初の新書は文字だけの形態に「しっくりきた」

アイドルグループ・嵐のメンバーであり、俳優としても数々の作品で主演を務めるなど幅広い活躍を続ける二宮和也。6月17日の誕生日には、集英社新書から初めての新書『独断と偏見』を刊行。二宮の「これまで考えてきたこと、今考えていること」が詰まった一冊となっている。
2023年に前事務所から独立し、現在は個人事務所「オフィスにの」を構える二宮に、同書への思いと、近年変化したという仕事への向き合い方などについて聞いた。

新書のタイトルは『独断と偏見』。タイトルの通り、本書では二宮がこれまで考えてきたこと、今考えていることがまっすぐに記されているのが印象的だ。当初は別のタイトルに決まっていたが「あまりにも独断と偏見すぎて、読み終えたときにタイトルと合致していない気がした」と考え、浮かんだのがこのタイトルだった、と二宮。新書は初めての試みだったが、文字だけという形態に「しっくりきた」と語る。

「僕の生活しているゾーンがわりと文字ベースなので。台本など、常に文字で情報を捉えていた人生でしたし、SNSも『Instagram』より『X』だし。ずっとそういう生活をしていたので、選択肢として、写真集を出すなどよりも文字ベースがしっくりくるところはありました」

嵐としては、先月、2026年春頃に開催するコンサートツアーの終了をもって活動を終了すると発表した。新書では、そんな「嵐」への思いや前事務所から独立した決断などについて赤裸々に記しているが、このタイミングで新書を刊行することについては「タイミングが重なっちゃっただけで狙ってはいなかったし、『そんなことになっちゃった』って感じです」と苦笑する。

「僕自身が『なぜこのタイミングなんだろう』って思うタイミングで嵐が活動再開しているんです。誰かが決めたタイミングじゃなく、やるか、みたいな感じになって集まって再開しているので、そこに明確な理由はなくて。新書は、6月17日が誕生日なので『じゃあ17日に出そうよ』とそれしかなかったんですが、そう決めて動いていたら、勝手に嵐が再開した……みたいな(笑)」

新書では、四文字熟語をテーマに100の問いに向き合い、自分の言葉で思いを語っている。
二宮自身、読み終えて「こんなことをしゃべっていたんだ」と驚く部分もあったという。

「でも、言っていることは昔から変わっていないのかな、と思いました。いろいろな場で何度も言ったことがあるフレーズもありましたし、今回初めて読んだと思う言葉もありましたけど、そのふたつの言葉がかけ離れているかというと、そうでもない。なんとなく、1本のラインのようなものは捉えているなと思いました」

「断るのも仕事の1つなんだ」と初めて知った

アイドルや俳優としての活動にとどまらず、バラエティ番組、YouTube、そして今回の新書の出版など、近年ますますマルチに活躍している二宮。新書では、独立後の仕事への向き合い方の変化についても触れているが、改めてどのような変化があったのかと聞くと、「より責任を持つようになりました」と言う。

「すべての依頼された仕事を自分が見るようになって、『断るのも仕事の1つなんだ』と初めて知った、といいますか(笑)。前の事務所に所属しているときは、(自分に一番合う仕事を)プロの人たちに考えてもらって、自分のところに来たものを読み込んで理解して表現する、という仕事の仕方だったけど、今はお受けするものも、お断りするものも、すべて平等に時間を費やして向き合っている。それが仕事に対しての向き合い方で変わったところですね」

そうした周囲との関わりを経験する中で、実感しているのは人に恵まれている、ということだ。二宮は「『この人、マネージャーも何もいないから、こっちがケアしなきゃ』と動いてくださる方もいて。僕は常々、すごく“共演者運”と“スタッフ運”がいい人間だと思っているのですが、それがずっと続いていて、いい人たちにケアしてもらいながら展開できていると感じています」と語る。

そのような、二宮のさまざまな考え方が盛り込まれた一冊。刊行を控え、今はどのような心境でいるのか。


「新書がまだ出ていない状態なので、世の中に出てから感じる部分が多いのかなと考えています」と二宮。「手に取って読んでいただいて、読んだ人にとってどこがしっくりくる設問なのか、それが見えてきた段階で、ようやく『そういうことなんだ』と自分の中で合致するのかな、と思います」と笑顔を浮かべて語っていた。

■二宮和也
1983年6月17日生まれ、東京都出身。1999年に嵐のメンバーとしてCDデビューを果たす。以降、映画やドラマ、バラエティなどで幅広く活躍。近年の主な出演作はドラマ『ブラックペアン』シリーズ(18年、24年)、『マイファミリー』(22年)、『VIVANT』(23年)、映画『ラーゲリより愛を込めて』(22年)、『アナログ』(23年)など。8月29日に主演映画『8番出口』が公開。

撮影/Sai
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