さとふるは6月26日、ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」に掲載している情報をもとにした、ふるさと納税のお礼品トレンドを発表した。
○9月に"駆け込み寄付"が発生か
2024年6月に総務省が発表した「ふるさと納税の指定基準の見直し等」によって、2025年10月より、ポイントなどを付与するサイトを通じての寄付募集が禁止となる。
このふるさと納税サイトによるポイント付与禁止に向けて、2025年9月に"駆け込み寄付"が発生すると予測される。2023年10月に「募集適正基準の改正」による、募集経費の見直しが施行された際には、9月の寄付額が前年対比4.5倍以上に増加し、寄付が最も集中する年末の寄付額を超える結果となった。今年も同様に、9月に寄付が増加すると推測される。
○地域とともに魅力的なお礼品を開発する専門チーム立ち上げ
10月以降のふるさと納税利用意向について、2025年3月に同社が行ったアンケートでは、回答者のうち7割弱が「ポイント付与禁止の発表を受けても利用意向に変化はない」と回答しており、制度改正後も継続して多くの方々がふるさと納税で地域を応援していくと推察される。
同アンケートで「利用するふるさと納税サイトの選び方は変化すると思う」と回答した人のうち、どのような点を重視してふるさと納税サイトを選ぶかという質問では、「魅力的なお礼品の有無」が6割弱、「サイトの使いやすさ」が3割以上という結果に。10月以降、ふるさと納税サイトによるポイント付与がなくなるため、魅力的なお礼品が充実しているか、寄付手続きから控除申請までの利便性が高いかなどがふるさと納税サイトを選ぶ際の判断材料になると考えられる。
こういった背景から、同社では、魅力的なお礼品を掲載すると同時に、自治体やお礼品事業者とともに魅力的な特産品を生み出し、長期的な地域貢献に寄与することを目的として、2024年11月にお礼品を開発するための専門チームを立ち上げた。これまでは、各自治体・お礼品事業者を担当する部門など、それぞれが通常業務と並行してお礼品の開発・改善を提案してきたが、専門チームを立ち上げることで、寄付データや市場動向の分析に時間を割くことができるようになり、寄付者のニーズをより捉えたお礼品の開発・改善ができるようになったという。
○7か月間で約100自治体、約230件のお礼品を開発・改善
専門チームは寄付データや市場動向のほか、これまでさとふるに蓄積された知見をもとにお礼品の開発を提案している。提案したお礼品の開発にあたっては、自治体・お礼品事業者の課題や要望をヒアリングし具体的な解決方法を提示するなど、自治体・お礼品事業者と密にコミュニケーションをとりながら日本全国を対象に活動している。こうした取り組みにより、立ち上げから7か月間で約100自治体、約230件のお礼品を開発・改善した。
○さとふるがアドバイス・開発に携わったお礼品
具体的な開発・改善の事例を紹介する。
岐阜県美濃市「【さとふる限定】トイレットペーパー 天使の時間 ダブル 18R×2袋(36ロール)+ティッシュ18箱」(寄付金額14,000円)は、寄付者のニーズを把握し、お礼品事業者に直接提案ができるさとふるだからこそ実現できた限定のお礼品となる。
トイレットペーパーとティッシュは製造工程や設備が異なるため、セットのお礼品として1社で提供することが難しい。しかし、さとふる担当者の「日用品の需要の高さからセットにできると良いのでは」「トイレットペーパーは大容量品が多く、保管に困るという声がある」といった提案をきっかけに、同市内の別事業者(ティッシュ提供事業者)に協力を仰ぎ、核家族世帯向けに小容量のセット品として本お礼品が誕生した。
山梨県笛吹市「山梨・ジェラート計30個セット!季節のフルーツ・ミルク・さつまいも(各10個)」(寄付金額10,000円)は、フルーツ提供事業者から、傷などで出荷できないフルーツをアイスに活用できないかという相談から生まれたお礼品。さとふるの担当者が、他のお礼品と差別化を図るため山梨らしさを前面に打ち出したジェラートを提案し実現した。通常はミルクを主成分とするものが多いが、フルーツ提供事業者の特性を活かした「季節のフルーツ」を主成分としたフレーバーがイチオシだという。容量や個数についてもお礼品事業者と共に検討を重ね、1個あたり65mlで老若男女問わず最適なサイズになっている。
福岡県宇美町の「【さとふる限定】訳あり!博多の味本舗の辛子明太子(切れ子)1kg(500g×2)【無着色】」(寄付金額8,000円)は、さとふるの担当者が、少し形が崩れてしまっている明太子(切れ子)を食べきりやすい1kg(500gずつ)を簡易包装にし、家庭用として提供することを提案し誕生したお礼品。切れ子を使い、簡易包装を採用することで、一般的には1㎏あたり10,000円以上の寄付金額のお礼品が多いところ、8,000円まで抑えたさとふる限定のお礼品を開発した。
さとふる限定で、利尻昆布仕込みのさばを提供することが実現した。「【訳あり】こだわり利尻昆布仕込み 塩さばフィレ 約3.2kg 銚子東洋【さとふる限定】」(寄付金額12,000円)は、事業者と連携し、お礼品画像の見直しやキャッチーなお礼品タイトルへの変更などを行った結果、「さば」カテゴリランキングでTOP3にランクインし、寄付件数も5倍以上に一気に増加した。さとふるでは、本事業者のさばや鮭の寄付件数が大きく伸びているという。
○さとふるによる、希少品のお礼品化
全国に拠点を持ち、地域に足を運び自治体やお礼品事業者と共に活動しているさとふる。ふるさと納税業務の中間事業者として在庫管理やお礼品登録などの課題に寄り添い、地域と一緒に解決してきたからこそ、希少性の高いお礼品を掲載することができる。
「富士の輝」は、ブラックシャインマスカットとも呼ばれる新品種。生産量が少なく高級な品種で、百貨店の催事でも高い人気を誇っている。「品種開発元・志村葡萄研究所が贈る 富士の輝 1房 化粧箱入ブラックシャインマスカット【さとふる限定】」(寄付金額52,000円)のお礼品事業者・志村葡萄研究所は、この品種の開発元であり、品質が保証されたお礼品。本事業者は当初、人手不足という課題を抱えており、ふるさと納税に対応するための業務は煩雑であるというイメージを持っていたが、お礼品登録や在庫調整手続きにおけるさとふるの手厚いサポートが決め手となり、さとふる限定でふるさと納税への初出品が実現した。
さとふるは寄付者のニーズに応えるため、お礼品のラインアップ強化と地域産品の認知拡大を目指している。「【野原工芸】こおしんづかの槐のボールペン・スタンダード【さとふる限定】」(寄付金額30,000円)は、生産可能数が限られており、在庫管理が難しいため、寄付を受け付けることができない期間に多くの「再入荷メール申し込み」が登録された。再入荷を望む声に応えるべく、さとふるの担当者が生産体制の課題点をヒアリングし、お礼品事業者と協議を重ね在庫管理体制を見直した結果、さとふる限定・数量限定での入荷が実現した。
「【数量限定】サントリー シングルモルト ウイスキー 白州 NV(700ml×1本)【さとふる限定】」(寄付金額50,000円)は、ジャパニーズウイスキーの人気が高まったことで、市場になかなか出回らない状況が続き、ふるさと納税サイトに掲載するための在庫確保が課題となっていた。
さとふるでも寄付を受け付けることができない期間に多くの「再入荷メール申し込み」が登録され、寄付者のニーズが非常に高いお礼品となっていた。この状況を受け、さとふるの担当者が根気強く交渉を行ったことで、本お礼品の寄付受け付けの再開が実現した。
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