女優の北川景子が主演を務める映画『ナイトフラワー』が11月28日に公開されることが13日、明らかになった。
第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞に輝いた『ミッドナイトスワン』の内田英治監督が原案・脚本・監督を務めた映画『ナイトフラワー』。
主人公・永島夏希を演じるのは北川景子。これまでの品行方正なイメージを封印し、関西弁で捲し立てるシーンや、笑い、泣きじゃくる姿を熱演する。公開されたティザービジュアルでは、ブルーのインナーカラーの髪にほぼノーメイクの姿が印象的。新たな表情を見せる彼女の演技に注目が集まる。
公開された映像では「お金が必要なんです」というセリフを発し、子供たちのためにドラッグの売人となる決断をする様子が映し出された。その選択が"善"なのか"悪"なのか、観客に問いかける展開となっている。ラストシーンでは、「子供たちに未来見せてやりたいねん!」と叫び、迫力の演技を披露している。
■北川景子 コメント
――最初に脚本を読んだ時の印象を教えてください。
苦しい生活の中で二人の子供を育てる夏希が、子供たちの夢を叶えるために危険な仕事に手を出してしまう。打たれたような衝撃を受けました。夏希は自分ではどうにもならない状況の中で、子どもを生かしていくことに一生懸命です。
飢えさせないために、恥をかかせないために、生活費を手に入れるために、ドラッグを密売するという決して越えてはならない一線を越えてしまいますが、果たしてそれは悪なのか、罪なのか、と考えてしまいました。親として、子どもを守るということ。生かすということ。人が社会で命懸けで生きることの現実の厳しさを目の当たりにし、言葉を失ってしまいました。
一方で、厳しい生活の中で、夏希や子どもたちが楽園を見つけた一瞬の幸せ、煌めきが眩しく、この家族に温かい光が差して良かったと思いました。
――本作に出演する事を決めた、最も惹かれた要素があれば教えてください。
内田監督からお声がけをいただき、何が何でもご一緒したいと思いました。『落日』でご一緒して、内田監督の人柄や、作られる作品の世界観にどっぷりとはまりました。内田監督のオリジナル脚本作品でご一緒できるという点が最も惹かれた点です。
また、脚本を読んだ後に作品の世界観から抜け出すことができず、「夏希は、どうすれば良かったのか」と考え続け、答えが出なかったことも惹かれた点でした。夏希は、偶然にも最悪な条件が重なってしまった母親ですが、ひょっとすると私だったり、他の誰かだったりするのかもしれない。決して他人事ではないのだと感じました。
――演じられた夏希というキャラクターの魅力を教えてください。
苦しい状況の中でも、子どもたちの幸せ、子どもたちの笑顔を1番に考え、己が出し得る限りのエネルギーを子どものために発している人です。大変でも明るさを忘れない、ユーモアのある人だと思います。ドラッグの密売は正しいことではありませんが、子どものために全てを投げ打ってでも、という考え方に強く惹かれます。
――内田監督の演出で印象に残っていることはありますか?
クランクインの前に芝居のリハをしました。子役の方々とエチュードをやっていく中で、各々のキャラクターを定めていかれました。私のキャラクターは関西弁で、「監督が関西で見たことがあるお母さん」のようにということで、どんなお母さんが居たか地元にいた頃を思い返しながらセリフの言い回しなどを考えて提案させて頂きました。内田監督はいつも役者に任せてくださる監督だと感じています。「良いね」と言ってくださるたびに、「良いんだ!」と嬉しくなり、自由に暴れさせていただきました。
――本作を楽しみにしている方、ご覧になる方へメッセージをお願いします。
この度映画『ナイトフラワー』で永島夏希役を演じます。北川景子です。
■内田英治監督 コメント
『ミッドナイトスワン』の脚本を書いたとき、同時に夜の犯罪社会で生きる「母」についてのストーリーを思い浮かべました。本作『ナイトフラワー』は自分的には〈真夜中シリーズ〉の第2弾でございます。ミッドナイトスワン以降の5年間はコメディやホラー、ラブストーリーなど様々なジャンルをやらせていただき、再びヒューマンドラマという原点に戻ってきたという思いです。翳りゆく国において、ひとりの女性の戦いと友情が描かれます。主演は北川景子さん。ドラッグの売人という難役を引き受けていただき、現場ではかつて見たことのない圧倒的な演技が爆発しました。北川さんの女優としての次のフェーズに入る瞬間を見ることができて幸せでございます。みなさんぜひスクリーンで観てください!
【編集部MEMO】
内田英治監督は、1971年生まれ。ブラジル・リオデジャネイロ出身。