収録中断でしゃべり続ける優しさ

Hey! Say! JUMPが出演するフジテレビのバラエティ番組『いたジャン!』(毎週水曜24:15~ ※FODで先行配信)。「全日本スクープ会議」では様々な分野の記者たちが発表するスクープに、Hey! Say! JUMPのメンバーたちが意外な一面を覚醒させるのも見どころだが、この番組にメンバー外で一人レギュラー出演しているのが、8人組ユニット・ダウ90000主宰の蓮見翔だ。

演劇公演のチケットは毎度即完し、『Forbes JAPAN』の「世界を変える30歳未満」に選ばれ、昨年には所属事務所を独立するなど注目を浴び続ける存在だが、結成18年と円熟味も増してきた人気アイドルのHey! Say! JUMP、そして唯一のレギュラーテレビ番組である『いたジャン!』にどう向き合っているのか。
話を聞いた――。

○唯一のメンバー外も「少しずつ輪の中に」

――昨年6月に『いたジャン!』がスタートして1年が経ちましたが、Hey! Say! JUMPの皆さんに溶け込んでいる感じはありますか?

おかげさまで輪の中に入れていただいて、いつもすごく楽しいです。緊張する現場なのかなと思いながら始まったんですけど、皆さん優しいので、今はもう結構リラックスしてやらせてもらえています。1回皆さんとご飯を食べに行った時も結構しゃべらせてもらったりして、少しずつ輪の中にという感じです。

――佐藤勝利さん(timelesz)ともユニット「グラタングミ」として一緒にコントをやっていますが、STARTO ENTERTAINMENTの皆さんの印象は改めていかがですか?

本当にまっすぐ「スターだな」と思います。今日もワイングラスで日本酒を飲んでいる横顔が異常にカッコよくて、「こんなに画になるんだ!」ってびっくりしました。

――年代的にはHey! Say! JUMPの皆さんのほうが少し上ですよね。

いとこの兄ちゃんと同じくらい離れている感じなので、いとこの兄ちゃんたちが遊んでいるところに混ぜてもらってる感じですね。

――そこに時には果敢にツッコミも入れて。

少しずつですけど、強くいっても怒らない人たちなんだと思いました。そもそも絶対怒らないと思いますが(笑)

――密室で接近してフリートークする「2人の5分」(FOD限定配信)のコーナーにも初めて参加されました。

やっぱり最初の緊張に戻りましたね。
めっちゃ近い距離にカッコいい人がいたら緊張しますよ。きれいだなあと思いながら話してましたけど、楽しかったです。2人でちゃんとしゃべるというのはあんまり今までなかったので、楽しい機会でした。
○なぜか全員宇宙に詳しい

――番組のスタートにあたって、「これから共通の話題を見つけられたらいいな」とコメントされていましたが、その目標は達成されましたか?

僕が無趣味なんで、なかなかないですね(笑)。でも、「全日本スクープ会議」でいろんな記者さんが来るんですけど、どの話題でもメンバーの誰かが絶対よく知ってるんですよ。全員が全く知らないジャンルということがない気がして、それがすごいなと思います。みんなものしりだし、全員めっちゃ宇宙に詳しいのがめっちゃ面白いです(笑)

――ダウ90000とHey! Say! JUMPは同じ8人組のグループですが、メンバーを当てはめて似てるなと思う方はいらっしゃいますか?

本当に誰も似てないですね(笑)。でも、憧れる関係性ではあります。(Hey! Say! JUMPは)カメラが回ってないところでも、すっと8人でしゃべってるんですよ。収録がちょっと止まって2~3分待つことになった時に、黙っていたら空気が悪くなっちゃうじゃないですか。そこでずっとしゃべってて、優しいなと思いました。

僕らもよくしゃべるほうだと思いますけど、まだ結成して5年なので、20年近くやって同じくらいのキャリアになった時に、そのままの関係性でいられるかなって考えたら分かんないじゃないですか。
たぶん俺らより一緒にいる時間は長いと思うんですよ。8人の活動もいっぱいあるだろうし、これはものすごいことだと思いますね。

脚本に書けていることは絶対に増えている

――この番組に出ることで、主戦場である演劇の創作においてプラスされることはありますか?

僕は自分から食を探しにいくことをさぼりがちで、いつも同じものを食べちゃうから、台本を書いてる時に、「そう言えば『いたジャン!』でお取り寄せグルメ聞いたな」と思って、夜中にポチッとすることが結構あります。そのおかげで、書く時の気持ちがギリ楽しくなってるので、助けられてますね。

――作品の中に落とし込むというのはありますか?

テレビでやってるものだから、基本的にはあんまり入れないようにはするんですけど、そもそも知らなかったジャンルにたくさん触れさせてもらってるので、無意識にいっぱいあると思います。当たり前に知っていることとして脚本に書けていることは、絶対増えているはずなので、すごくありがたいです。

――これまで出会った中で、印象に残る記者のお話は何でしょうか?

居酒屋ライターの中沢(文子)さんが教えてくれた「ビールのサーバーをちゃんと掃除してる店は、飲んだ後のグラスに泡の輪っかが残る」という話は、人に言いまくってます(笑)。飲みに行って「一口飲んで輪っかになってるから、ここのサーバーはきれいだよ」と言えるっていい情報じゃないですか。そういうのは、めっちゃありがたいです。

――ダウの演劇の中でそんなセリフがさりげなく登場するのが想像つきます(笑) 。この番組のスタジオセットは、『IPPONグランプリ』などを手がけた鈴木賢太さんのデザインですが、印象はいかがですか?

ドアが8つあって、抽象的にも取れるけど、具体がしっかり置いてあるセットだから、想像も膨らみますよね。そのドアに背を向けて出演者がしゃべるという構図も、すごくカッコいいなと思います。

――ちょっと舞台的だなとも思いました。


そうですね。ドアなんで書き割り(絵で描く)でもいいのに、それをしないで本物を使うというのも、いいなと思います。

○「生意気なやつだ」イメージの第二波到来中

――テレビのレギュラー番組は、この『いたジャン!』のみですね。

劇場で頑張ろうと思っている中で、テレビにどれくらい出たらいいのかなと思いながら日々仕事してるんですけど、僕らのことを知らなかった人に見てもらうという意味で、Hey! Say! JUMPさんの番組に出させていただけるのは、めちゃくちゃありがたいことだし、これがずっと残っていくというのもすごくありがたいので、できる限りやらせていただけたらなと思いますね。

それと、僕がどんどん変な存在になっていけばいいなって。この先、頑張って知名度が上がって有名になっても、なぜか『いたジャン!』にしか出てなかったら、めっちゃ面白いと思うんですよ。そうやって、恩返しもできればと思います。

――劇場のお客さんの層の変化もありますか?

ちゃんとアンケートを採っているわけではないんですが、この番組が始まる前と今とでは、他にもいろんな要因があるにしても、明らかに変化は感じますね。実際に見に来てもらったり、知ってもらってる人数は増えているので。

――以前、蓮見さんにインタビューした際、まだ結成2年目の頃で「尖ってると思われがちなんです」と悩みを打ち明けていましたが、それからテレビをはじめ露出が増えて、かなり払拭できている感じじゃないですか?

そうなってると思いたいんですけど、今も同じような悩みのままです(笑)

――まだあります?

第二波が来ました。最初に尖ってると思われた層には、誤解が解けるか、尖ってると思われたまま嫌われてさよならなんですけど、少し知名度が上がったので、そんなにお笑いとかを見ない人からの印象で、「生意気なやつだ」と思われる時期に入っちゃったんです。だから前のインタビューと、心境的にはちょうど同じタイミングかもしれないです(笑)

――この番組で、ぜひさらなる払拭をしたいところですね。


そうですね。なんでもやりますので(笑)

事務所独立から順調なのが「ずっと怖い」

――昨年9月に事務所を独立されて「オフィスカニバブル」を設立してから、もうすぐ1年になります。ここまで走ってみて、いかがですか?

ありがたいことに、今は独立して良かったなと思える状態なのですが、これがいつまで続くのか。まだ個人事務所になったことによるデメリットをあんまり食らわずに来れているので、それが現れた時が怖いですね。

――何が来るんですかね。

こんなに個人事務所がいいんだから、全員そうすればいいのにと思うんですけど、そうじゃないってことは何かあるんでしょうね。それがずっと怖いです。

――個人事務所の先輩から、アドバイスなどはありますか?

さらば(青春の光)さんとか、ラランドさんとかとは、そんなに深くはないですけど、ちょっと話したりしますね。特に森田(哲矢、さらば青春の光)さんは、「何か分かんないことあったら聞いてね」と言ってくれます。

ただ、僕らはそんなに全員でテレビに出るみたいな状態でも今はないので、さらばさんとかラランドさんとは、ちょっとパターンが違うんですよね。劇団の人とかに聞いたほうがいいのかもしれないですけど。

――とはいえ、ダウ90000みたいにグループで演劇とテレビで活躍という例は、なかなかないですよね。
これは、パイオニアとしてやっていくしか。

怖いですね(笑)。自分で考えてやらなきゃいけないことが、この先もいっぱいあるだろうなあって思います。

――まずは初の全国ツアー『ロマンス』も順調ですし、思い描いていた1年を走りきれそうという感じでしょうか。

今のところはいい感じです。もし何か状況が大きく変わった時に、いろいろ掘り起こされるのが怖いんで、でかい口はたたけないなと思ってます(笑)

●蓮見翔1997年生まれ、東京都出身。2020年に日本大学芸術学部のサークルを母体に旗揚げされたダウ90000を主宰し、演劇公演『旅館じゃないんだからさ』『また点滅に戻るだけ』は、岸田國士戯曲賞の最終候補に選出される。現在は、『いたジャン!』(フジテレビ)のほか、ラジオ番組『蓮見翔のAuDee CONNECT』(TOKYO FM) 、『トキトケトーク』(MBSラジオ)にレギュラー出演。第7回演劇公演『ロマンス』は、10月24日~26日に金沢21世紀美術館シアター21、11月7日~9日に福岡・西鉄ホールで上演される。
編集部おすすめ