アドビは6月17日、「Adobe Photoshop」「Adobe Illustrator」「Adobe Lightroom」の各アプリのアップデートを実施した。同日22時より順次、対象となる環境ではアップデートの適用/通知が行われる。


今回行われたアップデートには、2025年4月に英ロンドンで開催された「Adobe MAX London」でアナウンスされていたものも含まれる。なお、生成AIプラットフォーム「Adobe Firefly」についても同様に、「Adobe MAX London」でアナウンスしていたモバイルアプリ版リリースなどを含むアップデートが同日行われている。
○Adobe Photoshopのアップデート

「Adobe Photoshop」では、新機能「ダイナミックテキスト」が利用できるようになる。この機能は、指定したボックスのサイズにフィットするようにテキストを自動でリサイズ/再配置/再フォーマットしてくれるというもので、テキストの入ったデザインを短時間でバランスよく作成することができる。追加設定を行ったり、ピクセル単位で行間/単語間のスペースを調整したりといったことも可能だ。

また、クラウド処理により、「被写体を選択」「背景を削除」の機能強化も図られている。従来は難しかった髪の毛やネットのような複雑なエッジを持つ被写体の選択や背景削除を、細かいディテールで高速・正確に処理できるようになる。

○Adobe Illustratorのアップデート

「Adobe Illustrator」では、元のスタイルやカラー・ディテールを保持したままグラフィックやアートボードを拡大できる「生成拡張」が利用できるようになった。生成したベクターグラフィックは他のオブジェクトと同様に編集できるので、思い通りに微調整などを加えることができる。

このほか、アートボード上のベクターグラフィックの移動/回転/拡大縮小する際の速度と滑らかさを大きく向上させている。ライブ変換もレンダリング速度が向上し、プログレスバーを表示して待たせることもなくなっている。人気の高い10の効果(カリグラフィブラシ/ストローク/オフセットパスなど)の処理速度も最大で5倍高速化しているという。


このほか、鉛筆ツールの利用中にはライブプレビューとして描画結果のストロークを表示することが可能になる。効果やスムーズ化をリアルタイムで確認しながら作業できるため、より直感的な操作が行える。

○Adobe Lightroomのアップデート

「Adobe Lightroom」では、早期アクセス機能として提供されていたクイックアクション機能が正式リリースとなる。この機能はAIを利用して写真を解析し、各部分に最適な編集を提案してくれるツール。写真の人物の顔だけを明るくしたり、空を鮮やかにしたりといった調整を簡単に行える。

また、「不要な箇所を削除」も強化されている。映り込んだ人物の消去はこれまで、「生成AI削除」で削除対象を指定して処理を行っていたが、「余分な人物を削除」として、残すべき被写体以外の人物を一括して消去することができるようになった。

クイックアクション機能と「不要な箇所を削除」はモバイル版/デスクトップ版ともに利用可能。

デスクトップ版では、RAW画像を扱う「Adobe Camera Raw」に先行して導入されている「窓の反射を除去」機能が「Adobe Lightroom」にも導入され、対象がRAW画像でなくても利用できるようになった。

さらに、今回のアップデートには含まれないが、写真を選択するための新たなフィルター機能も紹介されている。このフィルターでは、被写体検出/目の焦点検出/目閉じ検出などを利用し、よい写真をすばやく選択することが可能になる。AIを活用して不要な画像の整理や類似の画像のグループ化を行えば、常に写真が整理された状態を維持できるという。
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