iPhoneやiPad、Macなどのアップル製品は個人が購入して使うデバイス、という印象を持っている人が多いのではないでしょうか? しかし、アップルはビジネス展開も積極的に行っており、企業にアップル製品を導入してビジネスをスマートにする手助けも進めています。7月末にオープンしたApple 梅田は、近畿エリアの中小企業のビジネスを支援する拠点、と位置づけています。
200年を超える歴史を持つ伝統の播州織を手がける玉木新雌(たまきにいめ)さんは、アップルの製品やテクノロジーを活用し、「驚くほど田舎」と語る兵庫県西脇市で全国を相手に播州織のビジネスをスマートに進めることに成功。“ただのアップル製品好き”だった玉木さんがビジネスでどうアップル製品を活用しているのか、中小企業がアップル製品を使う魅力はどこに感じているのか、インタビューしました。
仕事のすべてでアップル製品が活躍している
玉木新雌さんは、兵庫県西脇市に播州織の工場と店舗を開設し、染めから販売までを一貫して自社で手がける経営者。オンラインショップも開いており、全国に播州織の魅力を広めています。
織る前に糸を染める「先染め」と呼ばれる技法で作られる播州織は、伝統の技術やノウハウが仕上がりを左右する商品ですが、玉木さんはデジタルの力も欠かせないと語ります。生産管理、会議のツール、店舗のレジ、オンラインショップ掲載用の写真の撮影、オンラインショップへの登録などで、さまざまなアップル製品を駆使しているからです。
「何十名ものスタッフが、同じ建物の中でいろいろなアップル製品を使っていますね。作っている現場では生産管理に使っていますし、商品のアイデア会議に活用するチームもいます。店舗では、レジにiPadを使っています。オンラインショップに載せる動画の撮影や編集、商品の登録作業をする人もいて、本当にそれぞれが全部違う目的でアップル製品を活用しています。そのように用途はみな異なるんですけど、アップル製品で揃えていると連携性がいいんですよね。私たちのような中小企業はスピードが命ですから、アップル製品に助けられています」
玉木さんは、美しい発色の播州織の魅力をストレートに伝えられることも、アップル製品の魅力として挙げました。
機能や使い勝手以外にも、玉木さんがiMacで評価している意外なポイントがあるそう。「私たちは、ものづくりの現場を真っ白にしています。播州織の色を盛り上げていくのに、ほかの色があるとじゃまだからです。白いキャンバスにしたかったから、工房の中は真っ白に塗り替えました。そこにコンピュータの黒い線があると美しくないですよね。でも、iMacは電源ケーブルが白いんです! これを発見した当時は、こんな部分まで白くするのかって驚きましたね」と、アップル製品の細かなこだわりを評価していました。
決済端末が届かないトラブルもiPhoneだけで乗り切った
そんな玉木さんですが、最新のデジタル技術に驚かされた経験もあったといいます。
5月末、大阪・関西万博の関西パビリオンで開かれたイベントに玉木さんが出店することになった時の話。必要な資材を宅配便で発送したものの、配送トラブルで一部の荷物がイベント当日までに届かなかったそう。その中にカード決済用の端末も含まれていて、売りたいのに売れなくなるのでは…と青くなりました。
「でも、手にしていた自分のiPhoneがタッチ決済端末代わりに使えると教えてもらって。しかも、その場でサービスの登録が済んで使えるようになったんです。それで予期せぬピンチを乗り切れました」と玉木さんは振り返ります。
アップルのサービスで玉木さんが活用しているのが、Appleマップに西脇市のショップ情報を掲載する「Apple Business Connect」。「イベント情報も自分で編集してAppleマップに掲載できるのが便利ですね」と評価します。ちなみに、Apple Business Connectの掲載は無料となっています。
プロの意見が入れば、アップル製品を用いたビジネスはさらによくできる
もともとアップル製品が好きで、Power Macintosh G3などさまざまな製品をプライベートで使っていた玉木さん。播州織のビジネスを始めた際も、独学でアップル製品を活用していました。
それを知った知人が、アップルのビジネスチームと連携すれば、ビジネスをさらによくできるんじゃないか、とアドバイスをしてくれたそう。それをきっかけにビジネスチームを紹介してもらい、それ以来密に連携しているといいます。
「単に、製品の購入や修理をお願いするだけじゃないんです。自分の会社のことをしっかり知ってもらったうえで、『こういうことをした方がよりよくなると思います』といった私が気づいていない提案をしてくれるのがありがたいですね。
すでにビジネスでアップル製品を活用している玉木さんですが、最新のテクノロジーにも興味津々だそう。「私は文章を書くのが苦手なんです。いつもスタッフにお願い!って頼んできたんですが、Apple Intelligenceが使えるようになったので自分でやってみようと思っています。中小企業は生産性を上げないとダメですから、使える技術は活用しないと」
さらに、Apple Vision Proにも興味津々の様子。「オンラインショップで購入された方から『思っていたのと形が違っていた』といった理由で返品されることがあるんです。だから、掲載する写真はなるべくリアルに近くなるよう仕上げていますが、やはり写真だと限界があります。でも、Apple Vision Proがあれば、目の前にあるように表示させて、細かい部分もぐるりと確認できちゃう。お店に在庫がない商品だって表示できるので、もうリアルで見る以上じゃないですか。自分を表示させてフィッティングして『似合うじゃん!』とかできたら最高ですよね。Apple Vision Proはいろんな可能性があると思っているので、そのような体験ができないか模索しています」と期待を寄せていました。
Apple 梅田がオープンした梅田について、玉木さんは「梅田はとても便利な場所。