1965年に『大怪獣ガメラ』が公開されてから今年で60周年を迎える『ガメラ』。その記念すべき節目にあたり、今年から来年にかけて「ガメラ生誕60周年プロジェクト」が本格始動し、第1弾として12月5日より「昭和ガメラ映画祭」の開催が決定した。
1965年11月27日に怪獣映画『大怪獣ガメラ』が公開されて空前の大ヒットを記録して以来、昭和期に計8作品、平成期に4作品が製作され、さらに2023年にはアニメ化も果たすなど、常に時代と共に進化を遂げてきた『ガメラ』。その普遍的な魅力は国内外のファンを惹きつけ、今なお多くの支持を集めている。
「ガメラ生誕60周年プロジェクト」では、第1弾として、12月5日から「昭和ガメラ映画祭」がスタートする。この映画祭では、昭和期に公開されたガメラ全8作品に加え、平成期のエッセンスを取り入れた2006年の異色作『小さき勇者たち~ガメラ~』を特別上映。会場となる角川シネマ有楽町では最新の4Kプロジェクターが導入されており、鮮明かつ迫力のある映像が大スクリーンで堪能できる貴重な機会となる。
目玉は、昭和ガメラシリーズ初期3作品――『大怪獣ガメラ』、『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』、そして『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』――の4Kデジタル修復版。これらの復刻作業を手掛けたのは、平成ガメラ三部作で特技監督を務めた樋口真嗣氏と、映画の色調整における熟練者・小椋俊一氏。2人は1980年代後半から映像制作会社IMAGICAで共にキャリアを重ね、過去のガメラ作品にも深く関わってきたという。まさに縁のある2人による渾身の監修が、「誰も見たことのない昭和ガメラ」を現代に蘇らせる。
また、プロジェクトの一環として公開された特報映像には、昭和・平成・アニメすべてのガメラ作品から、選りすぐりのシーンを収録。時代を超えてスクリーンを駆け抜けたガメラの雄姿が蘇り、観る者の記憶と感情を刺激する内容となっている。
映画祭だけにとどまらず、UHD Blu-rayも展開。
テレビ放送でも、全国無料放送のBS12で11月に初放送が予定。さらに、人気番組『船越英一郎の昭和再生ファクトリー』では、今回の4K修復作業の裏側に迫る特別番組も放送される。ナビゲーターを務めるのは、初代『大怪獣ガメラ』主演の故・船越英二を父に持つ俳優・船越英一郎。彼が樋口監督、小椋氏、そしてIMAGICAの技術陣と共に、日本が誇る特撮文化の"再生"に迫る。
■樋口真嗣監督 コメント
私が生まれた年に作られた映画ですから、かれこれ60年前の映画です。本来なら制作に携わった方が監修すべきなのですが、見渡した限りどなたもいらっしゃいませんでした。残念なことです。 そしてこの度、私たちの世代にとってはレジェンド級のタイミングマンである、小椋俊一さんとデジタルグレーディングの第一線を切り拓いているイマジカのカラリスト、阿部悦明さんのお力添えで不肖樋口、いちファンの代表として、この大任を慎んでお引き受けさせていただきました。
暗部に埋もれ、グレインに隠されていた怪獣たちの皮膚感を洗い出し、当時の低感度ネガフィルムに記録されていた現場の空気感を発掘するのは、試行錯誤を重ねて素晴らしい作品を作り出した先輩たちの偉業を追体験するようで、素晴らしく幸せな作業でした。
とりわけ、タイミングデータから明らかになる、オプチカルプリンターを介さずにオリジナルネガを巻き戻して二重露光をしたダブルロール合成カットの多さは衝撃です。ブルーバック合成という選択肢を当たり前のように選ぶことが難しい時代に怪獣映画を撮っていた先輩たちの労苦には感服するばかりです。 誰も観たことのないガメラの誕生を、刮目してご覧下さい。
■小椋俊一氏 コメント
この企画のお話を頂いたとき、まさか自分の子供のころ劇場で観た「昭和ガメラ」の4K修復に関われるとは思ってもみなかったので、うれしく思いました。「平成ガメラ三部作」には、タイミングとして関わりました。劇場で皆さんがご覧になったのは、プリントフィルム(ポジ)です。今回の4K修復はネガからの修復です。ポジを通さない分、当然劇場での見え方と変わります。ネガはポジでは表現できなかった明部、暗部のディテール等、豊富な情報を持っています。その情報を損なわないように、なおかつ当時観たような質感を求めて修復しました。ご期待ください。
【編集部MEMO】
『ガメラ』は、1965年公開の怪獣映画『大怪獣ガメラ』で初登場して以来、昭和・平成・令和を駆け抜け、多くのファンに親しまれてきた人気シリーズ。巨大な亀の姿で空を飛び火を吐くというユニークな設定と、“子どもたちの味方”というヒーロー性が支持を集めた。昭和期には8本のシリーズを展開。ギャオスやバイラスとの戦いは今なお語り継がれている。平成にはVFXを駆使した3部作が評価され、2006年には『小さき勇者たち~ガメラ~』が公開された。さらに2023年にはNetflixでアニメ『GAMERA -Rebirth-』が配信。令和の時代にもその意志は継承されている。