米Microsoftは7月28日(現地時間)、同社のウェブブラウザ「Microsoft Edge」をAIブラウザ化する新機能「Copilot Mode」の導入を発表した。Copilotがユーザーの意図を汲み取り、操作や情報収集を支援することで、AIと協働する新たなブラウジング体験を実現する。


同社は実験的モードとして、28日よりWindows用およびMac用Edgeユーザー向けに期間限定の無料提供を開始した。利用には明示的な有効化が必要で、Copilot Modeのウエブページからオプトインする。

Copilot Modeでは、新規タブに検索、チャット、ウェブサイトへの移動を統合したシンプルな入力ボックスが表示される。また、アドレスバー左側のCopilotアイコンから「クイック応答(Quick Assist)」を呼び出すことが可能だ。

Copilot Modeの大きな特徴の一つが「マルチタブコンテキスト」機能である。従来のブラウザやAIアシスタントは、基本的に一つのタブや質問に限定して応答していた。しかし、ユーザーが情報を調べる際には複数のウェブサイトをタブで開き、比較することが多い。例えば「沖縄のホテルA」「沖縄のホテルB」「沖縄のアクティビティ」「航空券サイト」などのタブを開いている場合、これらは異なるサイトであっても「旅行計画」という共通の目的のために関連している情報である。

Copilot Modeは、ユーザーの許可を得て現在開いている全タブの内容を横断的に理解する。これにより、「ビーチに一番近くて、フルキッチン付きのホテルはどれか」といった質問に対して、複数タブからの情報を基に最適な選択肢を提示する。ユーザーはタブを何度も切り替えて情報を整理する手間から解放される。

Copilot Modeは音声入力にも対応している。
「このページの情報を要約して」「ノートパソコンAとBを比較して」といった指示や操作のアクションを、マイクボタンをクリックするだけで伝えられる。クリックや入力の手間も減らしてCopilotと協働することで、ブラウザを使用した作業の効率性と生産性を高められる。

将来的には、ユーザーの許可を得て、閲覧履歴や認証情報といった、よりパーソナルな情報にアクセスし、AIがユーザーに代わって能動的にタスクを実行する「エージェント」としての役割を担うことも視野に入れている。 例えば、「職場の近くでパドルボードをレンタルしたい」と頼むだけで、Copilotが最適な店舗を見つけ、天候を確認し、予約をサポートするといったことが可能になるという。
○プライバシーと安全性への配慮

AIがユーザーのタブや履歴にアクセスすることはプライバシー上の懸念を伴う。Microsoftは、パーソナライズ設定を通じてユーザーが提供を選択したデータおよび利用体験を向上させるために必要なデータのみを収集する。Copilot ModeでデータはMicrosoftのプライバシーステートメントに基づき安全に管理され、許可なく共有されることはない。ユーザーはMicrosoft Edgeのユーザー設定の「AIイノベーション」から、いつでもCopilot Modeをオン・オフできる。
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