米Appleは2025年6月10日(現地時間)、年次開発者カンファレンス「WWDC25」において、Apple TV向けの次期OS「tvOS 26」を発表した。開発者向けベータ版は同日より提供が始まり、パブリックベータ版は7月に、正式版は今秋の提供を予定している。
順当にいけば、次期tvOSのバージョンナンバーは、「19」となるはずであったが、今般、全OSでの命名ルールの変更があり、バージョンではなく西暦準拠(下二桁)にすることになり、「tvOS 26」の名称となった。
○コンテンツへのアクセスがより簡単に
他OSでも採用される「Liquid Glass」を用いた新しいtvOSは、再生中の内容に集中し続けられるように設計されている。「Liquid Glass」は、Apple TV 4K(第2世代以降)で利用できる。「Apple TV」アプリでの操作性も向上し、コンテンツを視聴体験の中心に据えたまま、コントロールセンターで早送りや早戻しをしたり、スリープタイマーを開始したり、オーディオを調整したり、「ムービーナイト」のシーンを設定するといったことが行える。また、新しいポスターアートを採用したことで、より多くの番組や映画の表示が可能になったため、ユーザーがコンテンツを素早く見つけられるようになる。
また、パーソナライズされた視聴のおすすめをすぐに見つけられるよう、ユーザーはApple TVのスリープを解除した時にプロフィールを自動的に表示する設定を選択できるようになり、「Apple TV」アプリのおすすめとウォッチリスト、および「Apple Music」のプレイリストを瞬時に表示できる。
さらに、アプリのログインをApple Accountにリンクする新しいAPIをデベロッパ向けに提供し、新しいデバイスの設定時にお気に入りのアプリや番組、映画にユーザーがサインインするのが簡単になる。
○Apple Music Singが歌詞のリアルタイム翻訳に対応
tvOS 26では、iPhoneをApple TV用の手持ちマイクに流用して、ユーザーの声を増幅しながらお気に入りの曲を一緒に歌えるようになる。この機能は、iPhone 11以降と、tvOS 26をインストールしたApple TV 4K(第3世代)で利用できる。各々が所有するiPhoneを使って曲をキューに追加したり、画面上の絵文字で反応したりといったことも可能だ。リアルタイムで表示される歌詞と、画面を彩るビジュアルエフェクトを備えた「Apple Music Sing」は、これまで以上に魅力的になり、歌詞の翻訳と歌詞の発音ガイドを使えば、知らない言語の楽曲でも、歌詞を理解して一緒に歌えるようになる。歌詞の翻訳は、一部の曲について、英語から日本語、英語から中国語(簡体字)、朝鮮語から日本語、朝鮮語から中国語(簡体字)、朝鮮語から英語、スペイン語から英語の言語で利用できる。
歌詞の発音ガイドは、一部の曲について、日本語からローマ字表記の日本語、広東語から粵拼、中国語(簡体字)から拼音、中国語(繁体字)から拼音、ヒンディー語からローマ字表記のヒンディー語、朝鮮語からカタカナ、朝鮮語からローマ字表記の朝鮮語、パンジャブ語からローマ字表記のパンジャブ語の文字で利用可能となる。
○FaceTimeのライブキャプション機能が拡張
FaceTimeの機能向上も図られ、Apple TVの連絡先ポスターは、Apple TVでFaceTime通話を開始する際に、連絡先のカスタマイズされた写真と名前を表示することによって、通話をより簡単で、よりパーソナルなものにしてくれる。ライブキャプションは、日本語、フランス語、ドイツ語、朝鮮語、北京語、スペイン語に対応するように拡張され、Apple TVがデバイス上の知能を利用して会話のライブキャプションを表示できるようになるので、ユーザーはさらに多くの言語で話されている内容を理解できるようになる。また、FaceTimeオーディオ通話と電話の着信通知は、アクティブなプロフィールを画面に表示して、接続された「HomePod」やiPhoneで電話に出られるようになる。
○tvOS 26での、その他のアップデート
ゴア州とケーララ州を含むインド各地で撮影された新しい空撮スクリーンセーバが追加され、スクリーンセーバでは、特定の「街並み」「地球」「風景」「水の中」の空撮を表示または非表示にするように選択可能となる。また、あらゆるAirPlay対応のスピーカーをApple TVで常に使うスピーカーとして指定できる。
○オリジナルコンテンツの新作もチラ見せ
基調講演では、『ファウンデーション』『ザ・モーニングショー』『インベージョン』などの新シーズン、新作『チーフ・オブ・ウォー』などのオリジナル作品の配信が明らかになった。また、基調講演の冒頭では、『F1/エフワン』(2025年6月27日公開 配給:ワーナー・ブラザース映画)のパロディ動画が流れたが、Apple TV+では、『F1 ザ・ムービー』のタイトルで予告編が配信されている。Apple TV+での配信日は6月10日の時点で不明だが、制作にはAppleが関わっている。F1は長きに亘り、CO2排出という点で、地球環境に優しくないと批判されてきたが、こちらも長きに亘って環境保全活動をアピールしてきたAppleが制作陣に名を連ねているのは興味深い。
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