今年3月末をもってSKE48を卒業し、現在はプロレスラーとして活躍する荒井優希が5月23日、1st写真集『無敵の素顔』(KADOKAWA 3,520円)を発売した。インタビュー後編では、プロレスを始めたきっかけや、今後の目標などについて話を聞いた(前後編の後編)。
○アイドル・SKE48のメンバーがプロレスに本格参戦
――プロレスに取り組むようになったきっかけを改めて教えてください。
最初にプロレスと出会ったのは、AKB48グループの企画『豆腐プロレス』(※)でした。当時、私はSKE48の選抜メンバーではなかったので、正直に言うと、シンプルに暇だったんです(笑)。だから、何かはやっていたほうがいいよねと思って、オーディションを受けました。でも、何もできなくて、落ちただろうなと思っていたら、まさかの合格で。そこから始まりました。
※『豆腐プロレス』(テレビ朝日系)はAKB48グループのメンバーがプロレスラーを演じたドラマ。実際のプロレス興行も行われた。
――最初は軽い気持ちで。
そうなんです。そのあと、誰でも挑戦できるベルト(※)を獲って、プロの選手の方たちと実際にリングで対戦することになったんですけど、完全にトラウマを植え付けられて……。マネージャーさんにも「次はもう絶対に断ってください」と言いましたし、その帰り道、インスタに「次は出る側じゃなくて、観戦に行きたいです」と書いたのをすごく覚えています(笑)。
※24時間365日どこでも誰でも挑戦可能な、DDTプロレスリングの「アイアンマンヘビーメタル級王座」。DDTの中継番組にゲスト出演した須田亜香里が不意打ちでベルトを奪取したことをきっかけに、須田から松村香織、そして荒井へとSKE48内でタイトルが移った。
――それが今や本格的に選手としてリングに立っているのがすごいです。
それから3年くらい経った頃に、今度は本当の団体からお話をいただいて。なぜかは分からないんですけど、「やりたい」と思ったんですよね。ただ、「自分がリングに立てると思うまで練習させてほしいです」と言いました。何もやってないアイドルが、プロの方たちと同じリングに上がるのは失礼ですし、「しっかり練習させてもらえるんだったら、出ます」と。
○アイドルとプロレスを全力で両立
――そこから本格的にプロレスラーとしての道を歩み始めたんですね。
当初は、4月にデビューして、年内12月までやってみようという話だったんです。それでやめたくなったらやめたらいいし、やりたかったら続けたらいいって。そんなに続くと思っていなかったんですけど、夏にはもう「もっとやりたい!」という気持ちになっていました。
――時間が経って、今度はそう思えたのはなぜなんでしょうか。
一番大きかったのは、環境ですね。両国国技館を目指してるところとか、そういうのがいいなと思いました。
――東京女子プロレスのYouTubeチャンネルで、荒井さんの密着動画を拝見したのですが、坂崎ユカ選手が荒井さんについて「どっちかだけを頑張るってできないから、両方全力なんですよ」とおっしゃっていて。アイドルとプロレスの両方に全力をかけるって、相当大変でしたよね。
すごく大変でした。名古屋から東京に通ってたんですけど、練習が朝の9時から始まるんですよね。5時半に起きて練習に行って、また名古屋に帰ってきて公演に出て。絶対に何か吸収して帰ってこなきゃいけないと思っていたので、朝の練習が終わったあと、映画館とかで少し睡眠をとって、また午後の練習に参加していました。
○SKE48卒業後はプロレスに専念、コスチュームも変更
――そして今年3月末でSKE48を卒業し、プロレスに専念することを決断されました。グループ卒業後、最初の試合はラスベガスで行われましたが、気持ちに変化はありましたか?
コスチュームを変えたこともあって、気持ちに変化はありました。なんだろう……もうアイドルじゃなくレスラーだから、やっとみんなと一緒になれたっていう喜びがありました。やっぱり色眼鏡で見られることも多かったので、もうこれで文句ないでしょ? みたいな(笑)。
――コスチュームもフリルが多めで可憐な感じなものから、華麗でカッコいいタイプになりましたよね。これも決意の表れだったんですか?
そうですね。ずっと同じ方に作っていただいているんですけど、今回コスチュームを新しくすることになったときに、前までと同じようなひらひらのデザインが届いて。「違うんです、私はプロレスラーになりたいんです!」とめちゃくちゃお願いしました(笑)。そうしたら、あのデザインになっていて、すごくうれしかったです。中身は変わってないのに、あのコスチュームを着るだけで、「カッコよくなったね」と褒めてもらえるんですよね。
――本当にすごくカッコいいです。では最後に、今後の目標や野望を教えていただけますか。
最終的な夢は、東京ドームにたどり着くことです。そのためにも、写真集やグラビアなどももちろんやりたいですし、東京女子プロレスのことをまだ知らない人たちに届けていく活動が、私の使命だと思っています。最初に写真集のお話をいただいたときは、ちょっと迷った部分があったんですけど、今は出してよかったって思えるし、これからも「無理」と決めつけず、どんどん挑戦していって、東京女子プロレスの東京ドームの夢につながればいいなと思います。
(C)KADOKAWA (C)Zest, Inc. PHOTO/下田直樹
■プロフィール
荒井優希
1998年5月7日生まれ。
京都府出身。2013年11月、「AKB48グループ ドラフト会議」にて指名を受け、SKE48 Team KⅡに所属しデビュー。2021年5月からSKE48と並行してプロレスに本格参入。1年を通してプロレスに真摯に取り組む姿勢が評価され、東京スポーツ新聞社制定「2021年度プロレス大賞」と、週刊プロレス制定「プロレスグランプリ2021」の各新人賞をダブル受賞。2022年7月、大田区総合体育館大会で赤井沙希とタッグを組み、坂崎ユカ&瑞希組に勝利、プリンセスタッグ第10代王者に。2024年1月、後楽園ホールでマックス・ジ・インペイラーからインターナショナル・プリンセス王座を奪取し、シングルでは初のベルト獲得。同年11月には6度目の防衛に成功し、IP第12代王者として王座防衛最多記録を更新した。2025年3月末にSKE48を卒業し、4月よりプロレスラー1本で活動開始。4月1日からオフィシャルファンクラブもオープンした。
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