「IT企業ってどんな会社?」「インターネットの裏側を支える仕事って?」――中高生女子のそんな疑問に答える職場体験ツアーを、7月25日にIIJが実施しました。このツアーは、公益財団法人山田進太郎D&I財団が中高生の女子向けに実施している、STEM(科学・技術・工学・数学)領域の体験ツアー「Girls Meet STEM 2025」の一環として実施されたもの。
IIJのツアーには約40名の中高生女子が参加。貴重なオフィスツアーや体験型ワークショップに取り組むとともに、IIJで働く女性社員とも交流しました。
映像配信スタジオからSOC、マシンルームまで。普段は非公開の施設も見学
4つの班に分かれた参加者がオフィスツアーでまず訪れたのは、IIJ社内にある映像配信スタジオ「IIJ Studio TOKYO」。企業のイベントやセミナー、製品発表会などの収録、ライブ配信を行うための施設で、最新の映像制作機材が揃った本格的なスタジオです。参加者は撮影スタジオで自ら出演者役となり、映像を撮影しながら、グリーンバックを使ったバーチャル背景のリアルタイム合成を体験。またサブスタジオ、アナウンスブース、試写室などの設備も見学しました。
続いて「セキュリティオペレーションセンター(SOC)」へ。「wizSafe」のブランドでIIJが提供するセキュリティサービスの担当者が、インターネットの安全を守るための取り組みを説明しました。「セキュリティ対策の第一歩は正しい知識を身に着けること。企業では社員研修を実施するとともに、技術的にも侵入されにくい対策をしているが、それでも残念ながら100%安全とは言えない」という説明に、真剣に耳を傾ける参加者たち。
モニターのひとつに映し出されていた、世界から日本へのDDoS攻撃を示すデータの説明を受けて、参加者からは「ニュースになっていないのに、こんなに攻撃があるんですか?」との質問も。「報道されるのは社会的に影響のあるサービスだけで、実はこのような攻撃が毎日のように起こっています」と聞いて、とても驚いた様子でした。
オフィスツアーではさらに、フリーアドレスの広いオフィスで働く人々の様子も見学。大量のサーバーが並ぶ検証用のマシンルームにも足を踏み入れ、ほんの短い時間ですが、たくさんのファンが回る音や、マシンを冷やすための空調を体験しました。
ハード/ソフトの両面からインターネットを学べる体験型ワークショップ
続く体験型ワークショップでは、ソフトウェアコースとハードウェアコースに分かれて、それぞれインターネットのしくみや成り立ちの一端を学びました。
ソフトウェアコースでは、HTMLファイルを編集して、それをサーバーにアップロードすることで、Webサイトの文字やデザインが変わる様子を体験。用意されたテンプレートをもとに自己紹介用のページを作りながら、普段目にしているWebサイトがどのような成り立ちになっているかを体験しました。作ったWebサイトのリンクは、QRコードで持ち帰れるとあって、どの参加者もいろいろと工夫しながらページをカスタマイズしていました。
一方のハードウェアコースでは、サーバーについて学習。スマートフォンで動画を再生するときにネットワークを通じてどのようなやり取りがされているのか、IIJが手掛けるデータセンターの役割が紹介されました。サーバーもスマホやPCも同じコンピューターであることを理解するために、実際にスマホとサーバーを分解したものを見比べる貴重な体験も。
IIJの女性社員に直接質問できる、コミュニケーションタイムが大盛況
締めくくりは、IIJで働く女性社員とのコミュニケーションタイム。個人向けモバイルサービスから人事、グローバル事業、法人向けサービスまで、幅広い仕事に携わる4人が、参加者と同じテーブルに座って、直接様々な質問に答えました。
冒頭には、4人が学生から社会人になるまでの紆余曲折を、モチベーショングラフで紹介。それぞれの進路の迷いや選択がリアルに伝わり、同じく進路に悩む参加者の心に響いたようでした。各テーブルでのフリートークでは、「IT企業で働くのに、文系と理系のどちらがいいか」「大学はどのように選んだか」「勉強しておいて良かったと思う教科は?」など、勉強や進路に関する質問が多く飛び交っていました。
ツアーを終えた参加者からは「理系の仕事ってどういうものかぼんやりしていたのが、参加して視界が少しクリアになった」(高校1年、HNさん)、「ITの会社は理系の人ばかりと思っていたら、文系の人もたくさんいた。いろんな学部の人が働ける会社なんだと印象が変わった」(高校1年、ONさん)、「働いているところを見たり、話を聞いたりして、仕事って大変なだけじゃなくて、楽しいこともあるんだと感じた」(高校1年、UWさん)といった感想を聞くことができました。将来の目標や進路選択に悩んでツアーに参加したという人が多く、ツアーを通して見聞きしたこと、学んだことがその参考になったようです。
なお参加者には、障害対応ツールBarryのマスコットキャラクター「バリーくん」のぬいぐるみなどもプレゼントされ、みなさんうれしそうに持ち帰っていました。
著者 : 太田百合子 おおたゆりこ テックライター、エディター。インターネット黎明期よりWebディレクションやインターネット関連のフリーペーパー、情報誌の立ち上げに携わる。以降パソコン、携帯電話、スマートフォンからウェアラブルデバイス、IoT機器まで、身近なデジタルガジェットと、それら通じて利用できる様々なサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。 この著者の記事一覧はこちら