●“THE SECOND2025王者”の肩書きに喜び「俺ら王者なんだ!」
5月17日に行われた結成16年以上の漫才賞レース『THE SECOND~漫才トーナメント~2025』で3代目王者に輝いたお笑いコンビ・ツートライブ(たかのり、周平魂)にインタビュー。優勝後の変化や今後の抱負を聞いた。
大学の同級生で、ともにNSC大阪校に入学し、2008年4月にコンビを結成したツートライブ。『M-1グランプリ』では準々決勝止まりと、賞レースでなかなか結果を出せていなかった2人が、結成18年目で悲願の栄冠をつかんだ。優勝から1カ月。東京での仕事も増えた2人は、東京と大阪を行き来する多忙な日々を送っている。
――王者になってから1カ月経ちましたが、改めて『THE SECOND』優勝がご自身にとってどういうものになったかお聞かせください。
たかのり:ずっと欲しいと言っていた「漫才の免許」がもらえたなと。前は仮免すらもなく、いつ漫才ができなくなってもおかしくない状態でしたが、それがもらえて自信がつきました。何が起きようが漫才はやれるというのは、プレッシャーでもあり、自信でもあり。例えば、テレビ番組でうまくいかなくても、「漫才がある」と思える自信になっています。
周平魂:チャンピオンという肩書きがうれしいですね。まだあまり実感なくピンときてないですが、この間NGK(なんばグランド花月)で出させてもらった時に、「ツートライブ THE SECOND2025王者」と書かれてあって、「うわ~まじか! 俺ら王者なんだ!」って思いました。
たかのり:『THE SECOND』とは違いますけど、『M-1』で優勝されたミルクボーイさんやチュートリアルさんなど、過去のチャンピオンの方々が「おめでとう」「取ったな」と言ってくれた時に、「お~! 俺らもチャンピオンか」と思いました。
――優勝後、一気に忙しくなったのでは?
たかのり:1カ月めっちゃ早く感じています。休みがなくなり、子供と会う時間が格段に減ったのはちょっと寂しいです。帰るのが遅いので寝ているし、保育園の送り迎えを僕がけっこうしていて、あの時間が僕の中では癒やしの時間になっているんですけど、それも東京にいる時はできなくて。
周平魂:僕もそこが一番ですね。子供と奥さんとの時間が短くなってしまって。なので、劇場の近くの公園に奥さんと子供が来て、寄席の合間に1時間だけ遊んだり、今までそんなことしたことなかったですけど、するようになりました。こっちも会いたいので。
――仕事量は何倍に?
周平魂:体感的には4倍くらい。新しい仕事も多いので、より多く感じます。
たかのり:1日の中でも、前は仕事と仕事の合間がありましたが、今はその合間もどんどん埋まっていって、うれしい悲鳴です。
周平魂:仕事が欲しくて頑張ってきたのでうれしいですね。
○食べても食べて痩せる状態「脳をすごく使っているのだと…」
――忙しくて「食べても食べて痩せる」状態になっているそうですが、どれくらい痩せましたか?
周平魂:体重計に乗ってないので実際のところはわからないですけど、会う人会う人に「痩せたな」って言われます。
たかのり:僕も言われますね。顔つきも変わってきたのかなと。
周平魂:将棋の棋士の人たちは、動いてないけど頭を使うから、打ち終わったら痩せていると聞いたことがあって。ミルクボーイさんもチャンピオンになった年に食べても食べても太らなくなった時期があって、脳がずっと動いているから太らないと言っていたので、たぶんそれだと思います。
たかのり:新しい仕事も多くて、どう立ち回ったらいいか考えながらやっているので、脳をすごく使っているのだと思います。
――体調面は大丈夫ですか?
たかのり:マネージャーが気を使って、寝る時間を確保してくれているので大丈夫です。『THE SECOND』は40歳超えている人ばかりなので、『M-1』王者みたいに3時間睡眠でずっと働くことはできないです。おじさんなので(笑)
周平魂:寝ないと無理です(笑)
目指すは有名な漫才師「全国民が知っているくらいになりたい」
――優勝後、東京の番組にも多く出演されていますが、東京に来る頻度は優勝前後でどれくらい増えましたか?たかのり:優勝前は3カ月に1回あるかないかぐらいだったのが、1週間に3~4日くらい、半々になりました。優勝した次の日に見取り図の盛山(晋太郎)さんから連絡があって、「東京に住所があった方がええぞ。その方がテレビ局も呼びやすいし。俺らのYouTube用の“見取り図ハウス”を使っていいよ」と言ってくれて、おとといも2人でそこに泊まりました。そのおかげで夜遅くまで東京で仕事ができたりしていて、ありがたいです。
――大阪と東京の仕事のバランスは今後も半々くらいで考えていますか?
周平魂:そうですね。大阪でもともとやっているライブやイベントをすぱんとやめるという感覚はないので。それを続けてきたから優勝できたと思うので、それをやりながら、新しい仕事も頑張るという感じです。
たかのり:よしもと漫才劇場の支配人が「ツートライブは全国で活躍して後輩に背中を見せてほしい。福岡でも漫才してほしいし、東京でも漫才できる環境を作るので、全国で活躍してください」と全国での活躍を後押ししてくれているので、僕らは7月からルミネや福岡など、いろんなところで出番をいただいています。
――優勝後に東京に進出するコンビもいますが、お二人は考えていますか?
たかのり:東京行きは検討中です。
周平魂:とりあえず見取り図ハウスを使わせてもらってやっていけたら。
――漫才師としての今後の抱負もお聞かせください。
周平魂:漫才をずっと18年間やってきて、漫才で全国の賞レースのチャンピオンになれて、一応世に出られたので、これからも漫才を一番大事にしていきたいと思います。毎月やっている新ネタを3本下ろすライブも続けて、毎年のツアーも続けて、ミルクボーイさん、金属バットさん、デルマパンゲさんと4組で全国を回る「漫才ブーム10年間ツアー」も続けて。それプラス、チャンピオンになったことで東京のテレビに呼んでもらえているうちに、もっと有名になれたら。「有名な漫才師になりたい」というのが昔からの夢なので、それが目標です。
――“有名な漫才師”というのは、日本中の皆さんが知っているような存在でしょうか?
周平魂:そうですね。全国民が知っているくらいになりたいです。タクシーの運転手さんに「漫才師の人や」と言ってもらったりするのがうれしくて、「ツートライブという漫才師が日本にいる」というのを全国の人に知ってもらいたいです。
――たかのりさんも抱負をお願いします。
たかのり:僕も基本的には同じで、どこの舞台に出た時でも「ツートライブや」と思ってもらいたいです。NGKでも、漫才劇場でも、北海道でも、東京でも「知ってる」と思われる漫才師になるために今後どう動いていくか。東京の番組も大阪の番組も全国の番組も出たいですし、そういう表に出る活動を積極的にしていくことが、漫才をずっと続けるためにも必要だと考えています。
■ツートライブ
たかのり(1984年4月11日生まれ、広島県出身)と周平魂(1983年9月11日生まれ、京都府出身)によるお笑いコンビ。兵庫県立大学の同級生で、ともにNSC大阪校に入学し、2008年4月1日にコンビ結成。2017年『ABCお笑いグランプリ』決勝進出、2019年・2022年・2023年『上方漫才協会大賞』文芸部門賞受賞。『THE SECOND~漫才トーナメント~2025』で優勝に輝いた。