芸能活動にも生きた東京ディズニーシーでのキャスト経験
話題のドラマに多数出演し、女優として存在感が増している野呂佳代。ディズニー&ピクサー最新作『星つなぎのエリオ』(8月1日公開)では、主人公エリオが招かれる“星々の世界”コミュニバースの案内係ウゥゥゥゥ役の日本版声優を務めた。野呂にインタビューし、本作参加の喜びや、今の仕事に対する思い、これまでの転機などを語ってもらった。本作は、ひとりぼっちの主人公エリオが、何光年も離れた星で、本当の居場所、大切なつながりを見つける物語。東京ディズニーシーのキャストとして働いていたほど大のディズニー好きの野呂は、USオーディションを経てディズニー&ピクサー声優の座を勝ち取った。
――オーディションに合格した時の心境をお聞かせください。
信じられなかったです。私はディズニーが本当に大好きで、今までディズニーにいろんなことをいただいていたので、そんな一部に自分がなれることがうれしくて。うれしすぎて泣きました。
――ウゥゥゥゥは、エリオの生活を様々な能力でサポートし、時々毒っ気のある発言をするキュートなお助けコンピュータですが、演じる際にどんなことを意識しましたか?
アメリカの声優さんが演じられているものを見ながらやったのですが、やっていくうちに「ウゥゥゥゥってどういう声を出すのかな」と思えるようになって、どんなキャラクターかというのを自分の声で演じるのがすごく楽しかったです。
――普段の野呂さんの声よりもキャラクターっぽい声になっていますよね。
若干加工されていますが、ウゥゥゥゥっぽいなと思う声を意識しました。とてもかわいいのに、はっきり物事を言ったり、フラットに感情を出すということで、言い方を少し面白くしてみたり、いろんな挑戦をさせていただきました。
――ディズニーシーでキャストとして働いていたほど大好きなディズニー&ピクサーに声優として携わり、いかがでしたか?
ディズニーへの思いはすごくたくさんあるので感慨深いです。キャストとしてお客さんの誘導などをしていましたが、当時、女優さんになりたいという夢を持ちながら働いていて、今こういうお仕事ができていることが本当にうれしいです。
――キャスト経験が芸能界でも生きているなと感じることはありますか?
自分が好きなところで仕事ができる楽しさを味わえたというのも大きかったですし、魔法がかかっている中でいろんな人と接していて、芸能界も人との会話が大事なので、そういう点でとても勉強になりました。また、人を楽しませたいというエンタメ精神も似ているものがあるなと思います。
――もともと女優を目指していたとのことですが、AKB48のオーディションに合格し、アイドルとしてキャリアをスタートされました。
ずっと女優さんになりたいと思っていましたが、歌もダンスも好きで、何かきっかけが欲しかったので、オーディションに応募しました。
――近年ドラマを中心に女優として引っ張りだこで、見事に目標を叶えられていると思いますが、今の状況をどのように感じていますか?
本当にうれしいです。もっと早くこうなっていたかったですけど、ここを目標にずっと頑張ってきたのですごく幸せですし、このままずっと楽しく女優のお仕事ができたらいいなと思っています。
『ロンハー』『ゴッドタン』に「救ってもらった」 女優業にもプラスに
――2012年にSDN48を卒業されてから、まずはバラエティで活躍されていた印象があります。もともと小劇場で2年弱ぐらい舞台をやっていましたが、そこから次に発展させるためにはどうしたらいいのか悩んでいて、そんな時にバラエティのオーディションに受かって、女優になるためにバラエティも頑張ろうという気持ちで、目の前のことに取り組んでいったという感じです。
――バラエティでの活躍が女優業につながると考えたわけですね。
そうですね。でも、体を張るバラエティなど、これがどう女優さんにつながるんだろう思って悩む時もあって。そんな時に知り合いの人が「バラエティも演じていると思ったら、女優に通じるものがあるんじゃない?」とアドバイスしてくれて、その言葉に救われました。バラエティは素ですが、一応番組としての役割を演じているということで、女優の勉強にもなるんだと。
そう思うことで頑張ることができました。
――今後バラエティにも引き続き出演していきたいと考えていますか?
どちらも続けていきたいです。今は女優のためということではなく、バラエティも本当に楽しくできていて、幸せだなと思います。
――ご自身の中で、女優の道が開けたなと感じた転機がありましたら教えてください。
『ナイト・ドクター』です。それまでも深夜ドラマなどに出演させてもらっていましたが、『ナイト・ドクター』以降、いろいろな役をいただけるようになった気がしていて、女優として一歩踏み出せたと思っています。
――演技力とトーク力を持ち合わせた野呂さんだからこそ活躍の場が広いなと感じますが、『ゴッドタン』や『トークサバイバー!』などの佐久間宣行プロデューサーも「お芝居のうまさに加えて、笑いも生み出せる人」と野呂さんのことを絶賛されていました。
佐久間さんは『ゴッドタン』のアシスタントに選んでくださった時も演技力のことを言ってくださって。その頃、仕事に関してダメかもしれないと思っていた時だったので、佐久間さんの言葉はとても響きました。まず『ロンハー』(『ロンドンハーツ』)に救ってもらって、次に『ゴッドタン』という流れが、私の中では大事だった気がします。
――『ロンハー』『ゴッドタン』で注目度が高まりましたが、それが女優業にもつながったなと感じていますか?
そうですね。『ゴッドタン』で恥ずかしがっていちゃいけないということがたくさんあって、それが演技にも生きているのかなと。
ハリウッドザコシショウさんになりきるとか、恥ずかしがっていたらできないことなので、そういうことをやらせてもらったおかげで殻を破れた気がしますし、自分はこういう風に演じたいと思ったことを出せるマインドになれたのは『ゴッドタン』のおかげだと思います。
――お話を伺っていると、ディズニーのキャストからすべての経験が今につながっているんですね。
全部つながっている気がします。だから人生って面白いんだろうなと。この先、もし悪いことがあった時も、次につながっていくと思って乗り越えていきたいです。
――本作の主人公エリオは、冒険の中でいろいろなピンチを迎えますが、野呂さんが芸能生活の中で最大のピンチだったなと感じていることは何ですか?
たくさんあります。ピンチになって、そのたびに救ってもらってなんとか回避してきました。
――バラエティに出演された際に、芸能界を引退しようと思ったことがあるとおっしゃっていました。
そんなことはたくさんあります。SDN48を卒業後、後ろ盾がなくなってどうすればいいんだと悩んだ時も大ピンチだったと思いますし、その後、『ロンハー』に出演して助けてもらったけど、出られなくなった時があって「ここまでか…」と。そうしたら『ゴッドタン』に助けてもらって。節目節目で大ピンチがあって、そのたびに辞めようと思いました。
――何度も大ピンチに直面するも続けてこられたのは、やはり女優という目標がブレなかったからでしょうか。
そうですね。本当に辞めたい時はスカッと辞められるんじゃないかなと思って、まだ自分は余力が残ってそうだなと思ったので続けてきました。
結婚から5年「安心して仕事ができる環境であるのは彼のおかげ」
――ピンチを乗り越え、女優として大活躍の今、この先はどのようになっていきたいと考えていますか?もっと楽しんでもらえるような人になりたいです。ディズニーと一緒で自分は完成することがないと思っていて、まだまだ上を目指したいなと。その時々の自分の気持ちも汲みながら、楽しくお仕事ができたらと思います。
――2020年に結婚されてから今年で5年になりますが、結婚後の変化もお聞かせください。
仕事に邁進できるような支え方をしてくれているところがありがたいなと思っています。犬がいるんですけど、私がいないときに見てくれたり、家のことをやってくれたり、本人も仕事を一生懸命頑張っている姿を見ていると、自分が安心して仕事ができる環境であるのは彼のおかげだなと思います。
――より安心して仕事ができるように?
そうですね。
――最後にファンの方にメッセージをお願いします。
皆さんにこれからも楽しんでもらえるように日々頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そして、『星つなぎのエリオ』もすごく感動する作品なのでぜひ見ていただきたいです。ウゥゥゥゥもとてもかわいいので注目していただけたらと思います。
■野呂佳代
1983年10月28日生まれ、東京都出身。2006年にAKB48として活動を始める。2010年にSDN48に移籍し、キャプテンを務め、2012年グループを卒業。卒業後は、女優として活躍の幅を広げ、バラエティ番組やドラマに多数出演中。近年の主な出演作は、ドラマ『ブラッシュアップライフ』(23)、『舟を編む~私、辞書つくります~』(24)、『アンメット』(24)、『西園寺さんは家事をしない』(24)、『クラスメイトの女子、全員好きでした』(24)、『光る君へ』(24)、『ザ・トラベルナース』(24)、『ホットスポット』(25)、『なんで私が神説教』(25)など。現在、TBS系火曜ドラマ『初恋DOGs』に出演中。
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