ALL DIFFERENTおよび「人と組織の未来創り」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所は2025年6月16日、2025年度新入社員のキャリア志向に関する調査結果を公表した。

同調査は3月25日~4月24日の期間で、2025年度入社の新入社員3,933人を対象にインターネットで実施した。


初めに新入社員に対し、将来会社でどのような役割を担いたいか質問した。

結果、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」が27.0%でトップだった。次いで、「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」が25.2%、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」が23.5%、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」が23.3%だった。この4つの項目が2割から3割程度の回答割合となり、大きな差はなかった(図1)。

将来担いたい役割についての回答を男性・女性で比較すると、男性のトップは「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」、女性は「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていきたい」だった。「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」と答えた男性は、女性よりも13.7ポイント高い31.1%、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていきたい」と答えた女性は、男性より10.8ポイント高い29.6%という結果となった。

回答割合の高い項目の順序は、「わからない」を除いて、男女ですべて逆転する結果となった(図2)。

またこの設問について、2014年度から12年間、各年度の新入社員の回答結果を比較した。結果、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」は過去最高の割合であることがわかった。また、「まだはっきりしておらず、今後決めていきたい」の回答割合も徐々に増加傾向にある。

一方、「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」の回答割合は、11年前に比べて9.4ポイント低く、過去最低の割合となった(図3)。

続いて、将来担いたい役割の質問で「組織を率いるリーダーとなり、マネジメントを行いたい(管理職)」を選んだ回答者に対し、リーダーになりたい理由を質問した。
結果、「人を束ねて、大きな仕事をしてみたいから」が36.6%で最も高い回答割合となった。

次いで、「仲間と仕事をするのが好きだから」(34.6%)、「将来経営層として会社を引っぱっていきたいから」(21.8%)が続いた(図4)。

またこの設問について、2014年度から12年間、各年度の新入社員の回答結果を比較したところ、「仲間と仕事をするのが好きだから」は11年前の23.7%から10ポイント以上増加していた。

一方、「将来経営層として会社を引っぱっていきたいから」は11年前の37.5%と比較して15ポイント以上減少傾向にあることがわかった。「人を束ねて、大きな仕事をしてみたいから」は過去最高の割合で、微増傾向だった(図5)。

次に、将来担いたい役割の質問で「専門性を極め、プロフェッショナルとしての道を進みたい(専門家)」を選んだ回答者に回答理由を聞いた。

結果、1位は「いざというときに専門性を活かして仕事をしていきたいから」(55.2%)で、半数以上が回答した。2位は「専門家として一つの分野を追究してみたいから」で37.3%。「マネジメントが自分には不得手だと感じるから」「一人で仕事をするのが好きだから」はそれぞれ4.2%、2.9%だった(図6)。

この設問について、2014年度から12年間、各年度の新入社員の回答結果を比較したところ、「いざというときに専門性を活かして仕事をしていきたいから」は2014年度の42.5%より伸びており、2024年度は減少に転じましたが、依然として高い割合を保っている。

「専門家としてひとつの分野を追求してみたいから」は2016年度から減少傾向だったが、2023年度から増加傾向に転じていることがわかった。(図7)。


次に、リーダーに対するイメージについて質問したところ、「リーダーシップが求められそう」が51.5%でダントツだった。2位は「成長できそう」で35.3%、3位は「やりがいがありそう」で34.7%だった(図8)。

図1の質問で、管理職を選択した人をリーダーになりたいと回答した人、それ以外の回答を選択した人をリーダーになりたいと回答していない人と分類し、リーダーのイメージ像に対する回答について比較した。

結果、リーダーになりたいと回答した人のイメージのトップは「やりがいがありそう」で50.3%。次いで、「リーダーシップが求められそう」が48.0%、「成長できそう」が44.8%だった。

一方、リーダーになりたいと回答していない人は、「リーダーシップが求められそう」が52.7%でトップ、次いで、「難しそう」が33.4%、「成長できそう」が32.1%で続いた。

リーダーになりたいと回答した人の「やりがいがありそう」の回答割合はそうではない人に比べて20.8ポイント高く、リーダーになりたいと回答していない人の「難しそう」の回答割合はリーダーになりたいと回答した人よりも11.7ポイント高くなった(図9)。

最後に、キャリア形成支援について会社に期待することを聞いた。回答割合が最も高かったのは、「上司に相談できる機会をつくってほしい」で54.3%。次いで、「キャリア形成についてのセミナーや勉強会などを開催してほしい」が36.8%、「上司以外の社員に相談できる機会をつくってほしい」が33.7%だった(図10)。

本調査では、新入社員のキャリアに対する考え方について、2025年度の最新データと経年変化などのデータ結果をまとめた。

新入社員に将来会社で担いたい役割を聞いたところ、「管理職志向」「専門家志向」「キャリアの志向なく、楽しく仕事がしたい」「今後決めていきたい」と、それぞれ回答割合が2割~3割と分散する結果となり、働き方に対する価値観が多様化していることが改めて裏付けられた。


11年前の回答結果と比較すると、「管理職志向」「専門家志向」は減少傾向にあり、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」「今後決めていきたい」は、徐々に増加傾向にあることがわかった。

また、男女別の回答割合を比較すると、男性は「管理職志向」、女性は「キャリア志向なく、楽しく仕事がしたい」が、それぞれ約3割で最も高い結果となった。

さらに、それぞれの役割を選んだ理由について聞いたところ、管理職になりたい人の理由のトップは「人を束ねて大きな仕事をしてみたいから」で36.6%だった。11年前と比較すると、「仲間と仕事をするのが好きだから」が増加しており、2025年度は34.6%と1位に迫る勢いだった。

専門家になりたい人の理由については、「いざというときに専門性を活かして仕事をしていきたいから」と半数以上が回答。11年前と比較すると増加しており、自らの専門性を高めて時代の変化に対応していきたいという考えが垣間見られた。

また、リーダーのイメージ像について聞いたところ、「リーダーシップが求められそう」と回答した割合が半数だったが、リーダーになりたい人とそうではない人で回答を集計したところ、回答傾向に違いが表れた。

リーダーになりたい人は「やりがいがありそう」「成長できそう」などポジティブに捉える傾向があり、リーダーになりたいと考えていない人は「ストレスが多そう」「大変そう、辛そう」「残業が多そう」「難しそう」とネガティブな項目の回答割合が高くなった。

最後に、キャリア形成について会社に期待することについて質問したところ、「上司に相談できる機会をつくってほしい」が最大になったことから、自分のことをよく知る上司との対話を通じてキャリアを形成していきたいと考える人の割合が高いことがわかった。
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