女優の広瀬すずが主演を務める映画『遠い山なみの光』(9月5日公開)の新たな場面写真7点が公開となった

『遠い山なみの光』は、ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロ氏の長編デビュー作を、石川慶監督が映画化。主演は広瀬すず、共演は二階堂ふみ、吉田羊、カミラ・アイコ、松下洸平、三浦友和ら。
舞台は、戦後間もない1950年代の長崎と、1980年代のイギリスで、時代と場所を超えて交錯する「記憶」を巡る秘密を紐解いていくヒューマンミステリーに仕上がっている。

この度、1950年代、戦後復興期の活気溢れる長崎で夫とともに暮らしている主人公の悦子(広瀬すず)が出会った、どこかミステリアスで凛とした強さを放つ佐知子(二階堂ふみ)と、その幼い娘の万里子を捉えた場面写真7点が公開となった。広瀬と二階堂は、本作が初共演となる。

公開された場面写真には、時代を感じさせるレトロな街並みの中、万里子が夏祭りの射的で当てた一等賞を手にし、嬉しそうに歩く三人のリラックスした笑顔カットや、その夏祭りの中、ひときわ華やかなスカーフを首に巻いたモダンな装いで佇み、悦子と万里子を静かに見つめる佐知子の意味ありげな表情を捉えたシーンも。楽しげな夏祭りとはうって変わり、佐知子の家で神妙な面持ちを浮かべて話す悦子と佐知子の姿を捉えたカットは、二人のただならぬ雰囲気を感じさせる。

さらに、和服を装い、出先で何かを気にするかの様に上に眼差しを向ける悦子の姿や、街で日傘をさし幸せそうに微笑むカット、佐知子が青いバンダナを頭に巻いて働き真剣な表情を浮かべて何かを見つめる姿や、万里子の腕に何かを見つけ驚いたような表情を見せる悦子など、物語の行方や二人の関係性が気になりながらも、この時代を自分の信念に基づき懸命に生き抜く二人の女性の姿が切り取られている。

キャスティングに関して、石川監督が最もこだわったのは「当事者性」。そのため、長崎パートの悦子役は20代後半の女性である必要があり、その世代の俳優の中で圧倒的に傑出しており、さらに企画全体の重心になるような求心力を持つ存在として、広瀬すずの名前が真っ先に挙がった。純粋さと影を併せ持つ悦子の二面性を演ずることに関しても、キャリアを積んできた今の広瀬の起用は妥当な流れだろう。石川監督がその気持ちを手紙に綴り、受け取った広瀬から快諾を得たという。

撮影現場での広瀬について、石川監督は「これだけ周りに存在感と演技力を兼ね備えた役者さんが揃っていると、少し埋もれてしまったり、もしくは埋もれないように力が入ったりするものだと思うのですが、広瀬さんは本当にベテランのようなオーラを放って、中心にいらっしゃった。焦ることもなく、引くところは引いて、最終的には強い印象を残す。
すごい方だと感服しました」と絶賛する。

また広瀬と誰の「対決」が観たいかという観点からキャスティングが始まったのが佐知子役。悦子から見た佐知子は、その時の自分にないものを持ち、圧倒的に自由で、希望を胸に自身の足で前へ進む女性である。そんな、悦子がある種の憧れを抱く人物としても二階堂ふみが適任だった。二階堂について石川監督は「二階堂さんは、佐知子という存在の"違和感"を芝居の中に落とし込んでくれました。声の質から佇まいまで、この映画に必要な佐知子の異質さは、脚本だけでも美術や衣装だけでも難しかった。やはり、二階堂さんが持ち込んでくださったものが大きかったと痛感しています」と讃える。また広瀬と二階堂の共演について、福間プロデューサーは「キャスティングの時から、あの二人が並んだらどうなるのだろう、間違いなく 異次元の反応が起きるだろうと、全員が期待していました。撮影中も、二人のツーショットの画の強さは圧巻でしたね」と述懐している。

(C)『遠い山なみの光』製作委員会

【編集部MEMO】
原作者、エグゼクティブ・プロデューサーのカズオ・イシグロは、本作で描かれる長崎県の出身で、幼年期に渡英したのち、1983年にイギリス国籍を取得。2017年にノーベル文学賞を受賞している。本作以外にも映画化された作品は数多く、『日の名残り』『上海の伯爵夫人』『わたしを離さないで』『生きる LIVING』は、日本でも公開されている。
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