよく覚えています。 その最前線では、多くの方々が、答えの見えない状況の中で懸命に戦っていたことを知り、深く心を動かされました。忘れてはならない歴史的な出来事の現場で何が起きていたのか──。この事実を、ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います。そして、この映画を世に送り出してくださったスタッフやキャストの皆さんに、心からのエールを送ります。
■SYO氏(物書き)
震えた。当事者の真実にも、純粋な作品の強度にも。作り手の真摯な態度が、クオリティに直結した傑作。
そこに観客が記憶を重ねた時、この映画は完成する。次代に手渡し、未来へと繋ぎたい。知の方舟として。
■新谷 里映氏(映画ライター)
この映画には、本物のヒーローがいました。逃げ出したくなるような最前線で、それぞれが「やるべきことをやる」のだと未知のウイルスに挑んだ人たちは、紛れもなくヒーロー。決断力のある、勇気と優しさのあるヒーロー。そして、事実に基づく物語をエンターテインメントとして届けることにも意味があって──。記憶に残るだけでなく、この先の指針にもなる、現代を生きる私たちに必要な映画でした。
■武田 真一氏(フリーアナウンサー)
全てはここから始まった。
まだ「謎のウイルス」と呼ばれていた 2020年2月。あの豪華客船の中でいったい何が起きているのか、見えざる敵に人々はどう立ち向ったのか、この作品でようやく知ることができた。
小栗旬さん、窪塚洋介さんらが演じるDMATの医療スタッフは 感染の恐怖、世間からの誹謗中傷に耐えながら、ひたすら目の前の患者を救うために身を投げ出す。
その姿に心が震える。
メディアや行政の問題点、様々な意見に翻弄される情報空間の危うさも鋭く描き出される。
あれから5年。
失われる命、自粛、ワクチンへの期待と猜疑、利他の心……。
パンデミックから学んだことは、今も、胸に刻まれているか?
風化させてはならない教訓を思い起こさせてくれるかけがえのない作品だ。
■坪田 信貴氏(『ビリギャル』原作者)
豪華な俳優陣で描く壮大なアクション映画を想像していましたが、真逆の「静」の映画でした。しかし、自分の頭と心が終始動き続ける。こんな映画は初めて。見終わった後は、感動と、自分の人生を見つめ直す気持ちでいっぱいになりました。「正しさ」っ てなんなんでしょうか……。
■中田 秀夫氏(映画監督)
あの時、クルーズ船内で何が起きているのか分からないままどこか「他人事」と感じていた。私たちが真剣には知ろうとしなかった内実が、眼前に、胸に迫ってくる。
一刻一秒を争う中、合理的判断を下す冷静さと、「乗客の命を守る」という「職分」を全うしようとする情熱。自らの感染も覚悟した方々も数多いだろう。彼らの仕事にとって至極当然とも言えることが、 いかに尊いことかを、この映画は真摯に語りかけてくれる。
■中井 圭氏(映画解説者)
国内で最初にコロナと対峙した医師たちによる知られざるヒーロー映画であり、所詮は他人事だと考えてきた我々の振る舞いについての警鐘でもある。
ルールではカバーできない人道に対する問題提起でもあり、法さえ守ればそれが正解という思考停止した現代の価値観に一石を投じ、観客を揺り動かす。
■ラファエル(YouTuber)
この作品は、コロナ禍の中で最前線に立ち続けた医療従事者や、命と向き合った人々のリアルな姿を映し出していて、終始胸 が締めつけられました。
僕自身、コロナが発生した初期に感染し、救急車で運ばれて隔離・緊急入院となりました。 呼吸がうまくできず、入院中はお風呂もトイレも酸素マスクが手放せず、「このまま死ぬのかな」と思ったことを、今でも鮮明に覚えています。
そんな経験があるからこそ、この映画に登場する人々の苦悩や覚悟に深く共感し、心を動かされました。
当時、命を支えてくれた医療現場の方々に、改めて感謝の気持ちを強く抱きました。
単なる記録映画ではなく、「あのとき」を生きたすべての人の心に響く感動の物語だと思います。
(C)2025「フロントライン」製作委員会
【編集部MEMO】
メガホンをとった関根光才監督は、安室奈美恵、Mr. Children、奥田民生、AKB48らのMVを手掛けたことでも知られている。
また、アートコレクティブ・NOddINの一員としても活動しており、NOddINでは、原発問題、反戦、難民問題に関する作品を発表している。アンガージュマンを体現するような作風から考えると、今作で新型コロナウイルスの集団感染を扱ったのも自然な流れと言えよう。
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