米Adobeは7月29日(現地時間)、画像編集ソフト「Photoshop」へのAIを活用した新機能の追加および機能強化を発表した。
今回のアップデートでは、自然な画像合成を可能にする新機能「調和(ベータ版)」が追加され、「削除ツール」で従来よりも高精度に画像をクリーンアップできるようになる。
また、ユーザーから要望が多かった「生成アップスケール(ベータ版)」が導入され、さらにプロジェクト管理を効率化する「プロジェクト(ベータ版)」が追加される。
「調和(ベータ版)」は、2024年10月のAdobe MAXで「Project Perfect Blend」として初公開された機能で、効率的な操作で異なるエレメントを自然に合成できる。デスクトップ版およびウェブ版のPhotoshopのベータ版で利用可能となり、iOSモバイル版では早期アクセス版として提供される。
「調和」は、新たに配置したオブジェクトの色味や明暗、影、質感を自動調整し、周囲に自然に溶け込ませる。これまで自然な写真合成は色調補正や影の調整などの高度な編集スキルを必要としていた。「調和」により、そうした経験や知識を持たないユーザーでも簡単に高品質でリアルな合成を作成でき、デザイナーやデジタルアーティストは手動作業を大幅に軽減できる。
不要なオブジェクトや人物を削除する「削除ツール」 は、「生成塗りつぶし」と並んでよく利用されているAI機能となっているが、細部のエッジにアーティファクト(ノイズ)が生じることがあった。今回の改良により、生成塗りつぶしでより正確にギャップを埋められるようになり、周囲とより自然に調和する。「よりクリーンでプロフェッショナルな仕上がりとなり、そのまま投稿用コンテンツとして使用できる」という。
「生成アップスケール(ベータ版)」では、AI生成を用いてディテールを補うことで、画像の鮮明さを損なうことなく、最大8メガピクセルまで拡大できる。古い写真の修復や印刷用データの作成、SNSやWeb広告など異なる媒体向けのサイズ調整に有用な機能である。
また、Photoshopのデスクトップ版では、「生成塗りつぶし」および「生成拡張」において使用モデルを「Adobe Firefly Image 3」と「Adobe Firefly Image 3」から選択できるようになった。
最新モデルであるImage 3は、照明・構図・細部の再現性やフォトリアリズムに優れ、複雑な指示文にも高度に対応する。一方、Image 1では、初期モデルならではの柔らかな風合いがあり、ユーザーのスタイルやクリエイティブの目的によっては、最新モデルよりImage 1が適する場合もある。
「プロジェクト(ベータ版)」は、複数の素材やバージョンが混在しがちな制作現場を管理・整理するためのソリューションである。必要なアセットをすべて1カ所の整理された共有スペースに集約。一元管理・共有する仕組みにより、個々のアセットを手作業で受け渡しする手間、ファイルの散在やバージョン管理の問題を軽減し、円滑なコラボレーションを実現する。これはデスクトップ版の機能として提供される。
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