コーセーは8月7日、2025年12月期 第2四半期決算を発表。売上高は1,605億円(前年同期比13億円増)、営業利益は113億円(前年同期比24億円減)、当期純利益は70億円(前年同期比45億円減)となった。


国内市場が好調に推移

売上高は、前年同期比0.9%増(為替の影響を除くと1.5%増)となった。中華圏において減収となったものの、日本におけるDECORTEならびにアルビオンの主要ブランドの売上が大きく伸長して全体で微増した。

営業利益は、前年同期比17.7%減と、販管費の増加が影響して減益となった。当期純利益は前年同期比38.9%減と、円高による為替差損が増加した一方で、固定資産の売却益によって一部を相殺した。

売上高を地域別に見ると、アジア地域における減収を国内の売上でカバーした形だ。日本市場では、DECORTEならびにアルビオンの主要ブランドが売上高を大幅に伸ばした。また、コスメタリー事業では前年並みを維持した。

営業利益に影響した販管費の増加については、新規連結対象のピューリ社におけるのれん償却をはじめとした費用の上乗せに加え、タルト社における物流費の増加が主な要因となっている。

2025年度の連結業績予想は、現時点において(2月12日公表時から)変更なし。上期までの業績を反映し、地域別売上については内訳の見直しを実施している。

下期の海外戦略:欧米はタルトの成長基盤を再構築、中国は収益性の改善目指す

続いて、小林社長は下期の取り組みについて説明した。欧米における事業戦略としては、タルト(コーセー傘下の米国発ナチュラルコスメブランド)の成長基盤を再構築していくという。


「上期は、米カリフォルニア州の山火事をはじめとする自然災害があり、またトランプ関税の影響による経済の不確実性などから、利用者の消費意欲が減退した。メイクアップ市場は成長率の減速が進んでおり、北米は依然として厳しい状況下にある。下期はタルトの店頭消化の回復、およびブランドのプレゼンス維持を優先して有効なマーケティング投資を継続していく。EC、ソーシャルコマースにおける販売を拡大する」(小林社長)

アジアにおける事業戦略として、中国コーセーでは、戦略的な非正規市場対応を継続し、構造改革後の収益性の改善を目指す。小林社長は「中華圏において2025年度は、中国コーセーの黒字化が必達目標。上期は順調に推移し、計画の達成を見込んでいる」と手応えを語った。

またグローバルサウスでは、M&Aや提携を通じたアセット活用による機能強化を図る。「パンピューリ事業においては、中国人以外の旅行客に向けた施策も強化する。具体的には日本を含む、海外への早期展開を進めていければ。ブランドが持つ潜在的な成長可能性はとても大きいと評価している。タルトに次ぐ成功を目指す」と期待を込めた。

下期の事業戦略:DECORTE事業のさらなる成長目指す

コーセー事業においては、計上済みのコスト削減に加えて、24億円のコスト削減を実施。
これにマーケティング費用の追加削減も行い、2025年度通期では総額48億円を削減する。

そして、国内市場におけるDECORTE事業をさらに成長させる。具体的には、AQシリーズに注力して成長するプレミアム市場を攻略する。直近では、黒麹発酵エキス(KUROKOJI)などを配合した「ユース パワー エッセンスローション」を9月16日に発売する。新規顧客層の獲得も目指す。

アルビオンにおいては、店頭を核とした顧客づくりを推進し、ハイプレステージブランドとしての魅力を訴求していく。フラルネの高保湿スキンケアライン「ライブリーライン」を8月17日に刷新し、発売に際して、乳液を軸とした複合的メディア広告を実施する。

また、エレガンスの「モデリング カラーアップ ベース」を9月18日にリニューアル発売し、インバウンド需要を取り込んで売上の伸長を図る。「コーセーとの業務連携を深め、グループシナジーを発揮してその効果を最大化していきます」と小林社長。

コスメタリー事業は、積極的な商品展開とマーケティング活動によって通期での増収達成を目指す。コスメポートにおいては、ヘアカテゴリにおけるシェアを拡大。コーセーセルフブランドにおいては、ヴィセのリップカテゴリを強化、メイクキープシリーズのライン拡充も図る。
編集部おすすめ