「遊び感覚で楽しめているからこそ続けられている」
お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次が現代を代表するクリエイターに扮する「クリエイターズ・ファイル」。2015年4月から雑誌・YouTube公式チャンネルで毎月新しいクリエイターを紹介し、今年で10周年を迎え、節目の年にチャンネル登録者数100万人を突破した。これを記念し、8月8日~9月1日に東京・池袋PARCOで「ロバート秋山竜次 presents 10周年 クリエイターズ・ファイル 胸やけ大博覧会」を開催する。秋山にインタビューし、「クリエイターズ・ファイル」への思いやイベントの見どころを聞いた。
10年続けてきた「クリエイターズ・ファイル」は、秋山にとって「ライフワーク」だと言い、気負わずに取り組んできたからこそ長く続けられていると語る。
「YouTuberの方みたいに毎日投稿するのではなく、月1回程度のペースで程よくやれているから長続きできているのかなと。みんなで文化祭のように作り上げていて、趣味にも近い。遊び感覚で楽しめているからこそ続けられているなと思います」
史上もっとも肥えたミイラ・ロイペル12世、世界一クリエイティブな大型犬・ロルフくん、微生物・ヤマトゴンズラなど、クリエイターの枠を超えてさまざまなキャラクターに扮しているが、「初期の頃はクリエイターという縛りでやっていましたが、もうとっくの昔に崩れました。ただ、自分が扮装したいというだけですね」と笑う。
コツコツとキャラを生み出し続け、現在113キャラに到達。反響も年々増しているという。
「0からのスタートで最初は認知されてなかったですが、今はどこに行っても『クリエイターズ・ファイル見てます』と言ってくれる人がめちゃくちゃ多いんです。やり続けてみるものだなと」
「クリエイターズ・ファイル」のキャラに扮してCM出演も。このような展開は「想像してなかった」と驚いているそうで、「うれしいですね」と喜ぶ。
今では、「クリエイターズ・ファイル」が秋山の活動の大きな軸になっている。
「何個かある軸の一つで、かなり大きいです。いつの間にか芸人として鍛えられているのかなとも思います。撮影の当日に、衣装を着てメイクをして、やっていくうちに入り込んで、こんな感じっぽいというところを見つけていくので」
○面白いキャラを生み出すコツは?
面白いキャラクターを生み出すために、秋山がまず大事にしているのが「ネーミング」だという。
「っぽいよねっていう名前があるんですよね。トータル・ファッション・アドバイザーのYOKO FUCHIGAMIも、YOKO FUCHIGAMIでしかない。扮装して思いつくこともあれば、演じている途中に思いつくこともありますし、ギリギリまで考えてつけています」
演じる際にはどんなことを意識しているのか。
「想像力を働かせて、この人こういうこと言いそうだなというのを探りながら、ただただやっているだけです。やっていくうちに出てくるので、そこを見つけていくという感じです」
キャラクター創作の源泉は、子供時代からの観察眼にある。
「昔から細かいところを見るのが好きでした。人の細かい癖や口調、服装などをよく見ていて、『理科の先生って大体ああいうポロシャツ着てるな』『あの先生は真面目なんだけど、車を覗いたら意外と車の中は遊んでいるな』とか、そんなのばっかり見ていました(笑)」
キャラになりきる演技力を生かして大河ドラマにも出演
コントや「クリエイターズ・ファイル」などでキャラになりきる演技力を生かし、俳優としてドラマや映画に出演することも。2024年放送のNHK大河ドラマ『光る君へ』では藤原実資という重要な役どころを任された。「大河ドラマは決まったセリフがあるので、セリフがなく自由にしゃべる『クリエイターズ・ファイル』とは真逆でしたが、いろんなキャラクターをやってきたので、藤原実資はこういう感じかなと、自分の中で想像して作っていくというのは通ずる部分もあるのかなと。
でも次元が違って、本物の演技の世界だなと思いました」
先日、7月18日よりPrime Videoで配信される実写版『笑ゥせぇるすまん』で主人公・喪黒福造を演じることも発表され、公開されたビジュアルに「ぴったり」「再現度すごい」などと絶賛の声を相次いだ。
「スタイリストさんがだいぶ前から『喪黒福造、いけますよね』と言ってくれていたので、『うわ! 来た!』と思いました(笑)」
俳優業への思いを尋ねると、「ドラマや映画のお仕事は、個人的にはここ1年半でもう充分な程に経験させていただきましたので、、笑」と控えめで、「本業は芸人で、面白につながることに一番興味があるので。もちろんオファーをいただけたらうれしいですけど、軸はこっちなので」と話した。
○胸やけ必至の体感型エンターテインメント展覧会を開催
8月8日から開催される「胸やけ大博覧会」は、会場でしか見ることのできない展示物や撮り下ろしの映像、これまでに登場した100人を超える全クリエイターが勢揃いする狂気の部屋など、胸やけ必至の濃厚でクリエイティブな数々の展示が楽しめる体感型エンターテインメント展覧会。開催期間中にクリエイターが登場するイベントも予定されているという。
秋山は「遠近法でしか仕事を受けない上杉みち君と一緒にお芝居ができたり、ファッションデザイナーYOKO FUCHIGAMI先生の専属モデルになれるランウェイを作ってみたり、ただ見るだけじゃなくて体感できるものを考えています」と魅力を伝え、「必ず胸やけすると言われている、胃薬がいるんじゃないかなというイベントなので、キャベツを胃に敷いてきた方がいいと思います(笑)。それぐらい10年分の思いが詰まったイベントなので、ぜひ来ていただきたいです」とアピールした。
今後の抱負を尋ねると、「30代から『クリエイターズ・ファイル』を始めて、今年47歳になるので、50代のキャラとかが扮装芸ではなく、まんまじゃないかと。その領域になるのを見てみたい。逆に、上杉みち君は6歳なので、どこまでいけるのかというのも気になります」と年齢を重ねることによる変化を楽しみにしているようで、「見てくださる方や、衣装さんやメイクさんなどスタッフさんがこのお遊びに付き合ってくれるんだったら、ひたすらやり続けたい」と語っていた。
■秋山竜次
1978年8月15日生まれ、福岡県出身。1998年NSC東京校4期生として入学。
同年、山本博、馬場裕之と共にお笑いトリオ・ロバートを結成し、2011年には『キングオブコント』で優勝を果たした。映画『デトロイト・メタル・シティ』(2008)や『漫才ギャング』(2011)、ドラマ『俺の家の話』(2021)、『光る君へ』(2024)など、映画やドラマにも出演。体モノマネやなりきりモノマネを得意とし、2015年に始めた「ロバート秋山のクリエイターズ・ファイル」が人気を博している。
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