日産自動車が軽自動車「ルークス」をフルモデルチェンジして発売する。新型ルークスは従来とフロントマスクのデザインが一変。
車内は12.3インチのメーター一体型ディスプレイが先進的な雰囲気だ。軽で唯一の「Google搭載車」となるところにも注目したい。

見た目はポップ、中身は最先端?

ルークスは背が高くてスライドドアを搭載する「軽スーパーハイトワゴン」というカテゴリーのクルマ。日産と三菱自動車工業の合弁会社であるNMKVのマネジメントのもと、日産が企画、開発を行う軽自動車だ。新型の発売は2025年秋ごろの予定。価格は160万円台からとなる。

デザインでは軽規格のなかで最大限の大きさを表現。「ルークス」(ROOX)というネーミングの由来である「Roomy×Max」がデザインコンセプトだ。新型ルークスを象徴するデザインモチーフの「かどまる四角」をヘッドライト、リヤコンビネーションランプ、ドアハンドル、ホイールなど各所に採用した。

インテリアのデザインコンセプトは「Breeze」(そよかぜ)。乗る人全員がリラックスできる居心地のよい空間を目指した。

インパネには軽自動車初となる12.3インチの大型統合型インターフェースディスプレイを搭載。
「インテリジェントアラウンドビューモニター」(移動物検知、3Dビュー機能付き)を採用するなど先進安全技術を充実させた。今のところ日本ではボルボ、ホンダ「アコード」あたりでしか使えない「Google」を搭載しているところも新型ルークスのセールスポイント。軽自動車では初採用となる。

新型ルークスのグレードは「スタンダード」の「S」「X」と「ハイウェイスター」の「X」「Xプロパイロット」「Gターボ」「Gターボ プロパイロット」の計6種類だ。
軽スーパーハイトの3強に近づけるか

軽スーパーハイトワゴン業界はホンダ「N-BOX」、ダイハツ工業「タント」、スズキ「スペーシア」が三つ巴の勢力争いを繰り広げる過酷な市場。3強の後塵を拝してきたルークスは、デザイン一新と機能充実で追い上げを図る。コマーシャルで使うビジュアルや「見えルークス! あがルークス!」というキャッチコピーなどは、これまでの日産車とは一線を画すポップな仕上がり。3強が得意とする明るくて親しみやすい雰囲気に近づけてきた印象だ。

日産のマーケティング担当によれば、ユーザーが軽自動車に望む価値は大きく、そして広くなってきているという。少し前までは「経済性」「利便性」あたりが重要なポイントだったのだが、最近ではクルマを「自分だけの空間」と捉え、快適性を重視し、カスタムやボディカラーで自己表現をしたいというニーズも増してきている。そんな昨今のニーズに対し、新型ルークスでは開放感のある内装デザインや運転手ファーストな機能、視界のよさなどで対応する。

同氏によると、今回のポップなマーケティング戦略も、軽自動車ユーザーの購買行動を分析した結果として導き出したそうだ。


軽ユーザーは登録車(軽ではないクルマのこと)の購入者に比べ、クルマを購入する際の情報収集に労力をかけない傾向にある。そもそも情報収集の量が少ないし、購入を決めるまでの検討期間は短く、訪問する店舗の数も少ない。つまり、あまりクルマに興味がない感じなのだ。

日産は登録車から自動車のビジネスを始めた会社であり、軽を売るにしても、それまでに培ったコミュニケーションの手法に沿ったトーン、マナー、世界観で商品の販促を行っていた。

それはよく言えば日産らしさなのかもしれないが、実際としてルークスは軽スーパーハイトワゴンの3強に追いつけていない。それならば……ということで、今回の「見えルークス! あがルークス!」的な打ち出し方を採用したわけだ。わかりやすくてインパクトの強い見せ方で知名度向上を図り、軽スーパーハイトワゴンの第4の選択肢として確固たるポジションを築けるかどうかが新型ルークス成功のカギを握りそうだ。
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