NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションは7月9日、銀行を対象としたNPSベンチマーク調査2025の結果を発表した。調査は2025年5月27日~6月2日、auじぶん銀行、PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)、SBI新生銀行、イオン銀行、住信SBIネット銀行、セブン銀行、ソニー銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、ゆうちょ銀行、楽天銀行、りそな銀行の利用者6,009名を対象に、インターネットで行われた。

○銀行のNPSおすすめランキング

NPS(Net Promoter Score)とは、「友人や同僚に薦めたいか?」という質問への回答から算出される、顧客ロイヤルティを測る指標のこと。欧米では公開企業の3分の1がNPSを使用しているといわれ、日本においても顧客満足度にかわる新しい指標として、NPSを活用する企業が増えてきている。

今回、銀行を対象に調査したところ、13行のうち、NPSのトップは住信SBIネット銀行(-22.0)、2位はSBI新生銀行(-26.6)、3位はソニー銀行(-28.6)となった。対象13行のNPS平均は-39.4、またトップ企業とボトム企業との差は36.3ポイントとなった。

○ロイヤルティを醸成する要素

銀行業界全体のロイヤルティを醸成する要素を20の項目で分析したところ、「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」や「手続きの簡単さ」、また「公式アプリの使いやすさ・分かりやすさ」といった項目となった。

一方でロイヤルティ向上のために優先的に改善が期待される項目としては、「担当者の説明のわかりやすさ(商品の特性、手数料、リスク・リターン等)」や、「自身の状況やニーズに対する担当者のヒアリング力」といった担当者の対応力に関連する項目となった。また、「ニーズを満たす商品のラインナップ・商品の魅力」、「サービスの対価に見合った合理的な手数料」、といった商品性に関連する項目や、「お客さまに寄り添う姿勢・大切にする姿勢」といった項目も今後の改善が期待される結果となった。

NPS1位となった住信SBIネット銀行では、「公式アプリの使いやすさ・分かりやすさ」や「ネットバンキングの使いやすさ・分かりやすさ」といったデジタル接点がロイヤルティ醸成要因となった。2位のSBI新生銀行は担当者に関連する評価が高くなったほか、「サービスの対価に見合った合理的な手数料」が、また3位のソニー銀行は「お客さまに寄り添う姿勢・大切にする姿勢」や「ニーズを満たす商品のラインナップ・商品の魅力」がそれぞれ評価された。
○会員向け優遇プログラムの活用度合い

近年、日銀の金融政策転換により金利が上昇する状況、いわゆる「金利のある世界」を背景に、銀行では預金獲得競争が進んでおり、会員向けに金利やキャッシュバック率、手数料に関連した優遇施策の充実を図っている。このことを背景に、該当の銀行が提供する会員向けの優遇プログラムの内容について知っているか調査したところ、「知っている」と回答した人は14.0%、「比較的知っている」と回答した人は19.2%となった。

会員向けの優遇プログラムについて「知っている」または「比較的知っている」と回答した人に、会員向けの優遇プログラムを活用できていると感じるか調査したところ、「活用できている」と回答した人は17.1%、「比較的活用できている」と回答した人も39.2%となった。


また、会員向けの優遇プログラムの活用度合い別にNPSも分析したところ、「活用できている」と回答した人のNPSは21.1となり、また「比較的活用できている」と回答した人も-3.1と、それ以外の人に比べてNPSは高くなった。

会員向けの優遇プログラムの活用度合い別に該当の銀行がメインバンクであるか分析したところ、「活用できている」、「比較的活用できている」と回答した人では43.2%がメインバンクとして利用している結果となり、それ以外の人と比べてもメインバンクとしての利用率が高くなった。

○利用者保護のセキュリティ対策について

現在、銀行ではセキュリティ攻撃などによる不正被害防止について取り組みを進めている。このことを背景に、該当の銀行による、利用者保護のセキュリティ対策として知っているものを調査したところ、「メールやSMSでの取引内容のお知らせがある」が35.3%と最も高く、次いで「ネットバンキングやアプリでの本人認証(ワンタイムパスワードや生体認証など)の仕組みがしっかりしている」(33.1%)、「ログイン履歴や取引履歴が確認しやすく覚えのないログインや取引を発見しやすい」(21.6%)と続いた。

該当の銀行が自身の資産を守るための取り組みができていると感じるか調査したところ、「とてもそう感じる」と回答した人は8.2%、「ややそう感じる」と回答した人は34.9%となった。

またこれらの印象別にNPSも分析したところ、「とてもそう感じる」と回答した人は29.3、「ややそう感じる」と回答した人も-17.1となり、肯定的な印象を持っている人ほどNPSが高い傾向となった。

○今後の継続利用意向

対象の銀行において、今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者)は平均9.6、「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均8.0、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均6.1となり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となった。
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