メルシャンは、6月24日に「カクテルスパークリングワイン」、7月29日に「フルーツ・クーラー」を発売するのに先立ち、新商品発表会を開催した。

○■新商品は「自分らしさ層」をターゲットに

発表会では、酒類市場が取り巻く環境変化について、メルシャン マーケティング部マーケティング戦略グループの韮沢奈津美氏が解説。
世界的に酒類市場の規模は縮小しており、特に日本においては、酒精改正による市場の変化、相次ぐ値上げによる節約志向、原材料高騰などによって「厳しい状況」であることを指摘する。一方で、消費者の価値観も多様化が進み、自分の価値観に合ったものにはお金をかけるが、普段の生活は節約する傾向がみられるという。

ワイン市場も、2024年は前年比約95%と厳しい状況。その要因として「飲酒人口の減少」や「ワイン飲用人口の減少」などが挙げられる。これまでワイン市場を作ってきたという自負もあり、この状況を打破すべく、メルシャンは「ワインの魅力を伝え、市場を活性化する」ことを新たな活動方針として、「『プレミアマイズ』による市場の魅力化」と「『新規ユーザーの獲得』による裾野の拡大」を戦略の大きな柱として掲げる。

特に「新規ユーザー」の獲得に向けては、ユーザーの再定義を実施。これまではターゲットを「ワインライトユーザー」「ワインミドルユーザー」「ワインヘビーユーザー」「国内製造ワインユーザー」「輸入ワインユーザー」といった5つにカテゴライズしてきたが、ユーザーの価値観やライフスタイルを分析し、その価値観に沿った提案を行うため、「自分らしさ層」「こだわり層」「健康志向層」「やりくり層」といった4つのセグメントに分類。特に、今回の新商品は、自分の感性やライフスタイル、価値観に合っているかという観点で商品を選ぶ傾向にある「自分らしさ層」をターゲットに設定しているという。

この「自分らしさ層」は、酒類ではRTD、クラフトビール、ハイボールなどを飲用する傾向があり、新規性が高く個性的、自分が好む世界観を表現した商品を選ぶ傾向にあることから、RTDを月1回以上飲用し、その中でも「ワイン低関与」のユーザーをターゲットに設定。RTD飲用者でワイン低関与のユーザーは市場に1,785万人存在し、ここに訴求することに市場拡大のチャンスを見出していくとした。

そして、1970年代から約50年で60倍に成長した日本のワイン市場を牽引してきたメルシャンは、「ワインの定義や意味を変えるのではなく、増やすことにチャレンジしてきた」という韮沢氏。それによって、ワイン造りの知見を蓄積してきたことをメルシャンの強みのひとつとして挙げる。
さらに、果汁をデザインし、フルーツのおいしさを最大限に引き出せることもメルシャンの大きな強みであり、「ワイン造り」と「RTDで得たノウハウ」の組み合わせが、「カクテルスパークリングワイン」と「フルーツ・クーラー」の開発に活かされているという。

フルーツのおいしさを引き出し、飲みやすい味わいに


RTDのような飲みやすさに、ワインの持つちょっと贅沢なイメージを付加することで生まれたのが「カクテルスパークリングワイン」。こだわりのポイントは「組み合わせの面白さ」であり、ディスカッションを重ねることで、多くの可能性を追求し、「白ワイン×アイスティー」「ロゼワイン×グレフルスカッシュ」「赤ワイン×レモネード」といった、意外性がありつつも相性のよい組み合わせに絞り込まれている。

さらに、選定された果汁や素材の味わいを活かし、飲みやすく、「わかりやすいおいしさ」を追求。さらに「ほっと一息つける甘さ」にもこだわっており、パッケージの目立つとことに「COCKTAIL(カクテル)」の文字を配置することで、甘さや飲みやすさを想起させているという。

また、メルシャンとしては初の試みとして、「カクテルスパークリングワイン」を飲んでいるときに聴いてほしいオリジナルプレイリストを制作。このプレイリストは、「ちょっと贅沢な自分時間」の飲用体験醸成に向け、「04 Limited Sazabys」のGEN(B、Vo)が手掛けており、Spoyifyにて配信されるので、こちらも注目しておきたい。

290mlのボトル缶で提供される「カクテルスパークリングワイン」は、どちらかというとパーソナルユーズが想定されているが、500mlの瓶で提供される「フルーツ・クーラー」は、「週末、普段はあまり集まれない家族、友人と一緒に、いつもとは違う感覚で楽しむようなシーン」を想定したものになると説明する、メルシャン マーケティング部マーケティング戦略グループの松山周平氏。

7月29日に発売される「フルーツ・クーラー」は3種類がラインナップされ、「フルーツ・クーラー レモン」は白ワイン、「フルーツ・クーラー ピーチ」はロゼワイン、「フルーツ・クーラー オレンジ」は赤ワインをそれぞれベースとしている。

「フルーツ・クーラー」のこだわりポイントは、何よりも「飲みやすさ」。苦みや渋み、酸味はワインの持ち味ともいえる特徴だが、今回のターゲット層にとっては、「そういう味わいがネガティブに働く」ことから、「フルーツ・クーラー」ではあえて、苦み、渋み、酸味を抑え、甘みを少し付与することによって、普段ワインをあまり飲まない層にとっても飲みやすい味わいを実現している。

さらに、「わかりやすい、爽やかなフルーツの味」と「視覚的にも楽しめるパッケージ」もこだわりのポイントで、「フルーツ・クーラー」は商品名にワインの要素を入れず、とにかくフルーツ押しでパッケージを表現。
ワインの世界では、「柑橘系の香りがするなど、普段あまり飲まない人にはピンとこない表現が使われがち」という松山氏。「フルーツ・クーラー」に関しては、「わかりやすいフルーツの味わいを前面に押し出しており、レモンであればレモンの香り、ピーチであればピーチの香りがしっかり感じられる」と自信を覗かせる。

そして、フルーツの香りや味わいが引き立つようなワインの選定やフルーツの香りを残す酸化防止技術など、メルシャンが長年培ったワインの醸造・ブレンド技術に、「本搾り」の開発担当者が携わるなど、フルーツのおいしさを引き出すRTD開発のノウハウを掛け合わせて生み出された「フルーツ・クーラー」は、「メルシャンでしかできない商品」であることをあらためて強調した。
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