ダイハツ工業が6月5日に軽自動車「ムーヴ」の新型モデルを発売した。スライドドアを採用し、同じカテゴリーのライバルたちと明確な差別化を図った意欲作だ。
150万円は軽ハイトの閾値?
新型「ムーヴ」のグレードは「L」「X」「G」「RS」の4種類。各グレードに2WDと4WDがある。価格は135.85万円~202.4万円だ。
ムーヴが属する「ハイト系の軽自動車」の購入検討者にとって、価格は「150万円が閾値」となる――。新型ムーヴのチーフエンジニアを務めるダイハツの戸倉宏征さんは、こんな見方を示す。必要十分な装備と機能が付いているかを見極め、自身の予算内で軽自動車を購入しようとするユーザーにとって、150万円を超えるか超えないかは大問題。この感じは納得できる。ダイハツが新型ムーヴのボリュームゾーンになると見込む「X」グレード(2WD)は149.05万円。強い意志と決意を感じる値付けだ。
「X」グレードはパーキングブレーキが足踏み式だ。
新型ムーヴは誰向けのクルマ?
乗ってみた感想として、「X」グレードに不足はない。日常の移動手段に使う軽自動車として、必要十分だ。白くてソファっぽいシートも含め、内装の雰囲気がスッキリとしていて明るく、空間として居心地がよかった。さすがに高速道路では速度がなかなか上がらず厳しかかったが、そもそも、高速道路を使った長距離移動が多い人には、ハイト系軽自動車の自然吸気エンジン搭載車よりも適した選択肢があると思う。長距離移動も含め、何から何まで新型ムーヴでこなしたいという人には、ターボエンジン搭載の「RS」を強くオススメしたい。
スライドドアの付いた軽自動車が欲しい。だけど、「タント」「スペーシア」「N-BOX」のように背の高いクルマじゃなくてもいい。そういう人に新型ムーヴはぴったりだ。この条件なら「ムーヴキャンバス」「ワゴンRスマイル」を検討することもできるから、あとは見た目や装備の内容、価格差で比べてみるといいだろう。キャンバスもスマイルも少しキュートすぎるという人にとっても、新型ムーヴは最適な選択肢になるはずだ。