現在公開している堤真一×山田裕貴ダブル主演の映画『木の上の軍隊』の主題歌「ニヌファブシ」版特別映像が公開された。
本作の物語の舞台は1945年、激戦地となった沖縄県伊江島で、日本の敗戦を知らぬまま、ガジュマルの木の上に2年もの間潜伏し生き延びた2人の兵士の実話を元にしている。
撮影はすべて沖縄で行われ、とりわけ伊江島に実在するガジュマルの木の上での撮影は、映像にリアリティと緊張感をもたらしている。6月に先行公開された沖縄では、週末興行で動員数1位を記録。以後もスターシアターズ系の劇場では週末動員1位を5週連続で獲得するなど、地元での評価も高い。
7月25日の全国公開以降も順調に観客を集めており、家族3世代での鑑賞も目立つ。上映後に拍手が起こる劇場もあり、観客の熱量の高さも。SNSでも絶賛の声が相次ぎ、「涙が止まらなかった」「生きる意味を改めて考えさせられた」「戦後80年にふさわしい作品」といった感想が多く寄せられている。
中でも注目を集めているのが、エンディングで流れる主題歌「ニヌファブシ」。歌うのは、伊江島出身のシンガーソングライターAnly。「ニヌファブシ」とは沖縄の言葉で「北極星」を意味し、「兵士たちが見上げていた希望の星のように、変わらずそこにある平和への願い」を象徴しているという。Anlyは、平和学習を通じて感じてきた戦争の記憶と、自身の出自に深く向き合いながら、この歌に思いを込めたと語っている。
今回公開された特別映像は、平監督が選んだ劇中の印象的な場面を集め、Anlyの歌声と融合させたもの。映像と音楽が交錯することで、作品が放つメッセージは一層心に響く仕上がりとなっている。
【編集部MEMO】
原作『木の上の軍隊』(株式会社こまつ座・原案井上ひさし)は、作家・井上ひさしが生前に「やりたいこと」として記していた沖縄を舞台にした物語。彼が遺した1枚のメモをもとに、2013年にこまつ座とホリプロによって初演された。藤原竜也、山西惇、片平なぎさが出演し、以後『父と暮せば』『母と暮せば』と並ぶ"戦後命の三部作"として位置づけられている。2016年、2019年には再演・再々演され、沖縄でも上演。世界各国からも上演依頼が寄せられる注目作で、2023年には韓国公演が開催され、全公演が完売するなど人気を博した。